第一話 好奇心は猫を殺す
ようやく本編に入ります。
荒いですがよろしくお願いいたします。
次元の境界を歩いて、幾日。
特に景色に変化ないというのはあんまり宜しくない。
正直に言えば、暇だ!!
初めは周りにある異世界風景を見て楽しんでたものの、声もなく、乱雑に写された静止画にすぐに飽きてしまった。
誰もいない空間をさまよい続けている為、ほぼ無言になっていた。
たまにしゃべる時は主に愚痴となっている。
「はぁ、一体どこに向かってるのかさっぱりわからん。このままだと帰る前に精神がおかしくなりそうだ。そもそも船に羅針盤を持たずに出航したようなもんだしな……もうちょい、目先よりももっと先を考えなければならないといけないな。」
ふと、あることを思い出す。
……ステータス
その言葉を思考すると目の前にパソコンに出るウィンド画面が出現する。
名前:十六夜 祐也
職業:次元旅行者 Lv1
能力:筋力― 体力― 敏捷― 精神― 魔力― 運―
自分のステータス画面が出てくる。初めの異世界に召喚された時に最初に驚いたのは個人でステータスを持っていることだった。当然、真っ先に思ったのがRPGゲームだった。それからいくつかの世界を旅しても、ステータス値画面はほとんど変わらなかったはずの画面に違和感があった。
「能力値がない!?」
世界を旅している中で能力がリセットされることはあっても、表示がなくなることは初めてだった。
とりあえず、こういう時は順序立てて考察することが大事とじっちゃんが言ってたし、考えてみるか。
まず、次元の境界に来る前は画面は出現できたことは分かってる。次にステータス値は、世界を跳躍するたびにリセットされていた。これは世界ごとに違う理が存在してるため、異世界人が高能力を持って、異世界に行くとパワーバランスが崩れる可能性がある。その為、世界の修正力によって初期状態にされると仮説を立てている。確証はないが、実際にリセットされてるのは確かだ。ということは
「……ステータス値がないということは、どの世界に属していないこの空間においては能力値は存在しないということか。となるとどっかの世界に入ったと同時に数値は振られるということになるなら、仮説はかなり良い線をいってるかな。」
適当に考えた仮説が合ってるとなると、ステータス画面というシステムは、どこの世界でも互換性がある理と考えれるな。んー、考えてみると知らないことが多い。帰るまでの暇つぶしのネタとしては十分だ。
このあと、アイテムボックスという持ち物を別空間に収納するスキルは使用できることができたため、武器・防具・回復薬などの確認したが、特に以上が無かった。
せっかく集めた収集品がなくなってたら、しばらく落ち込んでたかも。
他に気になるのは、職業の次元の旅行者かな?習得条件は、次元を移動できるのが条件の可能性があるけど、とりあえずあとで考えるか。
そんな風に考えている時に視界の端から光が見えた。とっさに前に飛んだ後、後ろを見ると光線が見えた。アイテムボックスから小石を取り出し、光線に投げてみる。
石は光線に当たったが、そのまま通り抜けた。
「攻撃でもない、トラップじゃない。あの光線の出ている場所は……あの世界か」
興味本位で光線を出している世界に近づいた時にどっかの城の謁見の間に写っている。横に目をやると光線の方は薄くなって、やがて消えた時に謁見の間に一人のの人間が出てきた。この光景に見覚えがあった。
これは知ってる召喚されたんだ。召喚された状況も瓜二つといえる。となると俺と同じ異世界人ということか。こいつも勇者と呼ばれ冒険していくとなると同情する。初めは期待に応えていくことが嬉しかったけど、周りの人の期待をうらぎれない状況を理解したときに勇者という重圧はきつかった。
……頑張れよ、後輩。
ここで分かったのはあの光線が向かった先が俺の世界に近いとこにつながっているかも知れないということだ。とりあえず、進むべき方向は見えた!!あとはここから離れるとするか。
向かう先へ振り向いた先へ体を向け、歩き始める。
一歩・二歩・三歩……四歩目は来ない。いや違った、出せなかった。
なぜなら、体が後ろに引きずられた。
「!? しまった!!」
異常事態に後ろを見れば一目瞭然だった。
先ほどの世界から別の光が右肩に命中している。振り返った後に発射されたことで、死角からの攻撃に対応ができるはずはなかった。
実体がないはずの光が縄に引っ張られる感覚を右肩に伝わる。
「この!!離せ!!ぐぐぅ、このままだと引き寄せられる!!」
体制を整え、向かい合う形で力の限り入れるが、足が引きずられていく。
「何か他に手は……武器で切れるか?いや、さっきの石と同じで無理か。―――となるとスキル……スキル」
スキル 次元移動 転移 空間干渉 空間湾曲
視界の画面にはスキル画面が出てくるが、それまで習得して来たスキル数が数個を残して消えていた。
う!!能力値だけではなくスキルも無くなるのか。
しかも、知らない名前しかない。
使えるのか?っと考えている間に後がもうない、もう目の前に来てるから出せるのは一回限り……
「空間干渉!!」
いい終わった瞬間、俺は引きずり込まれてしまった。
どの位の間だろうか。
いつの間にか気絶していた。
混濁していた意識は徐々に覚醒し始めると、どうやら体のしたに柔らかい布のようなものの上にいる。
……ここは一体?
とりあえず無事のようだだけど、まずは現状確認っと
体を起こして、目を開けるとそこには
『……』
少女が倒れていた。
仰向けの状態で目を潤ませて、こちらを見ている。
……意識はあるようだった。
そのまま起き上がる気配は無かったが、彼女はただじっとこちらを見ていた。
その距離は、およそ三〇センチもないだろう。それよりも構図が悪かった
俺が体を起こした状態で、真っ先に正面にいるとこの状態はちょうど馬乗りとなっていた。
「―――大丈夫か?」
ポーカーフェイスを意識して、落ち着いた声で少女に問いかける。
まず現状、相手の状態は取り乱した状態と考えれる。
目に涙を浮かべ、顔を赤くしているところだとかなり深刻だな。まずは敵意をないことをアピールして敵ではないことを前面に押し出す。これで返答できなければ、既に手遅れだと思う。
「は……はい、大丈夫です」
とりあえず最悪の事態ではなかったようだ。
声のトーンから聞く限り、恐怖ではなく混乱しているように思える。
いつまでも馬乗りはまずかったかな?とりあえず、彼女から離れるべきか。
俺は馬乗りから立ち上がった。しかし彼女は動かなかった。
彼女を見下ろす形で観察してみる。
まず、草原の色を彷彿とさせる髪の色・目は俺と同じように茶色・西洋ドレスの様式で緑と白の二色が特徴的だった。過去にこうした人と会ったことある為、直感でわかる。
かなり身分の高い。
容姿や服装から見ても王族の可能性があるぞ(汗)。
下手な行動とったら、間違いなく面倒な状況が生まれてしまう。
落ち着け……落ちつんだ。冷静になれ十六夜 祐也。
まずは、倒れているところから落ち着いた場所に移動させよう。
感情を押し殺し、落ち着いた声で話しかける。
「それじゃあ、立てるか?」
「あ、その……」
……目を逸らされてしまった。しかし、拒絶されたわけではない。ここは押し通す!!
少女の横に移動して、片膝を付く。
「―――手を出してくれ」
「え? きゃ!」
少女が俺の指示で片腕を持ち上げた時に左手で持ち、右手で彼女の背中に手を回して、引っ張る。それで上半身を起き上がらせる。
背中と手で引っ張ることにより、負担なく起こすことができた。
そして、起こしたあとで、左手を彼女の両足の膝の下に回して、そのまま一緒に立ち上がった。
傍目から見れば、お姫様抱っこであるが、そんなことを考えている余裕は無かった。
改めて周りを見ると、幅は4、5メートルを超える巨木が等間隔で生え、木々の隙間から日の光が差し込み、森の中でも十分な光量が届いていた。他には池が見える。透明度は高く、透き通っており飲み水としては問題なさそうだった。太陽の光に照らされた池は新緑の中にある池という妖精が住んでいそうな神秘的な雰囲気が醸し出されている。
あの池辺りなら、落ち着いて話せるかな。
池の傍に近づき、アイテムボックスから椅子を二個取り出す。二つを横に並ばして、片方に少女を座らせて、自分は隣に座る。
少女の様子を見れば、先程よりは落ち着きを取り戻していたようだった。
ようやく自己紹介始められそうだ。向こうから見れば怪しいのはこっちだし、先に名乗るか
「俺は、十六夜 祐也だ。世界を旅をしている旅行者だ。……少し気を失っていたけど、君に迷惑をかけてしまったようだ。」
……嘘ついていないけど、苦しいなあ。
自己紹介の後、少女の返答を待つ。
しばらくの沈黙の後、少女は意を決した様子でこちらに向いて話す。
「―――私はノエル=ラーファス 四級神の豊穣を司る女神です。……
―――今、何といった?……え? 四級神?
……十六夜様、私の従者になってください」
ノエルというこの女神から言葉に、内心、呆然とするしかなかった。
第一話読んでいただきましてありがとうございます。
今回は導入部分となります。
神族となるノエルとの邂逅によって、自体は大きく動き出します。
スキル説明
次元移動
次元の境界(世界の狭間)の影響を受けず自由に歩けるスキル。(自動発動スキル)
以下詳細を述べます。
世界と世界の境界は卵の殻よりも薄いが、干渉不可な空間である。
世界と世界との距離の間に、道という概念を作り出して移動する術式:世界跳躍(プロローグ参照)のみだと薄すぎる境界を飛び越して別世界に行ってしまう。この次元移動と組み合わせることで、境界に止まることが可能となる。
また、解釈の仕方を拡大させれば、幻を見せて迷わす結界空間などの世界との隔絶した空間において、影響を受けずに移動できる可能性がある。
※このスキルは概念的な部分があるため、通常の理とは異質である。よって結界の影響対象外と考えられる。