キスした理由(4)
携帯の通話は突然切断され、スピーカーからは何も聞こえなくなった。
急に周囲は静まり返り、なぜ自分はこんな場所に独りでいるのだろうと急に寂しくなった。
早く……萌花を助けに行こう。
僕は廊下を走り出した。
――助けるって、どこに行けばいいんだ?
走っている最中、再び爆発音がした。窓ガラスがビリビリと振動し、外を見ると反対側の校舎から黒い煙が出ていた。
あそこは、音楽室かな?
まだこちら側で爆発している場所はないのかもしれない。探すなら――
『職員室に教職員のパソコンがあるわ』
僕は突然、真希の声を思い出した。
ポケットにはUSBが入っている。
――馬鹿か、僕は。
今は萌花の救出が先なのに。いや、そもそも助けるなら携帯を使えばいいんじゃないのか?
僕は携帯電話を取り出し、着信履歴を表示させた。画面を見た瞬間、頭が混乱した。
『不在着信12件』
変だな。いつの間にこんなに電話が?
僕の携帯は常にバイブレーションに設定されてある。電話とメールでそれぞれ振動するパターンが違うというだけで、基本的に携帯電話からは音がでないように設定されているのだ。
つまり、この携帯に電話かメールのいずれかが着信されると、他の人は気づかないかもしれないが、僕自身が気づかないことはまずない。
だが、この数十分の間に12回も誰かが僕に電話をしてきた。相手は、萌花だった。
不在着信の一番最初の時間帯は、ちょうど僕宛にメールが来た時刻だった。
あの時。あの校庭にいた時。萌花は既に僕に電話をしていた。
なんでそれに気づかない?いや、そもそもなぜ既読になっているのだ?
通常、携帯電話に誰かから着信があれば、ディスプレイ上に不在着信アリと表示される。でも、僕の携帯の画面にそのような表示はされていなかった。
履歴を見たから気づいた。これではまるで――
――まるで……
僕は頭を横に振って、嫌な妄想を頭から振り払った。
何が起きてる?なんで僕はメールには気づいたのに、電話には気づかなかったんだ?
頭が少し混乱してきた。――とにかく、一度職員室に行ってみようともなぜか思い始めていた。




