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ルビーアイ princess momoka  作者: アゲハ
2章 カタストロフィ
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27話 夢、再び

誰かの声が聞こえる






()()()()()()純白の世界






そこで私は目を開けた






この世界に来る直前の夢の中の様に、白一色の空間


そんな場所で私は横たわって居た




不意に目を向ける左隣




はだけた着物姿


首元から6本の紐の様な物がユラリと揺れる美女




あれ…… 6本?


以前会った時には7本だったと記憶している


私が彼女の首元に目を凝らすと、ソレは確かに在る


他のユラユラと揺れるているのに対し、1本の紐だけがダラリと力無く彼女の胸元に垂れていた




何だろ?




そうは思ったが私は聞かなかった




いつの間にやら彼女のが目の前でしゃがみ、両膝に両肘を立てたその先、開かれた両の掌にアゴを乗せた格好で私を見下ろしていたからだ




「うわ!!」




私は驚いた声を上げ、ズザザと摺り退く


そんな私に態勢を変えないまま彼女はニコリと笑った




【宿主や…… 大丈夫かえ?】



「え、ええ…… 貴方確か…… 以前、夢の中で会った人だよね?」



【そうじゃ♪ ヌシは急激な力を使いすぎてエンスト気味じゃて…… もっと体力付けねば今後は勝てんぞよ? まぁ、良いわ…… (わらわ)の力を少し分けてやろうかの……】



「ね、ねぇ…… 貴方…… 何者?」



【妾に何者かと聞くかえ? ヌシが縫いつけた妾をかや?】



「私が…… 縫いつけた?」



【やれやれ…… まぁそれはどうでも良い事じゃ…… 言うても詮無きこと…… いずれまみえる時もあるじゃろうて】



「それはどういう意味?」



【妾は《全》じゃ…… ヌシは《個》と言う事じゃな】



「さっぱり解りません……」



【呆けた顔をするで無い、宿主や♪ 今は解らずとも良い…… いずれ…… いずれじゃ♪】



「はぁ……」




妙にはぐらかされた感じがした


だが、それよりも脳裏を過ぎった疑問が口をつく




「あのさ…… 聞いてもいい?」



【なんじゃ?】



「貴方は何でも知ってるの?」



【うむ♪】



「じゃあさ、私が居た地球に、()()()()()が居てね…… この世界でも…… なんていうか…… 顔は違うけど雰囲気が同じ人と会ったのね…… ソレってさ、関係あるの?」



【無論じゃ♪ ヌシの居た世はこの世界と繋ごうておる…… その男は、生まれ変わりをする直前に前世の者として少ぅし置いていった心を継いでおるのじゃろうな】



「心を置く?」



【ヒトが犯した罪ばかりが、このカタストロフィに関与するわけでは無い、という事じゃな】



「ふーーーん……」



【まぁ、何はともあれ()()()()()じゃ…… 奴は奴なりに幸せの真実を探しておるのじゃろうて♪】



「幸せの真実? 影? やっぱ聞いても解らないかな……」



【カカカ♪ 良いではないか! さて…… 呼んでおるぞ、外側でのぅ】




そう言った彼女は立ち上がる


そして大きな胸元から出したのは扇子


ソレをパン! と小気味良い音を立てて広げた




【起きるが良いぞ、宿主♪】



「待って! もう1つだけ! 貴方は誰なの!?」




私が手を向け、見開いた目


ソコに……


彼女は居無かった





世界すらも違う





真っ白な世界とは言えない、色の付いた世界




コレは…… 天井?




私はゆっくりと見渡す


ソコは部屋


そして私はベッドの上に寝ていた


地球の自室に置いて在るベッドでは無い


少し体を傾けると、ギシリと音がするパイプベッド


天井の色味だって違う


コレはさっきまでの場所じゃ無い


明らかに現実だ




ココは、どこ?




全く見覚えの無い場所


私の疑問はソコで途絶えた


答えを貰った訳では無いが、声を掛けた人物が居たからだった




「おや…… お目覚めですね」




声のした方へ顔を向ける


ソコには沢山の書類や参考書と思われる物が乗った大きめの机


その前には椅子


そして椅子には男性が座り、私を優しげに見ていた




「あ…… はい…… ありがとうございます」



「気分はどうです?」



「まぁ…… 普通ですかね…… あの…… ココは?」




私が問い掛けると、彼はまたニコリと笑う




「ココは私の診療所ですよ♪」



「診療所…… 病院?」



「そんなトコです」




そう言われ、私は彼を注意深く観察する


眼鏡を掛け整った顔にスラリとしたスタイル


白衣では無いが、上下白い衣服を纏っている


そして首には聴診器が掛けられていた


診療所ということは彼は医師なのだろう




まぁ、それなりにイケメンだった




「貴方はお医者様?」



「まぁそうですね、そんな者です♪ 私はエイユウ、この婦人科の先生をしております」



「そうなんですね…… ん? 婦人科? 産婦人科なんですか?」



「いえ、婦人科ですよ」




婦人科なんてものもあるんだ……


産婦人科なら知っているが、婦人科ならば女性特有の病気専門医師なのだろうか




「貴方はこの集落、オレンジ・ホームの入り口で倒れられましてね…… それを見つけた集落長のレイジさんがお連れ下さったのですよ」



「そうだったんだ…… レイジさんね? お礼を言いに行かなきゃ」




そう彼に告げ、ベッドから体を起こそうとしたが、彼は大きく手を振り妨げた




「待って待って! まだ貴方の病状は解りません! そのまま診察に移りましょう」



「あ、はぁ……」




また私は体を横たわらせる


その姿に微笑み掛け、耳に聴診器を掛けて私のベッド横に移動する




そして、彼は言った




「さて…… 服を()()()()()下さい」



「……はぁ!?」



「ん? 服を全部脱がなきゃ診察できないでしょう?」



「いや、脱がなくてもある程度診察出来るでしょ!? ってか…… 全部って…… 全裸!?」



「はい、全裸です」




本気で言ってるのだろうか、この人は……


今どきの病院ってそんなんなの?


いや、室内を見る限りでは私のよく知る病院とは少し違う


特別高価そうな機材があるわけでも無いし、全体的に病院というよりも彼が言うように診療所といったレベルが相応しい




「あ、あの…… 先生?」



「はい?」



「とりあえず私は健康なんで…… 診察は止めときます」



「それはいけませんねぇ…… 貴方は倒れて居たんですよ? 私もソレを鵜呑(うの)みにして帰すわけにはいかないのです」




だよね、医者ならそうなるよね……




「わ、解りました…… じゃあ…… 先ずは上着だけ……」



「ふむ…… まぁ良いでしょう」




私は胸元に手を掛ける


……あれ?


無い!?




うわ…… ドムフェスでのナイフ男騒動の際、制服のブレザー投げ捨てっぱなしだ!


参ったな……


上に来ているのはブラウスだけじゃん……




エイユウ先生に目を向けた私


彼はどこかしら『早く脱げ』というオーラを醸し出す




医者な訳だしブラウスだけだったら大丈夫…… かな?




医師とは不思議なものだ


それだけでカリスマ性がある




そんなこんなで私は首元からブラウスのボタンを外し始めた


別に裸の上に着ている訳じゃ無い


ちゃんとブラはしている


なので私も覚悟を決めてブラウスだけを脱ぎ、隣へ置いた




そしてそのままエイユウ先生へ目を向ける




彼はブラをした私の胸元を凝視していた




そして……




「発展途上ですが…… ふむ…… 形が良いですね」




と、言った


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