Vtuberのたまごを大切に育てすぎてとんでもねえモンスターが生まれてしまった件
『こんエグ~☆ 君の頭を卵みたいにぶっ潰す、エグちランランです!』
〈挨拶エグ!〉
俺は画面のチャイナ風卵大好きVtuber『エグちランラン』に無の表情でコメントを送る。
『わあ、おんどりやークン、今日も来てくれてありがとう。今日も視聴者1人スタートだけど頑張るネ』
そう、現状1。俺だけ見てる。
人気皆無のV配信を何故無の表情で見ているのか。
このVが俺の幼馴染だから。
黒髪ショートJK、江口珠子が、隣の家でバタバタやってる。今日もカーテンの締めが甘い。こういう所がほんとだめだ。
俺が、Vが今アツいと話して飛びついた流行に流されやすい女。
本人は秘密のつもりだがバレバレ。
俺も間接的にとはいえ、Vをやらせてしまった手前、配信がある時は出来るだけ見て応援しているが、厳しいだろう。
Vのたまごのまま腐っていくだろう彼女を最期まで見続けることが自分の責任だ。
と、思っていた時期が俺にもありました。
『こんエグ~、エグちランラン~! てめえらの頭をぶっ潰すゾ☆』
〈エッグい挨拶キター!〉
〈こんえぐ~〉
〈同時試聴数エグすぎるな〉
エグいことになっていた。
エグい配信時間と運で爆発的に伸び。いつの間にか初期の万倍視聴者を集める大人気モンスター配信者に。
エグい視聴者数で引退だと思っていたが、まあ、これはこれでよかった。
もう俺は必要ないなとパソコンをそっ閉じ……したかったんだが。
『あれ? おんどりやーさんいない? ……じゃあ、やめよ』
超絶低音エグちボイスが響きわたり慌てて画面を開く。
〈嘘、だろ……〉
〈なん、だと……?〉
〈配、信……終、了……〉
ざわつくコメント欄。
俺は無の表情で鬼早キーボード叩き。
〈おんどりやー:いmす〉
俺のコメントが流れた瞬間、エグちがぱあっと声を明るくさせる。
『わあ……おんどりやークーン』
コメント欄は急激な変化に大盛り上がり。
〈声の変化エグすぎ最幸〉
〈悪魔から天使の高低差で耳キーン〉
〈親鶏フラキタ〉
そう、エグちランランに、『最初から応援し続けている人間』として認知、いや、親鳥的刷り込みが完了からの依存、厄介配信モンスター誕生。ファンにも認知・応援され、ほぼ二人組配信者だ。
『えへへ、今日も頑張るネ。だから、どっちもずっと見ててネ』
まあ、好きは好きだ。Vも本人も。
気付けば、ランランが横を向いている。
そっちは……俺が隣の家に目を見遣るとカーテン全開の窓からアイツがウィンクぶちかましてた。
いや、やり方エグっ!
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