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様々な世界・世界の詩

押しつぶされる世界

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2022/03/09




 その世界では、たまに異分子があらわれる。


 時代を切り取ってみれば、大したことがない数なのだろう。


 しかし総数として考えると、無視はできない。


 ゆえに、異分子には対処する事が多くなった。





 それから後の時代。


 何人もの異分子が現れては消えていった。


 異分子は、他の人とは違う意見を、口にする者だからだ。


 そういった者がでてくると、協調性が乱れる。


 和が乱れる。


 それは良くない事だ。


 誰もが、隣人と同じ気持ちでなければいけない。


 だからそう思ったその世界の者達は、大きな力をもった者達は、異分子たちの意見を上から押しつぶしていった。


 その結果が、後の滅びの原因となったのだろう。







 それは最後の時代のお話。


 後に続く歴史など、ない時代の物語。


 その世界は、もうまもなく押しつぶされようとしていた。


 そこは、暗くてじめじめとした世界。


 頭上には、絶えず重い鋼鉄の蓋がかかっていた。


 しかし、蓋は壊れている。


 たまに、パラパラと破片が落ちてくるありさまだった。


 それは長い時を経て、劣化してきたようだった。


 当然だろう。


 古代から作られてきて、いま。


 修理もメンテナンスも交換もされてこなかったのだから。


 そして、その日、歴史の最後の日。


 とうとう限界が来た。


 重い重い蓋は、その下にあるものをすべて押しつぶそうと降ってくる。


 下にいる者達は、なすすべがない。


 上を見上げて、ただ蓋が落ちてくるのを眺めるしかなかった。






 ひょっとしたら、その世界から出る方法があったかのしれない。


 ひょっとしたら、その世界の蓋をどかす方法があったかもしれない。


 ひょっとしたら、蓋に押しつぶされない頑丈な建物をつくる事ができたかもしれない。


 ひょっとしたら、蓋を修理する方法があったかもしれない。


 ひょっとしたら、新たな蓋を作りだす方法があったかもしれない。


 しかし、そのひょっとしたらを彼等はつぶしてしまった。


 そこにいる者達が、権力の大きい者達が圧力をかけて、潰してしまった。


「いつか蓋がおちてくるぞ!」


 そんな、悲惨な未来など存在するわけがない。


「いつか、自分達は滅びてしまう!」


 自分達の未来は絶えず明るいはずだ。


「だから、対処しなければ!」


 この平穏は永遠に続くだろう。


「早くとりかからないと、間に合わないかもしれないんだ!」


 景気の悪くなるような話はするな。






 だから最後の瞬間。


 その世界の彼等ができる事は、もはや一つもない。


 ただ、押しつぶされるしかできないのだ。

 



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