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ルビーアイ princess momoka  作者: アゲハ
1章 始まりは後悔
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1話 私の告白

「失敗したぁぁぁぁ!!」



私は高校生活で3年間、何度も行き来をした通学路で制服をバタつかせながら叫んでいた





そう……


私は私の気持ちを抑えきれずに大きなミスをした


でも言わなきゃ伝わらないなら言うべきだ


後悔はしていない




ごめん、嘘つきました



後悔しまくりです……




「ねぇ、桃花(ももか)…… アンタさっきから同じ事ばっか言ってるよ……?」




傍らに居る友人が呆れ顔で話し掛ける


ま、友人というよりも小学校からの大親友だ




「《ひなこ》には解んないでしょ!!」



「お!? 言うねぇ…… 何も話さない桃花様の言葉とは思えませんなぁ……」



「う……」




確かに後悔ばっかで何も話して居無いことに今更ながら気付く


だって……


簡単には言えないでしょ……


私のミスの暴露なんて……





ハァと溜息を付いた時だ


隣の《ひなこ》がニヤリと笑った




「で、(いつき)君がどうしたの?」



「……は?」



(こく)ってフラれた?」



「え!?」



「同じ家に住んでるんだからいつでも何とかなるでしょーに♪」



「うぉい! 私の過去を覗き見るんじゃ無い!!」




正しくその通りだった




樹こと、イッちゃん……




私はイッちゃんに思いの丈を()()()()()


だが、彼は固まったままYesともNoとも言わなかった


居ても立っても居られず、私はその場から、逃げた……







私の家庭は少し説明が必要になる



ひなこが言っていた同じ家に住んでいるって所も含めて話しておくね





私の家庭は、2つの家族が住んでいる


私の家族、祖父母を含めた5名とイッちゃんの家族7名の計12名の大家族


同じ5名ずつで無いのは、イッちゃんには妹が居るためだ


可愛い盛りの3歳女児で双子


名前は泉と咲子





この家は3階建てで、私達は2階、彼等は3階に住み、1階は共同スペース


狭さは感じるが、家族が常に身近に居るのはやっぱり安心する


そしてこの家族関係は、その()()()()()()()()()だった




私の(ひい)ばぁちゃんは《咲子》といった


イッちゃんの曾ばあちゃんは《泉》




気付いたよね?



イッちゃんの妹達は泉ばあちゃんと咲子ばあちゃんの名を貰ったんだ






そしてそのばあちゃん達の親がとても仲良く1つの家に住んでいたのがココ



でもさ……



その時代なら6人家族って事じゃん?



両親と曾ばあちゃん、それが2家族



曾祖母ちゃんである泉と咲子は私が小学校1年生の頃にこぞって他界した



だから今は12人なわけでして……



昔より人数は丁度倍に増えたら…… やっぱ狭いよね



ま、いっか!



仲が良いのは1番だし♪



でも、そのせいでチョット大変です



告白した相手が居る家に戻るのは(こく)ですよね……




「桃花がフラれたんなら私が告っても良い?」



「誰に?」



「樹君に決まってんじゃん♪」



「マジで言ってんの、アンタ!?」



「うん、ダメ?」



「私は……」




ダメと言える立場では無い


答えは聞いてないけど、状況から考えればフラれたと思うのが当然だ



でも、まだ気持ちの整理が着いていない私は、




「良いけど…… もうちょっとだけ…… 待って」




と呟いた




「良いよ、待つ待つ♪」




ひなこは悪戯(いたずら)っぽく笑いながらそう言った


なんだか少しカチンと来るのは気のせいだろうか





でも……





彼女が本気でソレを私に伝え、イッちゃんが本気でYesと答えるなら……


少なからず私は祝福したいと思う






「ねぇ桃花?」



「ん?」



「今晩の道場練習どうする?」



「行くよ! 特に今日は体を動かしたいもん!」



「そうだよね…… フラれたんだもん、動かしたいよね……」



「さらっと刺さる言葉は止めてくれます?」



「あはは♪ 冗談だよ」



「今はその冗談キツいんで!!」



「ゴメン! ゴメンってば!」




両手を合わせて許しを請う彼女に、私はわざとらしく頬を膨らませる


そしてその後、また笑いながら通学路を歩いた








ひなことは一度別れた


彼女の家は近い


小学生の時からの親友で高校3年生になった今でも仲は良かった






家に戻って胴着が入ったカバンを手に、再度落ち合う



向かった先は道場



私達はその門下生で、修練しているのは《空手道》だ



子供の頃から習っている



元は、ひなこの付き添いで訪れた見学



そこから空手道に()()()()()()



武器を所持し無くても、無手で強くなれる競技



ソレに惹かれた



メキメキと上達したのは解っているが、ひなこはその先に居る



私は二段を取得し、彼女は三段



大会にも出る



彼女は優勝を幾度も重ね、私は万年2位だった






だが、それで良かった






優勝してみたいという思いはある



しかし優勝してはならない



そう…… 私は()()()()()()()やっていた



ひなこは県優勝で、地方大会優勝で、全国優勝者



私はそのどれもが2位



こんな事を話す事はこれから先も無い






だから誰も聞いていない心の中


今だけは言わせて欲しい






私は優勝する事など容易(たやす)






全国優勝などとはいわず、全世界優勝も出来るだろう






しようと思えば、と、付け加えておく






私は《超能力者》だ


ちょっと意味合いは違うかも知れないが、その部類なのだろう



あ、ゴメン


いきなりファンタジーだね……




でも、真実なの……




私の曾ばあちゃん、咲子から受け継いだ力、《ラピス・ラズリ》と呼ばれる()()()()



コレは神様を経由して私に授けられた



そしてもう1人の曾ばあちゃん、泉から受け継いだ左眼《覚醒ルビーアイ》



コレは紅い眼だ



勿論、常には黒眼で、発動時には文字通り眼の色が変わる



今は覚醒ルビーの存在は無く、ラピス・ラズリと混合した為に能力を発動時には左眼がワインレッドカラーを映す



これらは破壊の力であり、再生構築の力



そして、()()()()()()()()()()()



私達の家系は世界を救う家系なのだ



だが両親はもとより、祖父母も知らない



曾祖母ちゃん達が発動させ、先の戦争終結時に神様がソレを一旦預かり、今はまた私と樹の元にある



誰にも秘密という()()()()()()()()()()だった



私が小さい頃に、その泉ばあちゃんから言われた言葉



《人の理解を超える力は恐怖を呼ぶ…… それと共に憧れと嫉妬を持つ…… ひいてはココに居られなくなる…… 覚えとくんやで》



子供の頃には解らなかったけど、今なら解る



泉ばあちゃんと咲子ばあちゃんは英雄だった



本当の意味で地球を救った



彼女達の旦那様である私の曾祖父、米国人のラインフェルトじいちゃん、イッちゃんの曾祖父、ライじいちゃんの()()()()のアーサーじいちゃん4人で勝ち取った世界が今の優しい世界



でも、それは世俗に明かすことの出来ない物語



私とイッちゃんにもいずれ訪れるのだろう



世界を救うってヤツが……






あ!


話を戻すね!




それ故に私の身体能力はヒトのソレでは無い




山だって壊せる




だから優勝を目指さない



優勝しても虚しいだけだ



自己の力で優勝したのか、能力眼で身体能力が上がり優勝したのか解らないのは悲しい



だから万年2位を目指していた



優勝した時の、ひなこの嬉しそうな顔を見るのが私だって嬉しいという理由もある



だから、私が優勝を目指す時……



それは、本当に世界が危うく揺らいだ時だと思う

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