女、遊女の廓詞
特徴のあるキャラクター出ました。
俺は家の前にいた。
入らないのか、そう自分でも思うが、中々踏み出せない。だって嫌だもん。絶対、拗ねてるじゃん。もう嫌だよ。
そう、家の中には待っている人がいるのだ。誰か助けてください!
そんな事を考えていると、金属のドアが開いた。古びたアパートらしく、ドアの擦れる音が響く。
中から出てきたのは、美しい少女であった。艶やかな銀髪、妖艶な瞳、整った目立ちに白い肌、どれを取っても一級品だ。
「今帰ったのかぇ?」
目の前の少女は独特な方言で話す。
「ぬしも悪い人でありんす。わっちをこんなにも待たせるとは……どこぞの女とでも合っていたのかぇ?」
彼女の方言は、前いた場所での名残らしい。彼女はどこか別の大陸にいた、遊女というものだ。どこでそんな古い文化があるのか、見てみたい。遊女って……。
俺は必死に言い訳を考える。だってさ、下手なこといって拗ねられたら、こっちが被害を受けるんだから。
「酒場だって。情報を買いにね」
「ふむ、やはり女でありんすか……。本当に、ぬしは悪い人。わっちがどれだけぬしの事を待ち焦がれていたか、分からんでありんしょう?」
「いやね、だってね、ちょっとちょっとって思ってたらこの時間。まあ、日々のご褒美って事で」
「そんな寂しい……。わっちというものがありながら……他の女にうつつを抜かすのかぇ?」
「いやさ、たまには息抜きも必要じゃない? 確かにカグラは美人だけどさ、俺達仲間じゃん? 仲間をどうこうしようって気は起きんでしょ」
目の前の少女──カグラは呆れたようにため息をついた。
「はぁ、仲間仲間とは言うが、わっちはぬしを一人の男として見てありんす。ぬしはわっちの事が嫌いかぇ?」
いやいや、そんなウルウルした悲しそうな顔しとも知らんし。ってか、今何気に告白ってやつしましたか? 俺にもやっと春が来ましたか。
というかこいつ、好き嫌いの概念が両極端だろ。
「嫌いじゃないよ。どっちかっていうと好きの部類に入るわけだけど……なんていうか――」
その時、カグラは顔を綻ばせ、俺に抱きつく。
「うわぁ! ちょっとなにやっとんですか! 俺も男だよ? え、なに、もしかしてこのまま大人の階段ってやつですか?」
俺が狼狽えていると、カグラは嬉しそうににやけながら話す。
「わっちはそれでもいいが……?」
「やっぱり心の準備って何事にも必要だよね」
わざわざ遠回しに断りを入れた。
はい、ここまで読んでくださった方にあえていいます。カグラってキャラクター、かなりの重要人物ですよ。