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首狩り村  作者: 紀希
2/2

未来【後】



宿泊する予定の旅館へと電話をすると、


嫌そうな雰囲気を出された。



まあ。こっちに非があるので仕方がない。



俺は急いで車を走らせた。


だが、山道は暗く、更には路面が滑る。



寒さと焦りでいつの間にか眠気は何処かへといった。


同僚「アラームセットしたんだけどな、、」


「相当。疲れてたんだな、、 



それより、開けっぱで大丈夫だったかな。」


同僚「多分ああゆう所は泊まってんだろ。」



暗くて先が見えない道を。


ただひたすらに進む。



が、、。



一向に、道から出られない。 



「、、どうなって、るんだ。」


同僚と運転を変わり、助手席へと座る。


カーブを曲がり、真っ直ぐ進むと。



それが何回も繰り返される。



同僚「どうなってんだよ!」


恐怖なのか、苛立ちなのか。


訳の分からない状況に。


俺達は頭を抱えた。


同僚「電話は、、?」


携帯を見る。


画面は暗く、電源が切れてしまっていた。


「なんで、こんな時に、、」


同僚は焦るようにして何かを探す。



同僚「あそこに、、携帯置いてきた。」



前に進んでも進めない。


だから、戻るしか無かった。


その時は、何となく。


それが正しいと思った。



山は寒く、辺りは暗い。


宿にはまた電話をしなくてはいけなかった。



俺達は来た道をゆっくりと戻った。


すると何故だか、直ぐに着いた。


同僚「どうなってんだ、、」


俺達はそれを見て、立ち尽くした。



建物は、古く。


まるで、廃墟の様になっていた。


今日。昼間に取り付けたはずの看板も。


錆びていて、今にも外れそうになっている。



同僚「ははは。


間違えたのかね?」


道をよく見る。


他に、入れる様な土地は無かった。


「とりあえず。携帯、、」


建物へと入ると。疑いは確信へと変わる。



そこには俺達が。昼間居た場所があった。


湯のみも、同僚の携帯も。


数分前かの様に置いてあった。



同僚「やべえよ。ここっ。



早く、、」


同僚が何かを言いかけた時。


何かの音が響いた。


それは、どんどん近付き、


誰かが廊下を歩いてくる音と共に。


大きな声が響き始めた。



『おぉおおおおお!!!』



低く、唸る様な、声が近付く。



「出よう!」


入り口からはそう遠くはない。


同僚「なんなんだよ、、!」


急いで車へと走る。


焦っているのか、鍵が開かない様だ。



鍵を渡され、俺は車を開ける。


同僚「早く!!」


出てきた入り口から今にもナニカが出てきそうだ。


『うぉおおおお!!』


中から響く声は、直ぐそこまで近付いて来ている。


同僚「やべえよ!!」


ガチャッ。


聞き慣れた音と共に、急いでエンジンを掛けた。


こういう時。普通は逆なのだろうが。


エンジンはあっさりと掛かった。



ライトを付け、建物が照らし出された。


後方を確認しながらバックしていると、


助手席から悲鳴が上がった。


同僚「うわあああああ!」


俺のイライラも溜まり、


ハンドルを切り替え、キレようとした時。


看板の所に映る、何かがあった。


「なんだあれっ。」


よく目を凝らし、見つめる。


「うわあああ!」



そこには、沢山の顔が、


こちらを覗く様に見つめていた。


すると。同僚が俺の肩を叩く。


「なんだよっ!」


同僚は震え、口をパクパクさせる。


何かを言っている様だった。


「ど、どうしたんだよ。。」


同僚を揺すると、俺の後ろの方へと指を指す。


俺はゆっくりと振り向いた。



そこには、、。


古びた斧を持ったおっさんが、ニヤリと微笑み。


血の様なモノを付けて、窓の傍に立っていた。



次に目覚めると、俺はモニターに繋がれていた。


「先生!?」


看護婦さんが、誰かを呼びに行った。


外はまだ寒そうで。枯れた木々が風に吹かれて揺れる。


自分の身体は痛々しい程に。包帯で巻かれていた。

 


話によると、俺達はスリップしたか何かで、


運良く除雪された雪の中に突っ込んだらしい。


崖から落っこちたら、助からなかったそうだ。



全治3ヶ月。



気持ちを落ち着かせる為にも。


今は、とりあえず休もうと思う、、


医者から聞いた話しじゃ。


あの場所は、今ではほとんど使われてなく。


そこら一帯は、廃村してしまっていた場所だったらしい。



道路は近隣の人達が移動で使う為。


除雪されていて、またまた人が通りかかったのだとか。


「運が良かった」


そう、言われた。



しばらくすると、見慣れた様な顔がやって来て、


会うなり、早々に頭をひっぱたかれ、怒鳴られた。


最初はびっくりしたが、まあ。分からなくもない。


だって、自分の会社の車を廃車にしちまったのだから。


でも、そうじゃなかった。



『何であの場所に行ったのか』



何度もキツく言われたが。


俺は確かに仕事を受けた事は覚えていた。


確か、、。誰かと、一緒に。。



誰かは同僚らしく。彼はまだ見つかっていないらしい。


社長らしき人が言うには、俺と一緒に出たのだとか。


夕方に一度電話する話しだったのだが、連絡すら無く。


終いには、病院から掛かってくる不始末だったそうだ。



社長「まあ。とりあえず治せ。」


優しく心配している様子だったが。


顔色は、良く無かった。



"何であの場所に行った、、"



まるで、何か知っているかの様。


それに、、。


行ってはいけない場所にでも


行ってしまったかの様だった。



事故の衝撃で、軽い記憶喪失の様な状態になり、


当時の記憶すらも。よく分からない、、


警察が来たが、何も話せる事はなかった。



記憶が無いと言うのは不便なものだ。


時間が経てば、少しずつ思い出すのだろうか。


少しずつ、、思い出そう。


そして、、


早く。彼が見付かるのをただ。祈るばかりだ。



そう、呑気に思っていたのも。初めだけだった。


ゆっくりと、あの出来事を思い出して来る。



あれから時が経ったが、同僚はまだ見付かっていない。


俺はあそこには、行きたくない。


けれど、、



彼は待ってるのかも知れない、、





























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