報告
私たちは、イリアスの街に無事に帰ることができ、冒険者ギルドに依頼達成の報告に向かった。そして私が窓口の人に話しかける。
「依頼の終了報告をしたいのですが」
そういいながら、私たちは冒険者証を見せる。
係の人がそれを機械に差し込み、何かを見ている。
「おかえりなさいませ。それでは、採取されたものを見せていただけますか」
ということで、私はグラスボアの牙と革の入ったカバンを受付の人に渡す。
「これです。あと、採取依頼は牙だけだったんですけど、革も採取してきたのでそれも換金お願いします」
「かしこまりました。少々お待ちください」
係の人がカバンを持って、奥の方に行き作業を始めた。
そして、少しすると戻って来た。
「グラスボアの牙74本、グラスボアの革37枚ですね。牙は一本銅貨16枚、革は1枚銀貨1枚銅貨4枚ですので、合計で金貨5枚銀貨3枚銅貨12枚です。まだEランクなのにすごいですねお二人とも。おめでとうございます」
「ありがとうございます」
1日で51,800円か。たしかに、なかなか良い稼ぎだな。まあ、下手したら私たち2人とも死んでたけど。
ギルドの酒場に移って、少し休むことにした。
「すごいよ、フィリス!金貨5枚だって。1日でこんなに稼げるなんて」
ハルトがすごい興奮気味に私に話しかけて来た。かわいい。
「いままではどうだったの?」
「大体1日銀貨14枚くらい」
「ということは、その7倍ってことか。確かにすごいね」
「なんでそんなに普通なの、フィリスは」
「私今日が初日だし」
「そうだったね」
話は今日の戦闘のことに移った。
「フィリスの魔法ってすごいね」
「そうかな」
「僕、魔法って初めてみたけど、あんなに強くて速いんだね。お陰で37匹も僕たちで倒せたし」
「ありがとう。ちなみに、ハルトが1人でグラスボアを倒すとしたら一度に何匹相手にする?」
「戦ってみた感じだと、できれば一度に1匹がいいな。囲まれると厄介。多分ソロで戦ってたなら、はぐれたグラスボアを探す羽目になってたね」
「そう?でも、今日は最後は5匹相手にできてたじゃん」
「あれは死ぬかと思った。あんなの二度とやりたくないよ。けど、何としてでも勝たないとフィリスが危ないって思ったから」
ハルト、かっこいい!
「そんなに苦戦した?」
「フィリスの魔法で大分ダメージを受けていて助かった反面、気が立ってて戦いづらかったっていう。まあ、ノーダメのグラスボア5匹に囲まれてたら確実に僕はやられてたね。フィリスの魔法には助かったよ」
そんなものなのか。おそるべし、グラスボア。
「逆にフィリスは一度に相手するなら何匹?」
少し考えてから返事を返す。
「一度に5匹ぐらいなら大丈夫じゃないかな。火魔法を使えば確実に仕留められるし。けど火魔法だと革がだめになっちゃうからね。ハルトがいてくれて助かった」
「そういってくれると嬉しいな。フィリスは近接戦はしないの?」
「してもいいけど、せめて防具を買ってからかな」
「そういえばそうだね。というか防具なしでよく今まで大丈夫だったね」
「基本逃げてたし」
「それは正解」
少し休みながら話をしたあと、宿に戻ることにした。