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課外活動のテーマは密室(1)

 空気を裂くような悲鳴に下校中の生徒たちは一瞬動きを停止し、その場に沈黙が訪れた。


 やがてざわざわと場は騒がしくなり、僕と萌花は群衆が徐々に二手に避けていくのが見えた。


 今まで人の波によって支配されていた空間が二手に避けることで、見えていない景色が唐突に出現する。僕らは悲鳴が上がった方に向かって歩いていくと、そこにはナイフの刺された人間が倒れていた。


 ――男、かもしれない。


 男子高校生用の制服を着用しているのだから女子ということはないのだろうけれど、僕にはそうだと断言する自信がなかった。


 なぜならその脇腹と腹部、胸部と背部の四ヶ所にナイフを刺し込んだ学生服姿の人間は、頭部に強盗が着用していそうな黒いマスクをすっぽりと首の下にまでかぶっていたからだ。


 そのマスクには目があるべきところにガムテープが貼られている。でも、僕は知っている。そのガムテープの下には外界を見るための覗き穴があるという事実を。

 その覗き穴から外を見ることができることを、つい先日、実際にかぶった僕が確認している。


 そう。あれは、僕と真希が被っていたマスクだ。だからあのナイフを刺した犯人もきっと、彼女なのだろう。


「おえ、ごほ、誰か……痛い……」


 マスクで表情は見えないが、かなり痛がっているのはその悶える姿と苦痛に満ちた声を聴くだけですぐにわかった。

 萌花がぽつりと呟いた。


「救急車、呼ばないと」

 ――あと、警察も。

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