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【コミカライズ化】無能と追放された最弱魔法剣士、呪いが解けたので最強へ成り上がる  作者: 青空あかな
「第二章:王国騎士修道会編」

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第71話:情報

「“魔王”の正体……だと?」


 リッチーロードの叫び声に、俺は思わず聞き返した。

 “魔王”の正体……。

 未だかつて、人類の誰もがたどり着いていない情報。

 討伐にあたっての、最も重要な情報だった。


『知っていることは全て話ス! だ、だから、見逃してくレ! 共に“魔王”を倒そうではないカ!』


 リッチーロードはどうにかして上体を起こし、必死に叫ぶ。

 嘘を言っているようには思えない。

 だが、相手は“魔族四皇”だ。

 信じるに値するか判断が難しい。

 命乞いの隙に俺たちを殺すつもりかもしれない。

 警戒心を解けずにいたら、ナディアたちが言った。


「聞いてみようよ、アスカ」

「情報の真偽は後ほど調べましょう」

「少しでもおかしな素振りを見せたら、即座に私が斬る。騎士たちも集まってきた。こいつが暴れてもすぐに対処できる」


 リッチーロードはすでに半身を斬り落とされている。

 周囲には修道会の騎士が集まり、剣を構え警戒中だ。

 たしかに、みなの言う通りだ。


『お前たちがワタシを信用できないのもよくわかル。だから、まず話しておくことがあル。冒険者排斥運動についてダ。どうしてこのような運動を起こしたのか説明すル。そうすれば、お前たちもワタシを信用してくれるはずダ』

「……話してくれ」


 俺が促すと、リッチーロードは静かに話し出した。


『冒険者と修道会、両者を同士討ちさせるのが目的だっタ。冒険者の中には血気盛んな人間もいる。もちろん修道会にもナ。軋轢が深まれば、大規模な戦闘が起きることは容易に想像ついタ』

「人間の数を減らすのが目的ということか?」

『そうダ。……いや、ただの人間ではない。強い人間を減らすのが目的だっタ。あの愚かな教皇を唆したら、排斥運動は簡単に始められタ。元々、修道会の騎士は冒険者が嫌いだったようだナ。そういった背景もうまく利用できタ』


 今、冒険者排斥運動の目的が明らかとなった。

まさか、騎士と冒険者の同士討ちが狙いだったとは……。

両者の不和を利用されたのだ。

周囲の騎士たちにも動揺が広がる。


「まったく想像もつかなかった……クソッ、やられたな……」


 ノエルは悪態を吐く。

 彼女もまた、真相を初めて知ったようだ。


『どうダ? ワタシのことを信用してくれたカ?』

「ああ、信用する。……“魔王”の正体を俺たちに教えてくれ」

『もちろんダ。いいか? 落ち着いて聞ケ。“魔王”の正体は……ぐあああッ!』


 突然、リッチーロードの胸を巨大な剣が貫いた。

 辺りを激しいどよめきが包む。

 俺ではない。

 騎士たちでもない。

 剣は後ろから刺さっている。

 リッチーロードが倒れるとともに、攻撃した者が明らかとなった。


「倒した……倒したぞおおお! “魔族四皇”は私が倒したあああ!」


 ダグードだ。

 具現化した魔力の剣で、リッチーロードの胸を貫いた。

 おそらく、瓦礫に隠れて近寄ったのだ。

 距離を考えると、リッチーロードとの会話は聞こえていたはずだ。


「何をやっている、ダグード! もう少しで“魔王”の情報が得られたのかもしれないんだぞ!」


 掴みかかったが、すぐに腕の力が抜けてしまった。

 ダグードは……目の焦点が合っていない。

 俺はおろか、その目には何も映っていない。


「ハハハハハッ! 私は四聖だ! 誰も私に勝てることはない! 私が最強なのだ! 私は世界最強の剣士、ダグードだあああ!」


 ダグードは両手を広げ、天に向かって高笑いする。

 そのまま、フラフラと踊るように歩きまわるばかりだった。


「ア、アスカ、あの人……」

「ああ……精神が錯乱してしまっている」


 俺に負けたことや、信じていたゴヨークの真実などが、心の重荷となって積み重なっていたのかもしれない。

 以前対峙したときの、ある種の気高さはもう感じられない。

 ただただ、自分の業績を自慢する男になっていた。

 そして、リッチーロードは動かない。

 完全に死に絶えてしまった。

 “魔王”に関係する重要な情報源を失い、やるせない思いがあふれる。

 拳を硬く握っていたら、騎士たちの明るい声が響いた。


「アスカさん! “魔族四皇”を倒してくれてありがとうございます!」

「リッチーロードなんて強敵、俺たちだけじゃ絶対に勝てませんでした!」

「たとえ勝ったとしても、何人死んでいたかわかりません!」


 修道会の騎士たちが、俺に労いの言葉をかけてくれる。


「そうだよ! アスカのおかげでみんなは救われたよ!」

「“魔王”の情報はまた調べよう」

「詳しく調べれば、絶対に情報があるはずです」


 周りの仲間と騎士たちの声で我に戻った。

 ……そうか、“魔王”の情報は入手できなかったが、王都の平和は守ることができたんだな。

お忙しい中読んでいただき本当にありがとうございます


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