第75話:会議
ナディアたち三人と相談した計画を伝えると、ドソルとググリヤも頷いた。
「俺も……魔族四皇との接触が良いと……考える。"魔王"の所在は……依然として不明だ……」
「アスカの言う通り、"魔王"に一番近い連中が最も現実的な手がかりになるだろうな。お前の強さなら残りの魔族四皇も確実に倒せるはずだ」
力強く話す四聖の二人に対し、ナディアとティルーは互いに手を組み合っては震えていた。
「デュ、デュラハン卿って、倒した人間の首をコレクションしているんでしょ? 死体は必ず首がないって、文献で読んだだけでも怖いよ」
「あ、悪趣味極まりないです。首を眺めては自分の強さを確認するようですね」
ノエルは呆れた様子を見せながらも、落ち着かせるようにナディアとティルーの頭を撫でる。
「最近、デュラハン卿は剣術に優れた二体のモンスターを部下として手元に置いたようだ。討伐する際は、部下と引き剥がす必要があるな」
「ああ、剣術の使い手として有名だから、気を引き締めて挑まないとならん。一方のマリオネット王女に関しては、王立図書館を調べた限りでは外見以外の詳細な情報は出てこなかったが……四聖のみんなは何か知らないか?」
俺が尋ねると、イセレが首を横に振りながら話した。
「最後の目撃情報はおよそ三年前、ということしか私たちも知りません。具体的な能力もよくわからず、国内を彷徨っているのか、どこかに拠点を作っているのか、はたまた討伐されてしまったのかも不明です」
「修道会は日頃から……魔族四皇の情報を募っているが……マリオネット王女については全体的に情報が乏しい……。この先有力な報告が入る可能性も……低いだろう」
「俺が治安維持を兼ねて各地に派遣している部隊も、情報収集の成果はなしだ。実在しているはずなのに、表舞台には出てこない。不気味なモンスターだよ」
ドソルもググリヤも悔しそうな表情で語る。
四聖や修道会の力を以てしても情報が乏しいとは、ググリヤの言うように不気味な気配が漂う。
俺はこの会議で話し合った内容を一度頭の中で整理し、今後の目標を決める。
「マリオネット王女は、情報を得るだけでも時間や労力がかかりそうだ。であれば、少しでも情報が多いデュラハン卿を目標に定めよう。倒して、"魔王"に関する何かしらの手掛かりを入手するんだ」
結論を口にすると、ナディア、ティルーの顔からは怖じ気づいた表情は消えた。
ノエルとともに力強く決意する。
「怖いけど頑張る! これ以上、被害を出しちゃダメだよ! アスカと一緒なら絶対に大丈夫!」
「相手がどんな敵だろうと、持てる力を振り絞って戦います」
「私たちはみんなで頑張ってここまで来たんだ。行けるところまで行こう」
三人とも賛同してくれ、自然と身体に力が入る。
魔族四皇は残り二体、か。
バンパイア伯爵やリッチーロードとの戦いを経て、少しずつではあるが"魔王"には近づけている気がする。
このまま進めば、いずれ辿り着くのだと根拠はないが不思議と確信があった。
反面、直近のターゲットは決まったものの、問題が一つある。
「デュラハン卿は、各地を旅しては強者を探して戦っているようだ。俺たち冒険者と同じように各地を移動しているという点が厄介だな。俺たちの国は広い。ある程度の目星をつけて捜索しないと、遭遇することさえできないかもしれない」
「う~ん、たしかにアスカの言う通りだね。探し回るんじゃなくて、遭遇するまでどこかで待っていた方がいいのかな? でも、それじゃ時間が無駄になりそうだし……」
何か良い方法はないものかと皆が考える中、ノエルが顎に手を当て思い出すように呟いた。
「そういえば、そろそろ王国オークションの開催時期ですね。国内中の人々が集まるイベントですから、魔族四皇についても何かしらの情報が手に入るかもしれません」




