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【コミカライズ化】無能と追放された最弱魔法剣士、呪いが解けたので最強へ成り上がる  作者: 青空あかな
「第三章」

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第96話:ナディアとティルーの戦い②(三人称視点)

 コントラスは勝利を確信しているのか、敢えてゆっくりと近寄る。

 ナディアとティルーに付与された磁力は大変に強く、離れることはおろか骨が折れそうなほどだった。


「ぜ、全然離れないよ! 圧迫されて骨が折れそう……!」

「私の水魔法を爆発させて、その勢いで無理やり引き剥がします! 少し痛いけど我慢してください……!」


 ティルーは互いの身体の間に、水の膜を展開する。

 魔力を巡らせ、勢いよく爆発させた。


「《スチーム・ブラスト》!」


 小規模でも威力のある水蒸気爆発を起こし、コントラスの磁性を振り切った。

 吹き飛ばされながら、ティルーはナディアの身を案じる。


「ナディアさん、お怪我はありませんか!?」

「だ、大丈夫! これくらい何ともないよ! ティルーだって痛いでしょ! 離れて戦おう!」

「了解です!」


 爆発の衝撃を受けたナディアとティルーはボロボロになりつつも、戦闘の継続を誓い合う。 戦意を喪失しない二人に、コントラスは敬意を表する。


『未だ、意志が折れないのは素晴らしい。そのような敵こそ葬るに値する』


 双刃槍の穂先に魔力が集中し、青と赤の《斬撃破》が何発も放たれる。

 ナディアは即座に横に飛んで射線から退避するものの、《斬撃破》は追尾して襲い掛かった。


「くっ、磁性で追いかけてくる……うわっ!」


 逃げる途中で磁性のある地面に触れてしまい、ナディアは足を滑らす。

 バランスを崩したところを斬られ、ダメージを負う。 

 一方のティルーは水魔法で迎撃するが、《斬撃破》の勢いは衰えない。


(私の水魔法は切り裂かれてしまう! やっぱり、ナディアさんの攻撃じゃないと……っ!)


 躱そうとするティルーもまた地面に足を取られ動きが止まり、身体を切られる。

 どこに磁性が付与されてるかわからない以上、不用意には動けない。

 かといって、動かずにいれば狙い撃ちにされる。

 このままでは負ける状況において、ナディアとティルーは必死に突破口を考える。


((どんな状況でも、必ず何か策があるはず……!))


 今まで経た戦いの経験から、諦めなければ必ず道は拓けると実感した。

 コントラスとの戦闘を再度思い出し、有効的な攻撃を連携を探す。

 無数の可能性を熟慮した結果、二人は同時にとある作戦を考えついた。


(……そうだ! ティルーがあの魔法を使ってくれれば……!)


(ナディアさんだったら、私があの魔法を使えば確実に倒してくれるはず……!)


 突破口が見つかった。

 だが、まだ問題がある。

 互いの距離は離れているため。意志の疎通が難しい。

 声を出して共有したら警戒されてしまう。

 作戦の性質上、一度きりの攻撃しか有効的じゃないだろう。

 どうやって意思疎通を計るか考えた二人は……計らないことを決めた。


((仲間を信じる))


 アスカと一緒にみんなで旅をしてきて、その大切さを学んだ。

 いつ如何なるときも、仲間を信じれば必ず勝てる。

 二人はわずかにアイコンタクトを取ると、すかさずティルーが魔法を発動した。


「《ネオ・アドヒージョン》!」


 コントラスの足下を、先ほどより強力な粘着性の水で捕らえた。


『またそれか。俺に同じ技は二度通用しない』


 双刃槍を振るわれるや否や、水は弾け飛ぶ。

 コントラスが反撃に転じようとしたとき。

 遠く離れていたはずのナディアが目の前に迫っていた。


『なっ……うぐっ……!』


 ナディアの存在を認識した瞬間、彼女の剣はコントラスの首を切り裂いた。

 硬い鱗をも突破した深い斬撃は致命傷を与える。

 大きなダメージを受けたコントラスは全身の力が入らなかった。

 双刃槍を落とし、前方向に倒れる。


 ――な、何が起きた……? 猫人族の身体能力は、すでに限界値だったはず……。


 コントラスはもう死は避けられないと感じながらも、最後の一撃に考えを巡らす。

 ナディアは能力の限界を超えるほどの超高速で突進してきた。


 ――力を隠していたのか? それとも、ウンディーネが魔法を使ったのか?


 どちらも違うという確信がある。

 じゃあなぜと思っていたら、当のナディアがティルーと一緒に目の前に立っていた。


「違う色は引き合い、同じ色は反発する……って、あなたは言ったよね。私には青の穂先で斬りかかってきたから、青の磁性が宿っている」


 ナディアの言葉を聞いて、コントラスは何が起きたのか理解した。


『……なるほど、吸引と反発を利用して急加速したのか……俺と同じように……いや、俺より速かった……』


 斬りつけるだけじゃコントラスの硬い鱗は突破できなくとも、磁性の加速を乗せれば力が増す。

 見切れないほどの急加速が可能だったのも納得できた。

 一方で、種明かしはされたがまた別の疑問が浮かぶ。


『なぜ……的確に地面を移動できた。磁性の色は……貴様らには見えないはずなのに……』


 ナディアが磁性を利用するには、赤と青の場所がわかっている必要がある。

 疑問に思うコントラスに、彼女は答えを告げた。


「《斬撃破》が当たった場所、穂先が加速した場所、私とティルーが引き寄せられたり反発された場所……それらを全部覚えていただけ」


 穂先の色と付与される磁性の色は同じ。

 それを手掛かりに、ナディアは的確に地面を駆けたのだ。


『……なるほどな。もう一つ教えろ……。なぜ、タイミングが合った……? 作戦は共有されていなかった……はずなのに……』

「仲間を信じた。ただ、それだけです」

『……あぁ』


 ティルーの端的な答えにコントラスは納得し、最後の頼みをする。


『俺を倒した貴様らの……名を教えてくれ……』


 二人は再度端的に答える。


「ナディア・ロウ」

「ティルー」

『……もっと早く……聞くべきだったな』


 名を聞いたコントラスは力尽き、激しい戦闘はナディアとティルーの勝利で幕を閉じた。

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