9話 終焉の門
「どうにか着地出来たわね…… 皆ありがと♪」
【全然ニャ♪】
【エヘヘッピ♪】
【余裕だッシャな♪】
【問題…… 無い】
4匹全てに感謝を告げると、私は外に出ていたシロ、クロ両名を体内に戻す
そして改めて周囲を見渡した
砂、砂、砂
周囲全てが砂……
砂漠の様だから当たり前といえるのだが…… さて、どうしたものか……
足元のみならず空にまで目を向けると、先程クロが気付いた地上と空とを繋ぐ1本の黒い線が目についた
「なんだろうね、アレ……?」
【とりあえず向かうかニャ?】
「そうね…… 一応今現在の明確な行き先になるわ」
【まだ結構遠いッピよ?】
「でも行くしか無くない?」
【行くしか無いッシャ? 無いの無いッシャ? 無くないってどっちの無いッシャ?】
「小面倒臭い事言わない!」
【確かに…… 面倒…… 吾輩…… 歩くの…… 遅いから…… 桃様の中…… 居る】
「うんうん、クロは中に居て良いよ」
【感謝……】
クダラナイやり取りではあるが、安心が出来るという点では私こそ感謝だ
よく解らない土地にいきなり落とされて独りぼっちじゃ気が滅入る
まぁ、何はともあれ落下当初のプラン、砂漠に伸びる線へ私達は向かった
砂漠はとても暑いと云うのが当たり前だが、私が歩いているソレは高温をよく聞く砂漠とは違っていた
せいぜい日本の春といった心地良い気温
そのせいもあってか、ただの散歩といった足取りで進む
「ココさ…… ドコなんだろね」
【さあ…… 解らニャいけど…… 立派な地上ニャね?】
「そうよね…… 少なくとも夢じゃないのは間違いない」
【何かの力が働いたッピか?】
「力、か……」
ココに来る前、確かに夢を見ていた
私の夢なのに、会った記憶の無い美女が現れた
アレは誰なのだろう……
そしてココはドコなのだろう……
いや、待てよ?
夢の中の美女は最後に言った
『終焉の世界、カタストロフィ』と
ソレって……
ふと思い出した私はポケットを弄る
その中には、あの美女がくれた私の御守りが入っていた
歩みを止めずに御守りの紐を解き、中から数枚の紙を取り出す
ソレは泉ばあちゃんの日記を縮小コピーしたモノだった
【ソレは桃様の曾お祖母ちゃんの日記ニャね?】
「そう…… そして…… あった! ココよ!」
私は読み進めていた一文に指を向ける
ソコには《カタストロフィ》の文字が刻まれていた
【あ…… カタストロフィッシャ!?】
「そうなの…… 泉ばあちゃんは昔、ソコに行った事があるみたいね…… そして……」
【そして何ッピ?】
「ソコは1面砂漠だったと書き記されている」
【へーー…… ってココじゃニャい!?】
「まさかと思うけど…… そう考えるのが妥当よね」
【そうニャね…… すんごい高い山…… それニャのに大きな河も、砂漠も…… 人が住んでそうな家とかも遠くに見えたニャ……】
「それよ! 実際さ…… ココは私達の町とも…… いや、日本ですら有り得ないと思う」
【そうニャね……】
そんな会話をして歩いているといつの間にか随分進んで居た
そして程なく先には、あの天までを繋ぐ線が見える
段々と近付くにつれて目視出来る様になった頃、その線は《扉》だと認識出来た
「まさか…… ホントに……?」
私は呟いた
私の中にいる彼等は何も言わなかった
信じられないモノを見ている雰囲気を発する4匹
実際、私だってそうだ
明らかなのは泉ばあちゃんが残した日記には、この場所の事が事細かく記載されていた事実
だから私は、私だけは言葉にした
「アレが…… 死者が通るゲート・オブ・カタストロフィ…… 終焉の門」
と……
「まさか…… この世界が…… そして、あの門が本当に実在しただなんて……」
まだ先ではあるが、間違いなくソレだと認識出来た
天までを繋ぐ門だと云う事も日記には書いてある
違うとは思えない
状況が状況だ
似ているでは済まされない
砂漠も、門も、景色も……
全てが泉ばあちゃんの日記、そのまま……
あまりにも酷似し過ぎている
だが、ソウであるならば行き先は正しかったと言うべきだ
あの門を逆向きに通れば地球に帰れるハズ
私達は更に歩みを進めた
歩き、歩き、歩いた先
程なくして終焉の門、その足元が見えてきた
砂漠へ突き刺さる様に鎮座した扉
その手前まで進むと、ソレの前には《誰か》が座っている事に気付く
気付いても尚、止めない私の足取り
門番か何かだろうか?
いや、門番だとすれば……
あの人は……
日記に書いてあったあの人か!?
私は扉に向かうというよりは、門前に座る人物へと向かっていた
そして、目の前に到着する
座っている誰かは片足を伸ばし、もう片足を《く》の字に曲げ、俯いていた
私が目の前に来ても尚、顔を上げようとはしない
寝ているのだろうか?
てか、寝てちゃ門番勤まらないっしょ……
そう思い、私が声を掛けようとした時だった
「良く来たね♪」
その人はそう言って顔を上げた
思いの外、若い人だという事に驚く
私達よりも少し年上
大学生かその辺だろう
美しい顔立ち
輝く金髪
オーシャン・ブルーの瞳
米国人だと即座に認識した
そしてその人は、どこからどう見ても男性だった
「あの…… 貴方は?」
率直に疑問を掛ける
「僕かい? 門番だよ」
門番!
やはり……
でも、あの人なら美女だと日記に記されていたのだが……
「あの…… もしかして…… ジャッジメンターさん…… ですか?」
私は極力丁寧に言葉を選んだ
それも日記に書いてあったから……
泉ばあちゃんは昔、いきなり無礼な言葉を掛けた為に、同じくいきなりぶっ殺されそうになったらしい
だが、その米国人の青年はキョトンとした目を私に向けている
そして、大声で笑った