未来【前】
地方の仕事で行った場所に。
新しく建てられた、施設の様なものがあった。
けれども、それが。本当にあったのかは、、
今となっては、正直。分からない。
ようやく、買い手がついたらしく。
あの場所は壊され、、。
上には広い道路が造られていて、前よりも、
移動がとても、便利になったそうなのだ。
もし。何か用事があってとしても。
俺は2度と行く事はしないだろう、、
道の端には雪が積もっていて。そこまで行くのに、
道路が凍っていて、すごく危なかったのを覚えている。
その時。たまたま自転車がカーブから出てきて、
学生らしき子は端に寄せてあった雪の中へと、
勢い良く。突っ込んで行った。
同僚と心配しながら、外へ出ようとした時。
学生は何も無かったかの様に自転車へと乗り。
そのまま軽く会釈をすると、行ってしまった。
ビックリしたのと、心配だったのと。
よくわからない感情は混ざり合い、
思わず2人して、笑ってしまったのだ。
初日からこんな出来事もあった為か。
正直。どこか浮かれていたのだと、思う。
まるで。全部が嘘だったかの様な体験。
自分が経験した事が、他人が見た映像かの様に。
ゆっくりと。それが、頭の中で流れている。
運転には細心の注意を払い、現地までは向かった。
地元の人だろうか。
すれ違う車は、決まって赤の古い車だった。
いかにも、"走り屋"と呼ばれる人が乗ってそうな車。
現地に着くと、オーナーらしき人が待っていた。
オーナー「おはようございます」
白い息が空中へと溶ける。
早速用意して、仕事へと取り掛かる。
中の建物は、既に完成しているらしく、
オーナーは中で仕事をしていた。
休憩やらなんやらで、中を使っても良いと。
それから、軽く現場の説明をされ、
何かあったら呼んでくれと言われた。
作業は順調に進んだ。
同僚「ここは、何の建物何だろうな?」
「さあ。温泉か、商業施設だろうか?」
他愛も無い話をしながら、作業をこなす。
昼になると、オーナーが声を掛けてきた。
「少し休憩しませんか?
暖房と、温かいお茶でも、、」
オーナーの気遣いに俺達は甘える事にした。
中はまだ新しい臭いがし、
そこの部屋のいっかくに通された。
中にはまだ何も置いてなく、
外装だけ終わった様だ。
同僚「あったけえ、」
オーナー「どうぞ?」
ポットと、湯のみを用意してくれて、
俺達はそこで休憩させてもらった。
温かくて。とても心地が良かった。
暖房のせいだろうか。
昼食を済ませると、うとうととし始め。
眠気が襲った。
同僚「ねみぃ」
「昼寝でもするか。」
外仕事での田舎の特権とでも言うものか。
作業予定が1週間。
まだまだ時間に余裕はあった。
俺達はオーナーに許可を貰い。
少しばかり、仮眠をとらせてもらう事にした。
その時。俺は、変な夢を見た。
小さな子供達。
ざっと。10人ぐらいだろうか、
子供達は楽しそうに笑っている。
俺もその一人になっていて、はしゃぐ。
だが、しばらくすると。それは、悲鳴へと変わる。
皆は互いに助けを求めるが、誰も来ない。
必死に逃げる様に走るが、ひとりずつ静かになっていった。
俺は走った。それはもう、夢中で。。
夢の中のはずなのに、息が切れてすごく苦しかった。
肩に手を掛けられた所で、遠くに大人が見えた。
「たす、、けて、、
はっ!」
嫌な汗をかいて、目が覚める。
「捕まった、、」
肩の感触を確かめる様に、肩を触る。
ふと、辺りを見ると。真っ暗だった。
「やべぇ!!」
朝早くから出て、遠方だった為か。
ぐっすりと寝てしまっていた。
携帯を見る。
何故かセットしたはずのアラームは止まっていた。
「おいっ?」
同僚はまだ寝ていた。
「おいっ?」
同僚「んんっ、、。時間か?
んっ!?」
辺りが暗くて見えなかったが、
勢い良く飛び起きた様だ。
同僚「今何時??」
時計は17時を過ぎていた。
同僚「やべぇ、、。
ガチ寝しちったよ。
帰ろう。」
施設は真っ暗だった。
携帯の明かりを頼りに、
俺達は施設を出た。