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遥か彼方、蘇る約束

作者: スタ

 

「またあえるよ。」

「ほんと?ぜったいだよ?やくそくね。」

「うん。やくそく!」



 それは幼い子供たちの小さな約束。

 よくある可愛らしい約束だった。


 何処へ引っ越すのかも幼い彼らにはよく分かっていない。

 果たされるかも分からない。

 大人になるにつれ、忘れてしまってもおかしくない。


 それでも幼い二人にとっては大切な約束。


 心の奥に大切にしまって、また会えたなら笑って再会を喜べることを願ってた。





 しかし、



 世界はそんな幼い二人の願いを引き裂いてしまう。

 引き離された二人は、それでも一途に相手を想い合う。


 それは次元を超え、世界を大きく動かしていく。










 ただ、もう一度会いたかった。

 幼かったわたしの初恋の君に。

 たとえ貴方にもう恋人が居たとしても、もう一度会うことが出来たなら。

 笑って昔話をすることが出来たのに。


 ねえ神様。


 私にはそれすらも許しては貰えないのでしょうか。

 たとえ私が私ではなくなったとしても、

 たとえ貴方が私だと気が付くことが無くても、

 もう一度だけ。

 貴方に会いたいの。



 異世界に勇者として召喚された少女は、約束を果たすことなく死んでしまう。

 それでも、その約束を果たすために二度目の人生をこの異世界で懸命に足掻いていく。













 ただ、もう一度会いたかった。

 幼かったぼくの初恋の少女に。

 たとえ君にもう恋人が居たとしても、もう一度会うことが出来たなら。

 笑って昔話をすることが出来たはずだ。


 神様。


 このほんの些細な願いさえも、俺には許されないと言うのだろうか。

 たとえ俺が俺ではなくなったとしても、

 この想いを胸に何度でも生まれ変わることを厭わない。

 ただ、もう一度だけ。

 君に会いたかったんだ。

 この世界が君を殺したのなら、俺はこの世界を憎もう。



 些細な事故で死んでしまった少年は、約束を忘れることが出来ず異世界へ転生してしまう。

 そこで知ってしまった過去に起きた出来事。

 逢いたかった少女の無残な死に、世界へ復讐を誓う。












 貴方にもう一度会いたい。

 だから私は異世界を渡る術を探そう。

 この身をどんなに擦り減らしたとしても。

 きっと会いに行くから。











 君にもう一度会いたかった。

 でも君はこの世界に勇者として召喚され、殺された。

 この世界を救おうとした君を、それなのに裏切った醜いこの世界の奴ら。

 だから君を殺した世界を俺は壊そう。

 この身がどうなろうと、君にはもう会えないのだから。








 幼かった二人の約束は、世界を超えて廻って行く。











「あぁ、やっと・・・・・・会いた、かった。」

「うん、私も。」


 崩れゆく城の中、腕の中で消えゆく命に必死で縋り付く。

 もっと顔をよく見たいのに、溢れる涙が邪魔で彼の顔が見えない。


 やっと、本当の意味で貴方に会えたと言うのに。

 沢山の思い違いをして、沢山遠回りをした。

 何度彼とすれ違いをしたかも思い出せないほどに衝突もした。

 もっと早くに気付いていればと思うほどに、勘違いや誤解もあった。

 それでもやっと貴方に辿り着いたと言うのに、別れはあっという間。



 震える彼の指がそっと私の頬を包み込む。

 優しく涙をぬぐう仕草にまた一つ涙が零れ落ちた。



「次・・・は、ぜった・・ぃ・・・・――――――」



 聞き取れないほどの小さな言葉で呟いた最期の言葉。


 でも、分かってる。


 それは私も同じ気持ちだから。



「うん。」



 私も、今度は間違えず貴方を見つけるわ。


 だから、


 約束。



 また、会おうね。













 都会から少し離れた長閑かな町。

 今日はその住宅街の一軒家に一つの家族が引っ越してきた。



「いい?ちゃんと挨拶するのよ?」

「わかってるよ。おかあさん。ぼくもうよんさいだもん。ちゃんとあいさつできるよ!」

「いい子ね。お隣さんには、確かケン君と同い年の子が居るみたいだから仲良くするのよ?」

「うん!どんなこかな?」

「ふふ。楽しみね。」

「うん!」


 母の手を握りながら、幼い少年は元気に答えた。

 お隣さんへと続く道を母親と手を繋いで歩く。

 隣なのですぐに着いてしまうが、まだ4歳の男の子にはそれでもちょっと長い道のり。

 ゆっくりと母と二人で歩いて行く。


 これから出逢う子は、どんな子なのかな?

 きっと仲良くなれるよね。


 ワクワクと胸を弾ませながら歩いていると、お隣さんの家にすぐに着いてしまった。


「じゃあ押すわよ?」

「うん。」


 母親がドアホンに指をかけて聞いてくる。

 男の子は一つ深呼吸をして頷いた。


 少し高いチャイムの音が鳴り響くと、奥から女の人の声が聞こえてきた。

 それと共にパタパタと小さな音も聞こえてきて、直ぐに扉が開かれる。



 家から出て来た母親と思わしき女性と、同い年と思われる少女に、少し緊張気味に挨拶をした。



「はじめまして。ぼくのなまえはーーーー」




書き途中になっていたものを修正して投稿したものです。

こんなものを書きたいなぁと思ったのですが、書ききれないと思いダイジェスト版にしてみました。


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