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「僕」
暗くて、何にも思いつかない。
僕が誰なのか、僕が誰だったのか、それさえも考える事が出来ない。
頭に鈍い痛みが走る。
その瞬間、僕は消えたいと思った。
でも、消えたいと思う事は、確かにこの場所に僕と言う存在が居るという事だ。
だから、僕はいない訳では無い。
そう、僕は何だったのか。
これからの事を必死に考える。
そうだ、僕は、確かに息をしていた。
動いていた。
そして、何処かで人を見ていた。
優しいと感じ、悲しいとも感じる。
そして、人を愛したいと思った。