表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/17

序 ~世界崩壊~

なろう、初投稿です。


よろしくお願いいたします!


 ――世界は完全に混乱していた。


 始まりは西の果てと呼ばれる大陸を治めていた――ロードリゲス公国。


 その国が突如、海を越えてやってきた異種族に強襲され、滅ぼされたのがきっかけだった。



 海、といったがロードリゲス公国より西は【人類未踏】の未知の世界である。ロードリゲスが【西の果て】と呼ばれる所以だ。


 海を渡ろうとしても、沖から数里出れば必ず海難に遭う。

 突然襲ってくる嵐に船は木端微塵となり、まともに航海などできるものではなかった。


 ある意味、天然の要害に守られていた西大陸のロードリゲスは平和で、気候も豊かで、ゆえに大国と呼ばれるまでに成長したのだが。

 その大国領――西大陸すべてが、わずか数か月で跡形もなく廃墟になるとは誰も思ってもいなかった。



 その報せは海を渡って逃げ延びた人間により各大陸に伝わったが、その時点では誰もが懐疑的であったという。

 無理もない。まず「どうやって?」と誰もが訝しむからだ。

 それほど西大陸は広大なのである。


 だがそういった慎重な各国の姿勢が次の災いを招き――世界崩壊への楔となる。



 西大陸を制圧した異種族は――この時点では仮に【エスタロス】(※この世界の童話【謎の異民族】の意に由来する)と称されていた。

 ――異種族エスタロスの軍団は滅ぼしたロードリゲスの兵器(特にかの国の強力な軍船)を用い、さらに海を越えて瞬く間に世界の半分を平らげてゆく。


 圧倒的な強さだった。


 西大陸を僅か数か月で滅ぼしたのには理由があると。

 すなわち「どうやって?」という疑問に対する明確な答えがそこにあった。


 先兵となるエスタロス兵ですら体躯と戦闘力が違いすぎる。

 通常の成人男性――約170センチ前後――を遥かに上回る2メートル越えの【巨人】ばかりだった。

(悠長な話だが)ここで残った国々はエスタロスの正体を【古代種の生き残り、巨人族】ではないかと考え改める。

 しかし全くの見当違いだった。


 それも無理はない。

 エスタロスの正体が怪物――邪悪な魔族が放った魔の軍団だとは誰も思いもしなかったからだ。


 生き延びて、かろうじて海を渡った避難民が、


「――怪物だ! 牙が凄いんだ! 口から炎を吐く変なデカいトカゲみたいなヤツがいる! 鉄の鎧をアメみたいに簡単に溶かすんだ! 翼を生やしているヤツもいるんだ!!」


 そう訴え叫んでも、それを見たことがない兵士たちは――さすがに難民を相手に笑いはしないが、信じるわけにもいかず。


「落ち着け。よく生きて逃げて来られたな。すぐに政府に届け出て、支援手続きをしてやるぞ」


「そんな事言ってる場合か! この国だって滅ぼされるぞ! 奴らはまた新しく船を手に入れたんだ。いや、船なんかなくても空を飛べる怪物だっているんだ!」


「わかった。わかったから、それは兵士長に言ってくれ。将軍に伝えてくれるだろう」


「違う! わかってない! 兵士長や将軍の話なんかしてねえよ! 今すぐ残った各国で同盟を結ぶべきだって言ってんだ!」


「わかったわかった! まずはお前たちをキャンプへ案内するから」


「わかってねえよ!!」


 おおむね、こういった感じで対応が完全に遅れていた。

 対応、という言葉は不適切かもしれない。

 直接エスタロスの恐怖を見ていない国家が対策らしい対策を打つことは無かったからだ。


 その大陸の港に、エスタロスの軍隊が姿を見せたのは、民衆と兵士たちの間でそういう問答があってから2か月後の事。

 ――その国家はエスタロス軍の前で、10日と保たなかった。



「だから言ったじゃねえか、バカ野郎…」



 訴え続けていた避難民の青年はいち早く逃げ出し、燃え盛る城を背にして東へと向かう…。 


 東は確か、ルートフェル大陸という名だったかと、青年は思い出しながら長い旅路へと出た。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ