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【コミカライズ化】無能と追放された最弱魔法剣士、呪いが解けたので最強へ成り上がる  作者: 青空あかな
「第三章」

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第78話:情報

「「金貨20枚!?」」


 ナディアとティルーは驚きの声を上げる。

 金貨が20枚もあれば、半年は何もせず楽に暮らせるだろう。

 情報の相場を考えても法外な価格に、ナディアとティルーが詰め寄った。


「いくら何でも高すぎだよ! アスカは四聖なんだからもっと安くして!」

「この国を平和にしようと頑張っている方を応援しようと思わないのですか!」

「私たちも商売なのでね。魔族四皇の情報は貴重なのだ。それに、四聖殿なんだから金持ちのはずだろう?」


 ジェロームは得意げな表情のままだ。

 心の底では四聖と信じてられていないのか、若造と見くびられているのか、はたまた貧乏人と思われているのか……。

 いずれにせよ、俺はあまり印象がよくないと思われる。

 ジェロームはさらに壁の絵を示しては、勝ち誇った笑みを浮かべた。


「私はこの街の市長の弟だぞ。オークションについては、市長から全権を移譲されている。警備の配置や競売品、参加者の管理など全て私が担っている。金を払えないようならすぐに出て行ってもらおうか。オークションの邪魔だ」


 なるほど、市長との兄弟だったか。

 しかし、金貨20枚とは。

 この国の金貨は純度が高く、重い。

 旅の負担になるので俺は必要以上には持ち歩かないようにしており、今もあいにくと手持ちの金はそこまでない。

 ナディアやティルーもそうだろう。

 やはり、強力なモンスターを何体か狩って素材を売るのが現実的か……交渉が必要そうだな。

 ふと、俺の前にノエルが立ち、彼女は懐から小さな紙を取り出した。


「金貨はないが、その金額分の小切手ならある。これで問題はないはずだ」

「お嬢ちゃん、取引の場で悪ふざけはやめてもらおうか。そんな紙切れ、銅貨一枚分の価値もない。……ちょっと待て、ダレンハートだと!?」


 ノエルを一蹴しようとしたジェロームは、目を見開いて小切手を見た。

 警備の男たちも身を乗り出すようにして、我先にと覗き込む。

 ダレンハート家の紋章――心臓を表したハートの上に立つ鷲の紋章――が箔押しされており、紛れもない本物だ。


「私はダレンハート家の娘だ。我が一家が運営している商会は各地にあるから、どこかしらに持っていけば換金できる」

「そうだ! ノエルのお家はお金持ちだったんだ!」

「とてもかっこいいです、ノエルさん!」


 ナディアとティルーは歓声を上げる一方で、ジェロームはガゼルたちと何やら小声で相談する。

 しばしの相談が終わり、一転してジェロームはやけに明るい笑顔を浮かべた。


「これは失礼た。まさか、ダレンハート公爵家のご令嬢だったとは思わなくてな。数々の無礼を許してほしい」

「先ほどまでとずいぶん態度が違うな。私が身分を明かさなかったらどうしていたんだ?」

「融通を利かせるから勘弁してくれ。大体の街と同じように、この街にも"情報屋"がいてな。今日の夕刻、街外れの庭園で会えるよう段取りをしておこう。これも何かの縁だ。情報料も相場より安くさせると約束する」

「よろしく頼むぞ。私たちは真剣にデュラハン卿の討伐を考えているんだ」


 一波乱はあったが取引は成立した。

 ジェロームと別れ、俺たちは外に出る。

 中にいるときは聞こえなかった喧噪が身体を包んだ。

 さっそく、小切手の件について俺たちはノエルに感謝する。


「ありがとう、ノエル。助かった。しかし、大金を払わせてしまってすまないな。オークション中に俺たちの分を払うよ」

「一人、金貨5枚ずつだね」

「デュラハン卿の情報とは別にノルマができました」

「気にするな、別に大した金じゃないさ。この借りはデュラハン卿を倒して返してくれればいい」


 ナディアとティルーが凜とした返答に感銘を受けた後、一度食事をすることに決まった。

 俺たちは飲食街に向かう。

 三人とともに歩を進めるも、俺はジェロームの妙に明るい笑顔がいつまでも気になっていた。

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