こんな友達解釈違いだ!
ー5月3日 曇り
凛花が新しくできたという友達を紹介してきた。とても可愛い、良い子だった。俺に対しての態度がわかりやすく悪かったのは気に食わないが。健太はわかりやすく彼女に一目惚れしたようで、とても面白かった。今後四人で仲良くしていけたらいいと思った。
葵。きみだけが僕の特別なんだ。この世界は全て僕からできた存在。所詮、僕のおもちゃ箱だ。そんな中で君だけが特別だっんだ。君がどうしてもって言うから、遊びに行くのも許したのに、君は死んじゃって。ほんとお馬鹿。まぁ、後千年ぐらいで戻ってきたら許してあげるよ、ちょっとだけど遊んでくれたしね。でも帰ってこなかったその時は……
夢を見た。そんな気がした。
「葵くん、昨日は夜遅くまで起きてたのかな?」
「ははははは!」
どうやら、授業中に眠ってしまっていたようだ。笑われてしまった、顔に血が巡り、赤くなっているのを感じていると、チャイムが終わりの時間を告げだ。
「はい、授業はここまでです。みなさん、お昼ご飯食べに行ってくださいね。」
「「「「はーーい」」」」
「葵、俺たちも行こうぜ。凛花が紹介したい奴がいるってよ」
まだ眠い目を擦りながら、健太に連れられて食堂に向かった。
いつものようにご飯、主菜、副菜、汁物と順番に乗せ終わったお盆を持ち、凛花を探す。二人で辺りを見渡し、凛花を探していると隣から
ガチャン
と大きな音がした。そこにはお盆ごと食器を落とした健太が突っ立っていた。一方を見つめ、瞬きすらもしていないようだ。
「おい、健太、生きてるか?」
健太の肩に手を置き、何度も強請ってみるが、健太が反応する様子がない。健太が見つめ固まってしまった方向を向くと、そこには金髪の美少女がいた。
ここは異世界であるだけあって、やはり顔面偏差値がとてつもなく高い(俺も含めて)それなのに、周りとは全く作画が違って見えるこの少女は何者なのだろうか。凛花は情けないものを見る目で健太を見るだけではなくて、此奴を動かすのを何とか手伝って欲しい。
健太が落として零したものや、壊したものを仕方なく片付けてやっていると、だいぶ時間が経っていた。それなのに、健太は椅子に座ってもまだガチガチに固まったままである。そして凛花と美少女は黙々と食事を取っている。
仕方がない、ここは俺が先陣を切ろうじゃないか。
「ねぇ、美少女ちゃん。名前はなんで言うの?」
俺にそう問われた彼女は、俺の方を一瞬だけ見て渋い顔をすると、ぷいと顔を背けてしまった。やばい、何かやらかしたようだ。凛花は馬鹿にするように、こちらを指差して笑ってきている。出来れば助けて欲しいが、助けてくれる様子は無い。
「あの、お名前、教えて貰ってもいいでしょうか?」
先程まで、固まっていた健太が何を思ったのか、急にキメ顔でハキハキと話し出した。ここまでの変わりようだと、もはや少し怖い。
「……七星 光です」
ほら、光さんも引いているじゃないか、健太。あれ、様子がおかしい。……いや、これは引いているのでは無い、照れているのだ!頬がほんのり赤らんでやがる、畜生。
なんだ、この俺の時との対応の差は。せっかく、やっとヒロイン枠出てきたと思ったのに、コノヤロウ!
きっと光さんは陽キャ系イケメンが好きで、伏目美人系イケメンは嫌いだったんだ。きっとそうだ。そうとでも思わないと納得できない。
「光さん……好きな給食のメニューはなんですか」
「マカロンといちご飴と綿飴。あと、マシュマロ」
「いいっすね……」
ツッコミどころが多い!そもそも俺を差し置いてイチャイチャするなって話だが、そこは置いておいて。なんで好きな子に話題振る時に給食の話題とか振っちゃうんだよ。もっと、好きな◯◯は色々あっただろ。
まぁ小学生だから仕方ないのかなっ!ハッ、所詮小学生。人生の厚みが知れてやがるぜ。こちとら二周目じゃい!
そしてその夢かわすぎるメニューの一覧はなんだ!?一ヶ月この学校通ったつもりだったが、そんなメニュー出た記憶ないんだが。いや、むしろ俺の記憶がおかしいのか。そんなはずはあるだろうか、いや、ない!(反語)
そして健太、なんか突っ込めよ!俺の心の中が忙しいだろ。
しかし、こうも目の前でイチャイチャされると、叫びたくなってしまう。
「こんな(俺より先に友人がイチャつき始める)転生、解釈違いだっ!!」
「うるさい」
「あいてっ……」
そう言われ、凛花に手刀をお見舞いされた。少しは俺に遠慮してもいいと思う。