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ルビーアイ princess momoka  作者: アゲハ
2章 カタストロフィ
57/308

57話 昔話

浅田…… 藍




知っている、名だけは……


泉ばあちゃんと咲子ばあちゃんの()()



でも、何故…… ()()()()()()、この世界に?




「あの…… 何で…… あ、ごめんなさい! 先に私の名前も言わなきゃですね! 私は桃花っていいます…… そして、あの……」



「初めまして、桃花ちゃん♪ そして私の事ね? うん、そうねぇ…… 話すと、まぁ…… ややこしいんだけど…… 聞く?」



「はい」




浅田さんは私の意識、体力を気にしながら、部屋に置かれたテーブル、彼女が座って居た椅子の前の席へ促す


そして私の隣にもう一席設け、エリカもまた座らせた




フゥと深く息を吐く彼女




妙に()()()()()()を感じるのは気のせいだろうか?


いや、そんな事が有るわけ無いよね


見た目は私と同じか、少し上程度の歳だ




そんな彼女が口を開いた




「昔話みたいなモノだけど……」



「全然構いません、大丈夫な事なら教えて欲しいです」



「解ったわ」




コクリと頷き、語り始めた彼女




始まりは私の曾祖母、咲子ばあちゃんとの出会いだった




同じ大学の生徒だった2人


咲子ばあちゃんはずっと研究に()()()()()()居たらしい


そのせいもあってか、あまり友達と呼べる存在は居無かったようだ



今考えてみると、その研究はルビーアイ解明の何かかも知れないと気付いたが、浅田さんの話の腰を折りたく無かった為に、ソレは口にしなかった



そんな中で、咲子ばあちゃんは浅田さんに会った



友達の関係としては、浅田さんが咲子ばあちゃんへ、アタックしたらしい


話の中では細部までは語られなかった《下着騒動》?


そんなモノや、買い物デートを経て、2人は友達になった



熱心に研究を続ける咲子ばあちゃんの元へ足繁く通い、ストレスを語られ、解消し…… そして、短い期間ながらもいつの間にか、親友と成ったそうだ





ある時、泉、泉ばあちゃんからの電話で世界が大きく揺れていく






咲子、泉の敵……



それが発覚していった



《高田教授》という、咲子の研究室の顧問を務めていた老人男性教諭


彼が黒幕だと解る






そして、苦難を越え、ばあちゃん達は戦争に勝利した



彼は、もう居無い



今の神様である《加藤さん》が現れて《世界の狭間》らしきところへ幽閉したそうな




そして、加藤さんに会った浅田さんは実感した


前世で結ばれたパートナーだと気付いた


加藤さんはその事実を既に知っていて……


最初こそ断りはしたものの、最後には浅田さんを受け入れたらしい




そして、彼女は……




私の曾ばあちゃん達と別れ……




この世界で暮らすように成った






「そんな事が有ったんですね……」



「まぁね…… そしてね?」



「はい?」



「私がこの世界に来た日の昼に買い物へ行ったのよ、まだ地球に居た時、3人でね」



「はあ……」




私の呆けた顔に彼女は笑い、そして、指を差した


向けられた先は、私の腕


視線を落とすとソコには、私のブレスレットが在った




「お揃いのブレスレットなの♪ 私の…… 地球での最後の…… 笑顔の記憶」



「最後の……」



「そ! 買い物の後、家に帰って…… その晩にモリサダさんが私の家を訪れた」



「モリサダさんって、加藤さん?」



「うん、私をカタストロフィへ連れて行きたいって、私のお母さんに懇願してね…… お母さんはとても困惑してたけど…… 藍の為ならって許してくれた」



「困惑…… するよね、ソレは……」



「だよね…… だから、私の最後の…… 笑顔の記憶がブレスレットなの」



「そうだったんだ…… 形見のブレスレットに、そんな想いが込められていたなんて……」



「うん、だから…… 直ぐ解ったの♪ 貴方が咲子の意志を継ぐ子なんだなぁってね…… そして、嬉しかった」



「嬉しかった?」



「私ね、()()()()()()()の…… モリサダさんは神様だから、子供をもうけて力が我が子に移る事を選んじゃいけない…… 神の決裁権を失うからね♪ でも、私はソレを悔やんでも悲しんでも居無いよ」



「何で…… 寂しく…… 無いの?」



「寂しくないわよ♪」



「だって…… 好きな人との子供が欲しいって思うでしょ?」



()()()()()から、寂しくない」



「貴方って…… 私?」



「そうよ♪ 私の大好きな親友が子供を産んで…… その子がまた、その孫もまた子供を産んだ…… 命は繋がっている…… 貴方と会えたのは運命なんだよ♪ 咲子が私に見てって…… 私の大事な曾孫を見てって…… 私の所に連れて来てくれた♪ 哀しいわけ有る?」



「浅田さん……」



「ね? 嬉しいじゃない! だからさ…… 私は貴方と会えて、とおっっても嬉しいのよ♪」




満面の笑みを私に向ける浅田さん


私の顔も、つれるように同じ笑みを映す


隣に座って居たエリカもまた、柔らかい表情を浮かべていた




「私、頑張りますね! なんか…… この世界の人達って強すぎて、今の私じゃ足元にも及ばないって言うか…… でも、何だか頑張れそうです!」



「頑張らなくても良いのよ♪」



「え? でもソレじゃ負けちゃう……」



「負けないわ…… 貴方は咲子と泉の意志を継いだ子だもの♪ 2人は強かった…… そして、私は弱かった…… だから友達になったのよ、私も2人みたいに強く成りたかったから」



「成れましたか? 会えて……」



「成ったわ♪ 彼女達程じゃ無いけど、会わなかった時よりも数倍強くなった…… 心がね♪ じゃ無きゃ、()()()()()()()なんて出来ないでしょ?」



「確かに……」




苦笑いを浮かべる私とエリカ


そんな私達の顔を見て、彼女は大きな口で笑った




「そうそう!」




突然、思い出したかのように言葉を発した浅田さんに私は聞き返す




「どうしたの?」



()()()()()()には会った? 門番をしてくれてるんだけど」



「会いましたよ♪ 名前は教えてくれなかったけど…… うん、直ぐ解りました!」



「そっかそっか♪ 2人も大変な役職を任されてて…… でも、モリサダさんの意志を継いでこの世界と星々を守ってくれてる…… 感謝してもしきれないよね」



「うん、でも…… 2人がホントにばあちゃん達を愛してたのが凄く伝わったんです…… 多分、地球で逝くまで精一杯大切にしてくれたんだろうなって」




浅田さんは大きく頷く




「勿論よ♪ ライなんて咲子にゾッコンだったんだから! 今でも思い出すなぁ…… 私ね、チンピラに路地裏連れてかれちゃった事が遭ってね」



「ええ!?」



「それで咲子が助けに来てくれた」



「咲子ばあちゃんが……」



「うん、でも…… 私が居たから力を使うの躊躇(ためら)ったみたい」



「ソレじゃ危ないじゃん!?」



「そこで現れたのが()()()よ♪」



「ライじいちゃん?」



「そ! ヤッバイ強かったよ♪ 今なら解る、青い力(サファイア・アイ)でボコよ、ボコ! 一般人を殺すんじゃ無いかと思ったわ…… 懐かしいわね」



「いや、ソレは本気でヤバいヤツだから…… 余韻に浸らないで……」




引き攣る顔の私に浅田さんは大笑いする


そんな中で、目を白黒させながら問い掛けたのは、隣のエリカだ




「ちょっと何言ってるか解んなくなってきたけど…… 話を聞いてると、桃花って門番様方の?」



「うん、曾孫だよ♪」



「ホントか!? ムーン様の両翼を務めるお方達だぞ!?」




そう言ったエリカは、椅子を倒しそうな程に驚き仰け反る




「そうなの? ソコまでは解らないけど、2人の奥さんは私の曾ばあちゃんと、もう1人の曾ばあちゃんだよ? 私達は2家族で生活してるから」



「ゴメン、桃花…… チョット…… スケールがデカすぎて付いていけなくなってきた……」



「まぁ良いじゃん♪ 私は私だもんね? そんな私の友達がエリカってだけよ! 血筋に敬遠しちゃった?」



「そんな事は無いが……」



「良かった♪ エリカは大切な友達だから…… ずっと一緒に居ようね!」



「まぁ…… うん」




私達のやり取りを目の前で見ていた浅田さんはフフフッと笑った




「良い関係ね♪ 昔の私と咲子を見ている様だわ…… どちらというと、桃花ちゃんが私に似た雰囲気でゴリ押しだけどね!」



「ゴリ押ししてました!?」



「してるでしょ、私っぽく♪」



「あらら……? ホント、エリカ?」



「うん、ゴリ押しだ」



「エリカまで!? もう! 友達解消!!」



「待て!? 友達だろ!?」



「友達だよ! でも、なって欲しいなら、好きって言うこと!」



「またその件かぁぁぁ!?」




頭を抱えるエリカを見ながら、私と浅田さんは大笑いを上げた







浅田さんの部屋で、暫く話し込んだ時の事


突然、コンコンとノックされた部屋の扉に目を向ける私達




「はぁぁい♪」




応える浅田さんに扉の外から声を掛けられた




【僕だ、藍】



「これはこれは! どうぞ中に♪」




聞く限りでは男性とも女性ともいえない中性的な声


だが、妙なことと即座に気付く




その声は頭の中に《直接話し掛けられている》様な響き方をした声だった




心の中で、4匹の彼等と話をしている時のような……


そんな雰囲気だ




【客人が倒れたとか耳に入ったんだけど…… ココに居るのか?】




ガチャリと音を鳴らし、開いた扉


ソコからキラリと美しい輝きを放つブロンドの頭髪


整った目鼻立ち


美女が姿を現す




その姿を確認した浅田さんとエリカは立ち上がり、深く頭を下げた




「はい、こちらにおいでですよ♪ つい先程目覚めまして、話し込んでました」



【そうか♪ 大丈夫か、お前】




私は彼女を見ていた




【おい…… 大丈夫かと聞いてるんだが……】




呆然と、ただ、見ていた




【おい……】




目を、離すことが出来なかった




【大丈夫じゃ無さそうだぞ、藍……】




目を、視線を……


離すことが……


出来るわけ、無かった




「桃花ちゃん?」

「どうした、桃花!?」




2人が私に問い掛ける


隣でエリカが私の肩を揺する




でも、私は……


ソレに反応出来ないで居た




そんな中で、何とか開いた口




言えた言葉は、




「何で…… 夢…… 以外で…… 会えるの?」




だった

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