子供、金髪が綺麗
俺は薄暗い道をただ歩いていた。なんか幽霊とか、事件とか起こりそうな不気味な雰囲気だな、おい。怖いでしょうが、なんであそこで店を出たんだよ、俺のバカ。
それも、人なんかいない裏路地だから尚更だ。表の通りから聞こえてくるガヤガヤした音がまだ救いといえるだろう。
その時、後ろで俺を呼ぶ声が聞こえた。
「貴様……なぜここにいる? 貴様は反乱勢力の鎮圧に──」
「!?」
俺は急いでそちらに振り返る。俺の目に飛び込んだのはまだ幼い綺麗な少年。綺麗な金髪、白い肌に整いすぎた顔立ちは現実感すら無くす程の美しさ。そして、なぜか目は閉じられていた。見たところ、小学生くらいだ。
で、この子誰ですか? こんな特徴がたくさんある子だったら忘れないはずなのに……。
「ん? いや、違うな。貴様は……」
「えっと、どうしたのかな? 道に迷った?」
「ほう、なるほどな。血の繋がりがあるからか。どうりで似ているな」
……血の繋がり。その言葉を使いますか、このガキは。
「俺に血の繋がった家族なんていないけど」
「いや、いるはずだ。そうでなければ説明出来ん。似て非なる血の匂い……兄弟か?」
何かってに納得してんですか。兄弟……兄弟!? 順也ですか!? あの愚弟に何か関係があるの!?
「おいおい、まさかとは思うけど……お城の方でいらっしゃいますか?」
「ああ。私は特殊魔法師団 第一部隊隊長のシオンと言う。貴様はあの時いた小僧か?」
おいおいおいおい、まじっすか!? 突然にも程があるっていうか、何で俺の事を小僧っていうの!? どうみてもあんたの方が年下だろうがぁぁぁ!
いやいや、それよりも何でこんな所にいるのですかな? おじさん、ツッコミ所が多すぎて疲れたよ……。