第5話 召喚×ヤクザ=旅のお供?
なんだこれ?異常にでかい化け物が自分を攻撃してきたと理解した安藤は、いける!!何故かそう確信した。現に発砲スチロールのように魔物は飛んで行った。
緊張があった分だけ安藤の怒りはピークだった。
容赦なく蹴りつぶす。
ひと段落して気づいた。ここは俺の部屋ではない、と。
「あー、夢か」
どうやら精神が高ぶっていたらしい。アンディと遊んでいたせいで怪獣モノでも思い出したか、そう思うことにした。どうせなら上に行こう。そう決めた瞬間、さっきの怪物が爆発しようとしているのに、ピンクの髪の少女が目の前にいた。
「危ねえ!!」
とっさに飛び出し庇う。夢なのにバカくさい。そう思ったが不思議と悪い気分はしなかった。
「ガキが抗争中に紛れ込んでるんじゃねえ・・・さっさと帰れ」
つい抗争のつもりで動いたが、夢だ。ガキがいるのも夢に違いない。そう思い、上へと続く階段を上る。しっかりガキに拳骨をして。
途中スライムを踏み潰し、ドロドロしたものが靴とズボンについてイライラした。
地下は瘴気から解放され、ただの薄汚い通路に戻っていた。
「おいおい、どこまで続いてるんだ?だいぶ広いな」
靴の中のスライムはあっという間に乾いてカチカチになった。不快さが増す。
狭い日本で育った安藤からするとこのルナブレイク城の大きさは相当なものだった。通路一つとってみても端から端までが100mを超えるのだ。階段は螺旋になっていてやたら段数が多いし、不可思議で仕方なかった。
やがて、一際明るい階についたとき、これは夢ではないと気が付いた。ためしに頬の十字傷をなぞってみる。鈍い感触があった。そのまま少しひねると痛みがある。
「夢じゃねえな・・・なんだここは?」
少し先に大きな扉があった。謁見の間だ。
その扉を開いてフルブレイクと対面した安藤はいよいよここが日本ではないと確信した。
誰も突っ込まないことだったが、太った王の額には2本の角が生えているのだ。
警戒するフルブレイクに対し、安藤は極上のメンチを切った。
フルブレイクの目が見えていたのならば、おそらく失禁脱糞のフルコースは確実だった。近衛の二人は正しくそのとおりの憂き目にあったのだから。
「状況がよくわからないが、みなよくやった。今夜は宴にしよう」
フルブレイクは安藤の処遇や爆発した魔物、様々な案件をすべて後回しにしてまずは労うこととした。
「王様、ありがとうございます!」
宴と聞いたプリムローズは食べ損ねたムニエルを思い出し、空腹を感じる。やはり年頃の少女にパンだけで餓死寸前から回復しろというのは少々無理があったらしい。元々細かった手足が、今回の過酷な旅で更に痩せてしまったことを知るものはいない。
それから数時間後、王宮の豪華な客室で入浴を済ませメイドにドレスを着せられたプリムローズと、同じくスーツをクリーニングしている間に夜会服を着せられた安藤は色とりどりのご馳走が並ぶ晩餐会に迎えられた。
「みなのもの、我が国へ現れた脅威は今は亡き賢者の愛弟子、プリムローズとその召喚獣によって取り除かれた!今宵はめでたい席ゆえ、飲み、食い、存分に休息を取ってほしい」
フルブレイク王の号令のもと乾杯の声の中、一際軽い音が鳴る。
てーてれってれー
ファンファーレが鳴る。レベルアップの音だった。
この世界ではレベルが上がると風の精霊がお祝いをしてくれる。それは努力が報われる瞬間や、何か試練を乗り越えたとき、絶体絶命のピンチを迎えて急速に成長した時など様々なタイミングで起きる。今回は魔物退治のイベントが完全に終わったということで経験値を得た誰かが上がったのだろう。
「これはめでたい!と拍手で祝う一同。コルセットが痛々しいゲイルも大声で『めでてえ!!』などと吠えていた」
「あ、誰かな?」
プリムローズが拍手しながら音に振り返ると、すぐ横にいた安藤のレベルが上がっていた。
「ええ!?」
召喚獣がレベルアップするなどというのは聞いたことがない事態だった。
「ん、なんだ今のふざけた音は?」
安藤自身は自分がレベルアップしたことを知らなかった。
「ええと・・・レベルアップしたよ?」
プリムローズがレベルアップのファンファーレと説明したことで安藤は眉間に皺を寄せて考える。
「そもそもだ、俺はなんでここにいる?それから何でお前はまだここにいるんだ?」
安藤からすると全く背景がわからないままにモンスターを倒し、それがめでたいからと宴に招待されたことしかわかっていなかった。目の前の桃色の髪の少女は自分が置かれている状況を理解しているのだろうか?
「ええと、その前にお名前聞いてもいい?私の名前はプリムローズ。召喚士だよ」
ああ、夢だと思っていたせいでお互い名乗り合ってもいなかった。
「ぷりぷり?なんか甘ったるそうな名前だな。俺は火山会、極竜組の若頭をやっている安藤 富士雄だ。どうでもいいが俺は帰れるのか?」
「ちょっと、ぷりぷりってなに!?」
薄桃色の髪の少女は名前のごとくぷりぷり怒っていて見るものが見れば可愛らしさに和んでいたことだろう。・・・異世界に放り込まれたヤクザでもなければ。
安藤は昔見た映画をいくつか思い出していた。こういう巻き込まれて移動した場合の異世界トリップは十中八九問答無用で帰れない。または大事件が終わらないと帰れないの二択だ。元々クソ度胸の男である。どんな運命かは知らないが受け入れ、突き進むのが極道の道だ。
『帰れないでしょうね』
安藤の聞き覚えのない硬質な男の声がプリムローズから帰ってきた。
「え、え、え!?この声は・・・」
「お、賢者じゃねえか?」
いつの間にか近くにいたゲイルが賢者の声をプリムローズの手に持つ黒い魔本から聞き取っていた。
『お久しぶりですねゲイル。相変わらず無茶をしてるようで何より。プリム、この本ちょっと開いてくれませんか?』
「はい!」
『ふう、やっと出れました。お久しぶりですね。そちらの君は初めましてですね』
本を開くと30センチばかりの立体映像が浮かぶ。薄緑色のやや長い髪に丸いメガネ。服装は魔術師然とした長い戦闘用ローブに貴族の夜会服よりも尚豪奢な魔術銀の縫いどりのあるものを着用している。その手にはプリムローズが背中に背負った杖と同じ形の杖が握られている。
「お師匠様、お亡くなりになったはずでは?」
目を潤ませながら父替わりであり、兄替わりであり、先生であった賢者を見つめるプリムローズ。
『ええ、すっかり死んでしまったようですね。この魔本は生前の私のバックアップなんですよ。思考のコピーと言ってもいいかもしれませんね。マオに拾ってもらうのは苦労しましたよ。本の中からかなりの魔力波動を出しましたから・・・。未来予知の呪文で50年くらい前に用意しておいて正解でした』
「お前、準備いいな。俺なんか明日のことも考えてねえぜ!」
そう明るく笑うダメなおっさん≪ゲイル≫を華麗にスルーした賢者は安藤とプリムローズへと魔法を放つ。
『今アナライズをかけました。もう少し待ってくださいね。プリムと・・・安藤、君のステータスを見ています。この数値次第でわかるのですが・・・これは!?』
「お師匠様、どうしたんですか!?」
心配するプリムローズに賢者は困った顔を返す。
『安藤、心して聞いてください』
「ああ、いまさら驚かねえよ」
安藤は嫌な未来はあらかた予想して既に覚悟はしていた。
『あなたのレベルは95です』
『えええええええ!?』
いつの間にか近くに来ていたフルブレイク王とジョッシュも含めて全員で驚いていた。
「それは高えのか?」
『そうですね・・・この世界におけるレベルは、存在のウェイトに比例すると言われます。王族や勇者なんかは生まれたときから高いレベルが多いのですが、それはその存在が成す役目の大きさに比例しているのです。そこのゲイルやフルブレイクはレベル65の猛者です。時の魔王を倒し、今の世界の平和に貢献した立役者ですからね。そしてプリムは現在進行形で成長を続ける天才です。10歳の時にはレベル40を超えていました。今は・・・59ですね。魔王討伐メンバー並の高レベル者なのですよ』
「ええっ、私そんなに高かったんですか!?」
驚きまくるプリムローズ。
『あなたはプリムによって召喚されたので、プリムによって送還されねばなりません。しかしレベルが高すぎて今のままでは無理でしょう。送還魔法は抵抗によってかき消されてしまうはずです。安藤、お願いがあります。プリムと共に近い将来に来る災厄を倒してくれませんか?』
つまり強大な脅威とプリムが立ち向かう際に安藤が協力すればプリムはレベルが上がり、安藤も送還できるようになる。賢者はそう言ったわけだったが・・・。
「断る。俺はガキに戦闘させる気はない」
『ああ、ならば戦闘は貴方がしてください。旅につれていくだけでいいですから』
「・・・お前、腹に一物あるタイプの奴だな。何か他に意図があるんじゃないのか?」
安藤と賢者はお互いに視線を交わし、腹の探り合いをする。
『元の世界にやらないといけない使命があるのでしょう?戻るためには仕方ないと思いませんか?それにプリムも今は子供ですが、そのうち出るとこも出てボンキュッボンの素敵な女性になると思いますよ?』
男連中の視線がプリムローズの体に注がれる。
「ああ、ざっともう3年てとこか」
ゲイルは無駄に眼力を発揮した!!
「ううむ、ゲイルと賢者が言うのならばまず間違いあるまい」
フルブレイクまで乗ってくる。
「あと3年でボンキュッボン・・・ぶ!?」
ジョッシュは鼻血を流した。
たまらないのはプリムローズだった。
「ちょ、お師匠様!?何言ってるんですか!!みんなにじろじろ見られてるし!!」
赤面してキャーキャーわめく。
「何言ってんだお前・・・」
安藤だけが冷静に賢者に突っ込みを入れる。
『たぶんけっこう長い間一緒に暮らすことになるわけですから、先行きが楽しい方がいいでしょう?育てた私が言うのもなんですが、プリムは性格よしの器量よしです。召喚獣には魅了の追加効果もありますから協力していただいて損はないかと』
賢者はやり手ババアが見合いを進めるがごとく次々にプリムの良いところをあげつらう。
「・・・お前の言わんとしていることはわかった。このガキにこれから先、危機が訪れる。俺にはそれをなんとかするだけの力があるから自分のかわりに守ってほしいということか」
『貴方、なんでそんなに全部読み取れるんですか?少々見直しました。私はもうこの世界には存在しませんから、代わりにあの子を守ってくれる人がいると助かるんですが・・・』
賢者は先ほどと打って変わって真顔で語る。
「今度は泣き落としか・・・食えない野郎だ」
「お師匠様・・・危機ってどういうことですか?」
プリムローズの薄青い瞳には動揺と不安の色が揺れていた。王宮に現れた魔物以上に危機なんてものが存在するとして、自分はそれに相対できるのか・・・過酷な運命を背負うにはまだ幼かった。
『私にもはっきりとは読めませんでしたが、近いうちに世界に選ばれた次期勇者が現れます。私達の知る先代勇者は星に帰りましたが、彼よりも更に強力な勇者が仲間を欲するはずです。プリム、貴方はその勇者を手伝う必要があります。彼は貴方の力がなければ大いなる影につぶされ、果ててしまうでしょう。すべてが終わったとき、あの召喚獣を元の世界に還してあげてください』
「おいおい、あいつより強い勇者が出てくるのはいいけどよ、それが負けるくらい強いってどんな化け物だよ!」
ゲイルの言うことはもっともだった。先代の勇者ははっきり言って人類最強だった。魔王との最後の決戦では、最終形態になった魔王と3日3晩殴り合い、全人類の希望の祈りや、今まで出会った人達の応援の声でひたすらパワーアップを繰り返し、本当に全人類の想いを乗せた拳で魔界最強最悪の魔王を相手に競り勝ってしまった。そんな彼より強い次の勇者を上回る強敵・・・世界は脅威にさらされる。
「うむ、ワシにできることは仲間集めくらいか・・・。聖騎士選抜会を開こうぞ!!」
聖騎士選抜会。国で最強の者を選りすぐる祭典にして勇者パーティを見出す最上の機関でもある。
平和を祝う会から一転して王宮には新たな熱が渦巻いていた。
テラス
「おう、お前も来たか」
安藤は風に吹かれて階下の噴水と庭園を眺めていた。
「うん、ちょっと人の多いところって苦手」
プリムローズはほんのり上気した顔で安藤に笑顔を向ける。
「酔ったのか?」
「ちょっとだけ」
「ガキはジュースにしとけ」
「ガキじゃないもん。もうすぐ17歳だし」
安藤は噴水に視線を戻す。
「十分ガキだ」
「もう!」
プリムローズも噴水に視線を向ける。
「安藤、間違えて呼び出しちゃってゴメンね」
「いや、俺も向こうで少し気分転換をしたいと思っていたところだ。旅行に来たと思っておく」
「安藤って見た目怖いけど優しいね」
はにかんだ笑顔は安藤がかつて愛した女に似ているように感じた。
バカらしい。俺は旅行に来てガキのお守りをしてやるだけだ。そう思うことにした。
「ねえ、安藤って向こうで何してる人だったの?」
安藤は少し戸惑った。プリムローズは自分の呼び出した召喚獣が向こうでどんな人物だったのか純粋に知りたがっている。しかし極道というものはある意味屑の中の屑だ。自分は違うなどと間違っても言えない。
「ただの、屑だ」
これにはプリムローズの顔が悲しそうな顔になった。
「えっと、ごめん。聞いちゃいけないことだったのかな。私って気になることあるとあんま考えないで聞いちゃうから・・・その、話したくないことだったらごめんなさい」
安藤は失敗したと心の中で思った。そのままを話したつもりだったが、かえって余計な心配をかけたらしい。
「気にするな。お前が思っているようなことではない・・・と思う」
実際少し違う問題だった。安藤自身は己を卑下するつもりはないのだ。自分の道に後悔しないための覚悟を持っている。ただ、人に誇っていいものではないことも理解しているつもりだった。
「なんか、安藤って強いね」
「俺から強さを取ったら何も残らないしな」
ただ強く、曲がらない意志を通すのが安藤だった。選んだ道は逸れない。それだけのケチな男だ・・・そう思っていた。
「その、今日は助けてくれてありがとう。なんだろ、召喚獣相手なのに、なんかドキドキしてきた」
顔を真っ赤にして言うプリムローズ。
「ああ、きっと酔っぱらってるんだ。明日には忘れるさ」
サングラスをかけていない安藤の目は鋭いが、優しい光を放っていた。
翌朝
「うううう・・・頭痛いよぉ」
プリムローズはしっかり二日酔いを経験していた。実は高級なシャンパンを飲みやすいからと相当量飲んだのだ。この世界の住人は地球の白人の5倍近いアルコール耐性があるが、比例して60%も70%もアルコールの含まれた酒を飲んでいればそれは対して変わらない酔いとなる。
「ラーメン食うか?」
ベッドで横になっていたプリムローズはぎょっとなって安藤を見る。
「ん、こっちにラーメンってないんだろうか?」
安藤は数時間前に目が覚めて適当にキッチンを使ってラーメンもどきを作っていた。幸いにして卵や小麦粉など食材の多くは地球のものと大差なかった。
「なななんで安藤が一緒の部屋にいるの!?」
プリムローズは薄いパジャマ一枚の恰好だった。
「なんでって・・・貴族連中が泊りすぎてこの部屋しかないからと案内されたからにきまっているだろう?安心しろ何もしていないし、そこのソファで寝ていたからな」
ソファの上には毛布が転がっていた。
「そういう問題じゃないのに・・・」
泣きそうになるプリムローズ。
「で、ラーメン食うか?伸びるぞ」
「ラーメンて何?」
部屋にはおいしそうな匂いが充満していた。
二日酔いのときのラーメンと水はプリムローズにショックを与えた。
「おいしいよ!!安藤って料理もできるんだね!!」
ラーメン作りは昔バイトで覚えたものだった。
「料理なんてものはできねえ。ラーメンが作れるだけだ」
実際安藤は米が炊けないレベルの料理下手だった。強すぎる握力で米が全部砕ける。
ラーメンだけは機械的に作り方を知っているだけだ。
「腹が膨れたら作戦会議だ」
「はくへんふぁいひ?」
「食いながらしゃべるな」
ラーメンと水でだいぶ胃の落ち着いた二人は賢者を再び呼び出して会議を始めた。
「おい賢者。このあと何すりゃいいのか教えろ。さっぱり状況がわからん」
安藤は賢者に厳しい視線を送る。みんなは気づいていないが安藤にはわかっていた。この賢者は大事なことを話していないと。
『そうですね・・・まずは聖騎士選抜会に出て、貴方達の仲間になる人がどの程度のものか見てください。きっと意味があるはずです』
「あれか、一か月後にあるっていう格闘大会みたいな・・・」
「1か月もあるならその前にも色々できそうだね」
賢者は杖を振るって地図を出した。
『ここが今いる王都。距離にして3日くらいでしょうか・・・実は遺跡があるんですが、奥には魔獣が封印されています。とりあえずは二人の連携を試す上で行ってみてください』
安藤は正直な話プリムローズを連れて行きたくなかった。
「おい、ガキは戦わせる気はないと言っただろう」
『守ってあげてくださいね』
それだけいうと勝手に本は閉じてしまった。
「くそ、本当に食えない野郎だ」
イラつく安藤をプリムローズは宥める。
「私も頑張るから!安藤よろしくね」
笑顔で微笑まれ毒気を抜かれてしまう。
「お、おう」
それだけ返してらしくない自分に頭を振り、安藤は出かける準備をした。
謁見の間
「お、来たか」
「行くのかね?」
ゲイルとフルブレイクは既に見送りの準備ができていたようだった。
「はい、お師匠様にステイシスの遺跡で魔獣退治をするよう言われましたので出発します!」
「だ、そうだ」
元気なプリムローズに面倒そうな安藤を見て、王は侍従にいくつかのアイテムを取り出させる。
「これをお主達にやろう。きっと役立つはずだ」
プリムローズには30センチ程のドリルと20センチくらいのギターピックのような青い板が渡された。
安藤には日本刀によく似た片刃の長剣と防具一式が渡されるが・・・。
「これだけでいい」と、剣だけうけとって鎧は返してしまった。
「王様、これは?」
「グランドドラゴンとシードラゴンの召喚触媒だ。かなり昔に賢者が宝物としてしまっていった物を思い出してな。ぜひ使ってほしい」
腰に紐でぶらさげたブックホルダーが心なしか動いた気がした。
「ありがとうございます」
プリムローズは王と賢者の二人に礼を言った。
「なんでえ、お前さん防具は使わねえのか?」
ゲイルが安藤に声をかける。
「ああ、もともとそう言うのは着ないところの出身でね」
「そうか、怪我はしねえようにな」
意味もなくがっはっはと笑ってゲイルは満足そうだった。
ジョッシュ以外の城で会ったメンバーに見送られ、二人は出発した。
ジョッシュはその頃二日酔いで死んでいた。