表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ化】無能と追放された最弱魔法剣士、呪いが解けたので最強へ成り上がる  作者: 青空あかな
「第二章:王国騎士修道会編」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/87

第69話:リーダー

 俺とゴーマンの周りでは、ナディアたちが戦っている。

 元パーティーメンバーは以前よりだいぶ力を増したが、俺の仲間だって十二分に強い。

 戦闘は概ねナディアたちが優勢のようだ。

 だが、当のゴーマンは助けに行く素振りも見せなかった。


「助けに行かなくていいのか?」

「別にあいつらはどうでもいいんだよ……お前を殺せればなぁ」


 ゴーマンは悪意のこもった目で笑う。

 完全に心が悪に支配されている。

 元々、横暴で乱暴な人間ではあった。

 リッチーロードが付け入る隙は、十二分にあったのだろう。

 どこで出会ったのかは不明だが、もうゴーマンとの戦いは避けて通れないことだけは明白だ。

 俺は剣を引き抜き、彼に尋ねる。


「戦いが始まる前に聞いておきたい。ヨルムンガンドとググリヤ・ルノニン……襲ったのはお前たちか?」

「ご名答。さすがはアスカ様だ。どっちもいい練習台になったよ。リッチーロードから貰った力のな」

「そうか……」


 やはり、彼らが関わっていたか。

 残念な気持ちになるが、改めて気を引き締める。

 俺がここでゴーマンを、そしてリッチーロードを倒さなければさらに大きな被害が生じる。


「なぁ、もういいだろ。さっさと始めようぜ。お前の首を落としたくて仕方ねえんだ」


 ゴーマンが空中に手を伸ばす。

 黒い剣が現れ、彼の全身から黒いオーラが激しく迸った。

 闇の魔力だ。

 Sランクのモンスターにも匹敵するほど、強力なオーラ。

 ゴーマンの悪の心に呼応しているのだ。

 俺も剣を構える。


「投降しろ、ゴーマン。“魔族四皇”の僕になど成り下がるな」

「お前は昔から口うるさいんだよ。この俺に……命令すんじゃねえ!」


 怒鳴ると同時に、ゴーマンは地面を力強く踏み込んだ。

 地面の土が後方に勢いよく飛び散る。

 ゴーマンは右斜め上から斬りかかった。

 とっさに剣で受け止める。

 金属のぶつかる振動が、じんわりと手に響く。

 以前の彼より何段階も重い一撃だ。

 鍔迫り合いの状態になると、ゴーマンが得意げに言った。


「どうしたよ、アスカ。お前の力はそんなもんなのかぁ? リッチーロードに力をわけてもらえよ。……そうだ、また俺たちの荷物持ちになれ」

「ゴーマン……お前は間違っている」

「……チッ!」


 剣を振るい、ゴーマンを弾き飛ばす。

 空中で受け身を取り、ふわりと地面に舞い降りた。

 身のこなしもまた、数段階パワーアップしているようだ。

 だが、ゴーマンに負けるような未来はあり得ない。

 攻撃を受け止めた瞬間、俺はそう確信を持てた。


「冒険者たるもの、俺たちは人々の幸せのために戦わなければならない。お前もわかっていたはずだ」

「人々の幸せぇ? おいおい、お前はそんなもんのために戦っていたのかよ。冒険者をやる理由なんて、自分のために決まってんだろうが。金、女、名声! それが俺の欲しいもんだ!」


 ゴーマンは高笑いしながら言う。

 わずかな希望を持って尋ねたが、彼は己の欲を最優先する思考だと再確認するに過ぎなかった。


「いくら敵から力を得ようと、お前は俺には勝てない」

「だから、うるせえんだよ! これでもくらえやがれ! 《幻想の演舞イリュージョン・キルダンス》!」


 ゴーマンの身体から何体もの分身が現れる。

 それぞれの影や地面を走る衝撃などから、全て実体を持った分身だとわかった。

 全包囲から絶え間なく俺に斬りかかる。


「「ヒャハハハハッ! 死ね、アスカ!」」


 四方八方から襲い来るゴーマン。

 非常に高度な魔法と剣術の複合技だ。

 だが、十分に対処できる。

 むしろ、集まっている方が好都合だ。

 俺はゴーマンたちを振り払うと地面に剣を突き刺し、あの魔法を発動させる。


「……《ホーリーエリア》」

「「なっ!」」


 周囲一帯の地面から、白い光が天に向かって放たれる。

 実体分身は苦悶の表情を浮かべながら、一人残さず消えた。


「自分の周囲に聖域を展開させる魔法だよ。全身が闇の魔力で作られた分身は、耐えることができなかったんだ」


 遠くに控えていたゴーマンに語りかける。

 あれだけ俺を殺すと言っていたのに、本体は分身の中にいなかった。


「……へっ、なかなかやるじゃねえか。だったら、こいつはどうだ! 《ダークランスショット》!」

「遅い」


 ゴーマンの突き出した掌から出現した無数の黒い槍。

 全てを躱し懐に入り込んだ。

 そのまま、剣の柄でゴーマンの腹を殴る。

 腕を引くと、ぐったりと崩れ落ちた。

 殺すのではなく峰打ち。

 ゴーマンにはまだ更生の余地がある……そう思いたかった。


「なんで……なんで勝てねえんだよ……」


 ゴーマンは腹を抑えながら顔を上げ、絞り出すように言う。

 その表情から、本当にどうしてかわからないのだと伝わる。

 なんで勝てないのか……たった一つの、至極シンプルな理由しかない。


「努力をしなかったからだ」


 父や母の下で積んだ厳しい鍛錬、そして、ナディアたちとの旅で成長したから俺は強くなった。

 だが、ゴーマンはそうではない。


「楽に手にした力など、ただのまやかしだ」

「ふ、……ざけ……んじゃ……ね……」


 ゴーマンはがくりと気絶し、闇の魔力も消え去った。

 力が抜けた彼の顔を見ていると、どこかやるせなさを感じた。

 周囲を見ると、ちょうどナディアたちの戦いも終わったようだ。

 俺の下へと駆け寄ってくる。


「アスカ、大丈夫か!?」

「怪我はありませんか!」

「こっちの敵は倒したよ!」


 みな疲労や細かい傷は見られるものの、大きなダメージはないようだ。

 ゴーマンたちとの戦いは、俺たちの全面勝利で幕を閉じた。


「さあ、後はお前だけだな」

「いい加減、椅子から降りたらどうだ?」

「覚悟してください!」

「アスカには絶対に勝てないんだから!」


 リッチーロードは倒されたゴーマンたちを見ると、深くため息を吐いた。


『素体が弱ければ、いくら強化したところでたかが知れているカ……』


 そう言って、玉座からゆっくりと腰を上げた。

 彼を取り巻く魔力はひと際強力で禍々しい。

 いよいよ、親玉との戦いが始まろうとしていた。

お忙しい中読んでいただき本当にありがとうございます


【読者の皆様へ、青空あかなからのお願いでございます】


少しでも面白いと思っていただけたら、ぜひ評価とブックマークをお願いします!

評価は下にある【☆☆☆☆☆】をタップorクリックするだけでできます。

★は最大で5つまで、10ポイントまで応援いただけます!

ブックマークもポチッと押せば超簡単にできます。


どうぞ応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第3巻まで好評発売中! i000000 i000000 i000000
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ