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『限界』【掌編・随筆】

作者: 山田文公社

『限界』作:山田文公社


 それがもう限界だと言うことはひとめで判った。書いている途中で気づくのだ。もうこれ以上がないと言うことに……ただこれを書くことで何が変わるのか、それだけを見る事ができたらなら、それがどれだけの救いであるかを思うのだが、見るまでもなく、それが惨めな行為だと知る。

 もう書くことを辞めて、一つ一つを丁寧に時間をかけて書き上げる事が出来たなら、それは幸せだと考える。しかしそれは許されない。それは書く事と向かいあう過程を経ていないからだ。もう書けない、それだけは判っている。しかしこうして何も言葉にもならないのに書くことで、身の内を削り切り空へ変えていく。中身が無くなれば空いた部分に多くを詰め込める。

 使わない物は腐るか、あるいは発酵し熟成される。時間をかけて良い物も当然あるだろう、しかし時間をかける事で駄目になる物も当然ながら多くある。私の中に詰める物がそのいずれかも判らないし、そのいずれでもないかもしれない。ただ時間だけは失われていき、書く事を探し続ける日々が来るのだけは避けたい。どうせ書くと根ざしてすぐに動こかなければ、ただの空論でしかない。

 書くと決めて書けるほどに容易い事ではない。しかし書くだけでは少しもつまらない。書き続けてなお面白くなければならないのだ。それが如何に難しいかだが、それが出来なければならない。そう自分に課している……課しているだけである。それを果たせるからこそ課していると言える。果たせないのだから、書くと言って書かないのとかわりがない。

 限界は誰にでもある。それをどう受け止めて乗り越えるかが真価を問われる部分なのだろう……私は惜しげもなく声を大にして言う、もう限界であると、だがそれで終わるならば意義も価値もない。それを乗り越えるて見せるのが有意義であり、有価値であるのだ。

 苦しみしかない。書くことで何も変わる訳ではない。誰が咎める訳でもない。始めるのもまた辞めるのも簡単である。しかし為にはならない。自分の為にこの苦しみも限界も用意されたのだ。それに挫折することも出来るし、立ち向かう事もできる。諦めなければ必ず成功するというが、あれは嘘である。しかし生き方というならば別だ。人の一生は長くて短い。生涯を通してやっていける事があるのと無いのとでは、大きく変わってくる事だろう。書くことを選び、歩んでいる。当然私は困難な道を選び歩く。それはその道が困難であればあるほどに面白く楽しいと信じているからだ。

 現実にこうして苦しみ、追いつめられている。だが道を開く度に少しずつ自信が身に付いていく。一話書く事は難しいけれど、そのことで得る物は大きい。どんな心の形ですら言葉にし文字にする。書く事でそれを学んだ。それは苦しみだけでなく、感動すら表現できる。感動だけじゃない。世界のあらゆる事は記述できる。

 書くことを続ける。

 それは決意でもあり、宣言でもある。道を決めるとはこういう事だ。熱が出ても、咳が止まらなくても続けたのだから、もう進むだけである。ただそれは決意が無くてはできない。決意すれば壁が現れる。それを乗り越えて成長がある。限界とは決意の末の壁なのだ。

 生きる事は決意と限界の壁の連続である。壁を乗り越えた時また新たな道が見える。しかし道を進むには決意が必要であり、決意の先には壁がある。その壁はいずれ限界の壁になる。

 私は壁の前にたたずむ。超えたと思った壁は続いていた。そして新たな壁にたたずむ。超えて行けるのかと自分に疑問を投げかける。その問いかけに答えはない。

 ただ、書くことだけが目の前にある。文字を弾く指が文を産み出して連ねて行き文章となる。ただもうそれが限界なのだ。文字の羅列ではなく。話を書く事を心のどこかで求めている。ただ私にはその力がない。だから言葉の羅列に自分で限界を感じるのだ。書けないのではない。新たな道に進めない事に限界を感じている。

 前に進むのは恐ろしい。だが前に進まなくてはならない。例えそれが限界だとしても、進むしかないのだ。道を求める者には必ず訪れる試練だが、諦めずに進んでいくだけで良い。

 例え越えるのが難しくても、いつか必ず越える日が来る。道を歩むので一番恐ろしい事は、歩むのを辞める事だ。辛くても苦しくても歩みを止めずにいれば、必ず何かを得ることが出来る。

 いつか道が開け限界を超えた先に辿りつくまでは、ゆっくりとただ前へ前へと進む。これが読むに堪えないとしても書くこと続けていく。

お読み頂きありがとうございました。


愚痴……ぽいですね。

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