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間章、恋情??

たまにこういうの挟みます。息抜き程度に。


 あたしは彼の後ろ姿を見て、物思いにふける。一年前、あの少年が現れて、半年前に旦那が死んで、そして同じ半年前にあたしは彼に救われた。別に彼が良い事をした、という訳ではない。っていうか、今考えてもめちゃくちゃ腹立つ。


 だけど、結果的には救われた。いつもだらしない笑みを浮かべ、深い闇を瞳に持っている少年に。


 しかし、だ。あたしは少年の名前を知らない。一度聞いた事があるけど、凄く無理矢理に誤魔化された。


 名前もあるが、今思えばあたしは少年の事を何も知らない。経歴、どこに住んでいるか、年齢、名前、個人を特定する情報は知らない。だけど別にそれでいいのだと思う。


 彼は何かを抱えている。あたしに話さないのはかなりもどかしいが、もう彼がそう言う人だとは割りきった。


 なぜ彼がここに通うのか、あたしなんかに話しかけるのか、もうどうだっていい。彼はあたしの恩人で、あたしは彼にとって何者でもない、その他大勢。


 あの日、あたしを地の獄から救ってくれた旦那が死んで荒れていたあたしのそばにいてくれた少年。……年甲斐もなく、だね。


 惚れている、とは少し違うかな。そんな安っぽいものじゃなく、もっと深い何か。まったく……本当に何をやってんだろうね、まだ(多分)十代近くの少年に。


 もしかしたら彼はあたしを解放してくれるかもね。旦那にも出来なかった、呪われた血からの解放を。


 そう考えていると、向こうのお客さんから注文が入った。


「リンナちゃん、ビール五つ!」


「はいよ、今持ってく」


 彼がいる日常がずっと続けばいい、それは少し傲慢な願いかな?

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