第三話 同調(シンクロ)
今回は、スキルと能力値説明会
巨木が織り成す森の中、俺は従者を了承後に契約の儀式をすることになる。
と、その前に能力値を確認しておこう。
十六夜 祐也
LV:1 職業:??? HP:30 MP:20
STR:8(E)DEF:10(E) AGL:15(E) INT:10(E) MDF:15(E)
……低い。いや、レベル1だから仕方がないと思うけど、これはひどい。
まあ、レベルを上げればなんとかるかな。
STRは力で、武器で攻撃する時のダメージに関わる。これ以外には武器を装備する際に必要になる。
DEFは防御で、攻撃を受けたときのダメージ軽減に関わる。
AGLは速さ(スピード)で、動きの速さに関わる。
INTは知力は、魔法による攻撃力に関わる。
MDFは魔防は魔法に対してのダメージ軽減に関わる。
数値の後ろにあるアルファベットは、ランクを表す。ランクは数値がどの程度に当たるかの基準となる。大きい順で並べると、EX>A>B>C>D>Eの順に並ぶ。俺の数値で言えば能力値は最低だということだ。
あとは職業が変になってるが、これは後で考えるとしよう。
ノエルが行う儀式の後にステータスをもう一度確認するか。
用意ができたことをノエルに告げる。
俺とノエルが向かい合うように座る状態で儀式が始まった。
「まず、祐也の両手を私の両手の上に乗せて」
ノエルは自分の前に両手の手の平を空に向けて、見せる。
その指示に従い俺は上からノエルの両手の手に添えるそうに手を置く。
「こうか?」
「はい、儀式の間はその状態のままでいてください。次に私から祐也に力を送ります。祐也はその力を私に返すようにして送ってください」
「魔力の体内循環を行うような感じか?」
「……?よく分かんないですが、片手から来たものを体に通してもう片方に流す様なイメージをしてください。目をつぶると感じ取りやすいです」
言われたとおり、目をつぶって感覚を研ぎ澄ませる。しばらくすると、右手から熱を感じ始めた。
「祐也、今から送るから決して動かさないでね」
「了解した。……始めてくれ」
俺の言葉がいい終わった直後に右手から何かが入り込んできた。
その勢いは、少量ではなく川の流れのごとく濁流だった。
俺は初めは驚いたものの右手から心臓を通り、左手に流れるようにイメージをする。
やばい、正直ノエル舐めてた。
神族だけであって、俺(全盛期)の10倍(推定)は超えてるぞ。
感覚的には数分程度経ったと思ったときに流れてくる勢いが収まり……
「―――終わりました。契約は無事完了しました。」
ノエルの声に意識が現実に引き戻される。
自分の体を見てみるが、特に体に変化ないようだ。次にステータスは……
十六夜 祐也
LV:1 職業:従者(女神:ノエル) HP:30 MP:20 SP:30
STR:8(E)DEF:10(E) AGL:15(E) MTR:10(E) MDF:15(E)
んー、能力値はSPが追加されてるが、他は変化なしっと……職業が従者になってるから儀式は成功してる。
あとは、スキルはどうなってる?
スキル
技
魔法
双戦騎
お!?双戦騎が増えてる!!
しかも、他のスキルとは別枠に作られてるということは専用スキルなのか。
習得スキルは
双戦騎
同調:LV1
「―――ノエル。双戦騎習得してるぞ。」
「はい!私も覚えてます。祐也は他に何か変わりましたか?」
言われてもう一度確認してみる。
PT:1十六夜祐也&ノエル 2 3 4 5 6
「そうだな……後はパーティ欄にノエルが俺の横にあるかな」
この世界においてはパーティ6人までのようだが、俺とノエルで一人分の扱いになっている。
「―――確かに祐也と一緒になってますね。けど、これについては知らないよ。」
ノエルも知らないとなると、後は地道に調べるしかないか
「……しばらく、様子見しかないな。ノエル、近くの町に向かおう」
まずは、拠点の確保を優先するべきだろう。
それからノエルの案内に従って、森の中を歩いて行った。
歩く中で短剣数本を取り出し、腰に付けていつでも抜けるようにする。
現在のSTR値だと、アイテムボックス内の強い武器・防具類は装備できない為、ナイフと皮装備くらいしか使えない。
十六夜祐也
装備 右手:ショートナイフ 革の鎧 革の靴
使えそうな装備はこれしかなかった。
ちなみに旅で持っていた強い武器防具が今はタンスの肥やしとなっている。
ノエルの方の装備を確認すると
ノエル=ラーファス
装備 右手:ロッド 豊穣のドレス 風の靴
やっぱりいい装備してるなあ。
ノエルもレベル下がってるけど、装備できているってことは専用装備かな?
そんな感じで想像をしている中で、これからのことについて考えてみる。
最優先はまず生き残ることだ。レベル低い内は、できる限り強い敵と戦わない。
次にスキルの習得。手数が多ければ、言うことなし。
最後にお金を稼ぐことだ。最優先事項に入らなければ、稼ぎがいい仕事を狙うか。
この3点を守ればしばらくはなんとかなりそうっと、スキルといえば同調を覚えたんだったな。
同調を発動……
[エラー]
スキル発動した瞬間、画面が出てくる。
「……ノエルちょっといいか?」
「祐也どうしましたか?」
ノエルに双戦騎スキルの発動失敗を説明した。次に考えれる案として
「―――という訳で、今度は同時に発動させたいと思う。」
スキル名が同調の時点でありえそうだ。
俺の言葉にノエルは歩くのを止めて、振り向く。
「2人同時ですか分かりました。3・2・1で行きますね」
俺はノエルの言葉に頷く。
『3……2……1……』
『同調!!』
今度はエラー画面が出なかった。代わりに視界の下に四角い表示が出てくる。
まるでオンラインゲームのチャット画面だった。
{うぉ!なんだこの画面!?}
あ、思考したら勝手に文字が入力された。
{なにこれ!?え?……えええええええ!!}
おお、ノエルも入力してる。
ノエルが動揺のあまりしゃがみこんでいる。
次々とノエルのチャットが入力される。
んー、チャットの履歴は100までか……結構、便利だな。
チャット機能の確認が終わった後にノエルを落ち着かせる。
{ストップ!ノエル、落ち着けって(笑)ほら、深呼吸したら?}
―――5分後―――
気を取り直して木に寄りかかりながら、同調について考察をする。
{……落ち着いた?}
{少しは、祐也さんは落ち着いていますね}
{んー、同じようなものを知ってるからね。とりあえずそれについて説明するね}
ノエルにチャット機能の説明を行う。
オンラインゲームのくだりは省いて、文字を使って会話する機能ということにした。
そして分かったことをまとめてみると
1.発動は同時で行う必要がある。
2.消費SP1で発動後はチャットを終了するまで効果は続く
3.テレパシーと同じように会話せずに意思疎通ができる
4.記入文字は30文字程度
5.ある程度意識すれば思考した言葉を文字にできる
相手に悟られずに会話できる機能は便利そうだ。
{戦闘中に作戦や指示が悟られないという点で、有用だなこのスキル}
{確かに便利そうですけど、なんだか落ち着かないです。==;}
……その割には顔文字使えるようになってるし、順応性が高いのかな?
そう思ったときに違和感があった。
{なんだ?地面が揺れているのか?}
足の裏に伝わる揺れに気づく。
{まさか、このあたりは地盤がしっかりしてるので地震は……本当に揺れてる?}
ノエルの言葉を聞いて否定した。
{いや地震じゃない……この揺れ方は何かが走る音だ!!}
振動音が強くなるにしたがって、耳にもズシン、ズシンと音が聞こえてくる。
俺とノエルは無言の状態で、ナイフと杖を構えた。
やがて、音が近づいてきた時に目の前の藪の中から飛び出してきた。
第三話、読んでいただきありがとうございます。
次回、先頭回です。
戦闘描写初めてですが頑張ります。