女神!
「王子よ!!」
「王子に御身を……忠誠を誓います」
「王子……」
俺の選別に合格した城の者は賢い。この俺についていけば間違いなく間違いないのだ。
邪魔な女共もいないしどうしよっかなぁー。いなければいないで退屈だし……。
「あ、そうだぁ!」
やっぱ俺って天才!!
あぁ〜!!やっぱ天才だ俺って。
俺は異世界への扉を作り出す。
「王子……これは!?」
頭の良い爺さんが爛々とした眼差しを俺に向ける。
「そうだな……言うならば絶対悪への粛清。その為の扉だ!!」
「王子……」
「付いてくるなよ。ここから先は……俺の人生なんだ……」
「「「王子!!」」」
お前らは王子しか言えねーのか無能どもが。もっとなんかあるだろ。頑張れとか、かっこいいですとか。そもそも俺は王子じゃない。
勘違い野郎共には勝手に勘違いしていてもらおうか……。いつまで経ってもやまない王子コールに煮えを隠しきれなかった俺はこいつらの時を奪った。
そう、【時間停止】である。
そして異世界への扉を乱暴に開ける。それも、時間を巻き戻した世界に接続する。扉の設定先は.......そう、女神の部屋。
「ハロー!!ハロハロハロー!!また来ちゃったよぉ〜!!ハハハハハハハハハ!!ここがどういう異世界なのか、何で全て日本語全てが伝わるのか全部聞きにきたよー!!」
「ヒッ!!誰ですかあなたは!?」
おっとそういえば初対面だな、 女神さんよ。
時間を空間ごと戻したこの世界は既に女神が復活している。
「これからここは俺の休憩部屋として使わせてもらおっかなぁ〜」
「神域に足を踏み入れし下賤よ!!今すぐに立ち去りなさい!!」
女神は哀れなほど震え、手に持った頼りない棒切れに魔力を貯めている。
「ほい、無駄ぁぁぁああああ!!」
「キャアアアアア!!」
目で睨むだけで杖はどこかへ吹き飛んだ。弱いな。
キャアアアアア!!だって!?うーん。自分が絶対的権力者だと思っているやつの力が折れるのを見るのは爽快だなぁ〜。
そうだ!この後、この空間に学校の偽物を立てて俺を虐めてきた男共のダミーを何度も何度も殺すのも良いな……。いや!待てよぉ〜!?本物をこの世界に引っ張り込むのもありだなぁ……。
「何が、何が目的なのです!?侵入者よ!!」
あ?そういえば女神まだ生きてたなぁ……。女神は涙目で俺を睨んでいる。今にも消えそうな抵抗が俺の嗜虐心を掻き立てる。
目的ぃ?そんなもんあるようで無いもんだろ。常に目的があるやつなんてどうかしている。
「目的なんて無いよ?いちいち目的を求めるなんてお前は何様だよ……ってああ!そっか!女神様だったねぇ!!」
女神は何かボードのようなものを取り出して、必死に何かを検索している。焦りからなのか、止まらない涙がボードを濡らしている。
「足、震えますよぉーー?女神さまあ?」
真っ青になった女神は俺の話を聞く余裕すらない。
「わ、私は……別の時間軸の私はなんて屑を転移させてしまったの!?」
もう遅いんだよ。いつもいつも。上から見てる奴らは気づくときも遅い。
「んじゃ!その力全てもらいうけまーす!!ごちです!!」
「え!いやあああああ!」
「キャッチアンドリリース!!能力いただいたからもう用ないやぁ!もう一回、死ねー!」
はい、【瞬殺】
こうして女神はまた、消滅した。あー愉快愉快。
はーあー!異世界転移最高だぜー!