表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ化】無能と追放された最弱魔法剣士、呪いが解けたので最強へ成り上がる  作者: 青空あかな
「第二章:王国騎士修道会編」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/84

第66話:王国の剣(三人称視点)

 アスカたちが駆けだすと、ゴーマンたちもまた迎え撃つように駆けだす。

 おのずと一対一の形になった。

 まず相対するは、ノエルと3mほどの巨大なトロールになったダン。

 両者は視線が合ったときから、互いに敵だと認めていた。


「あのときの女だな。アスカとともに行動しているとは驚いた」

「“魔族四皇”に堕ちるとは……貴様はそれでも冒険者か」

「ほざけ。修道会の高飛車女が」


 ダンは手に持つ棍棒を振りかぶり、ノエルの頭目掛けて殴る。

 彼女は即座に体勢を変え、ひらりと横に飛んで躱した。

 棍棒が地面に衝突すると、砕けた石や土の破片が次々とゴブリンやコボルトに姿を変え、ノエルを襲う。

 奇襲とも言える現象だったが、そこで遅れをとるような彼女ではない。


「《戦蛇連撃》!」

『『ギィィィッ』』


 まるで蛇がうねるような、もしくは一筆書きを描くような魔剣の軌道。

 陽光に魔剣が煌めいたと思った一瞬の直後、ゴブリンとコボルトの一団を何発もの斬撃が襲った。

 ノエルに斬られたモンスターたちは、地面に接触する前に元の石や土やらに姿を戻す。

 その光景を見たダンは嬉しそうに笑う。


「へぇ、やるじゃねえかよ。さすがは王国騎士修道会様だ。これくらい取るに足らないってか?」

「……どうやら、貴様が大事に持つそれには特別な力があるようだな」


 ノエルが棍棒を指しながら言うと、ダンの笑みは不気味な笑みに変わった。

 棍棒を黒いオーラがまとう。


「こいつには闇の力が宿る。触れたものをモンスターに変えてやるのさ。素材によって強さは変わるけどな。……お前はどれくらい強いヤツになるか楽しみだ」

「あいにくと、私はモンスターなどになるつもりはない」


 ノエルが淡々と言うと、彼女の魔剣が白く輝いた。

 闇属性に唯一対抗できる聖属性の光だ。

 強力な分扱うには大変難しい属性だが、彼女は日々の厳しい修練により体得していた。

 己の弱点である属性の光を見ても、ダンは不敵な笑みを崩さない。


「お前を倒したら俺も修道会に入れてくれよ」

「ふざける暇があったら攻撃してきたらどうだ?」


 ノエルの言葉に、ダンの顔から笑みが消える。

 それまでの飄々とした雰囲気も消失し、彼の顔には邪悪な怒りが表出した。


「……だったら、お望み通り殺してやるよ! 二度と減らず口を叩けないようになぁ!」


 ダンは地面を何発も叩く。

 大量のゴブリンやコボルドの他に、小型のゴーレムやガーゴイルも現れた。

 地上と空からノエルを襲う。


「芸がないな。《月刀嵐》!」


 ノエルの一振りと同時に、地上にいるモンスターの首が飛んだ。

 返す刀で上空のガーゴイルたちが斬られる。

 彼女の魔剣は聖属性の魔力が集まり、リーチが大幅に伸びていた。

 魔力の消費量が大幅に増加するが、ノエルの疾風とも言える剣速がデメリットを補っている。

 まるで嵐のような斬撃の後、モンスターたちは元の素材に戻り、またダンとノエルの二人となった。

 ノエルの身体には、汚れの一つもついていない。


「チッ、雑魚どもが」


 ダンは舌打ちするも、額には脂汗が滲んでいた。


「いい加減、違った種類の攻撃をしてきたらどうだ」


 歩いて近づくノエルに、ダンはニタリ……とひと際不気味な笑みを浮かべる。

 ダンのすぐ傍の地面に転がっていた鎧と魔剣を叩く。

 モンスターにはぎとられた騎士の装備だ。

 じわじわと鎧は姿を変え、一体の強力なモンスターが姿を現す。


「今度の敵は一味違うぞ」

「……ふむ、ランクはA+というところか」


 白い甲冑に身を包んだデュラハン。

 気品とも言える厳かなオーラは、他のモンスターとは一線を画す証明のようだった。

 デュラハンが構えた魔剣に闇の魔力が宿る。


「さあ、その女を殺せ! 滅多打ちにしろ!」


 ダンの掛け声を合図に、デュラハンは猛スピードで突っ込む。

 そして、ノエルの前を駆け抜けた瞬間、バラバラに切り裂かれた。


「《霧散の一閃》」

「な……ん、で……」


 鎧の破片が落ちる中、ダンはじりじりと後ずさる。


「手下ばかり増やしても私に勝つことはできない。なぜ、モンスターに戦わせる。まさか……自分で戦うのが怖いのか?」


 ノエルが問いかけると、ダンの表情がピクリと動く。

 彼はアスカが抜けた後の、トレントの敗北が忘れられなかった。

 今まで勝てていたはずの敵に負けた……。

 その事実は、いつしか、自分で戦う意志をダンから奪っていた。


「違う……」


 ダンは言う。

 絞り出すように。


「違う違う違う! 違ぁぁぁあう!」


 大きく振り上げた棍棒を、ノエル目掛けて全力で振り下ろした。


「遅い……《天啓》」


 ノエルは棍棒を避けると、目にも止まらぬ速さでダンの身体に登る。

 再び地面に降り立ったとき、無数の斬撃が駆け巡った。

 ダンは全身を襲う激痛とともに、意識が遠のくのを感じた。


「あっ……がっ……」


 ダンの全身から、黒いもやが抜けるように放出される。

 徐々にトロールの身体が小さくなり、やがて元の彼が現れた。

 人間の頃のダン。

 ずさりと力なく地面に横たわる。

 もう二度と狂暴なトロールに姿を変えることはなかった。


「君が一から出直せることを祈ろう」


 魔剣が鞘に納められる音が軽快に響く。

 魔王を倒すべく旅を続けるアスカたちと、敵に魂を売ったゴーマンたち。

 彼らの戦いは、ノエルの圧勝で幕を開けた。

お忙しい中読んでいただき本当にありがとうございます


【読者の皆様へ、青空あかなからのお願いでございます】


少しでも面白いと思っていただけたら、ぜひ評価とブックマークをお願いします!

評価は下にある【☆☆☆☆☆】をタップorクリックするだけでできます。

★は最大で5つまで、10ポイントまで応援いただけます!

ブックマークもポチッと押せば超簡単にできます。


どうぞ応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第3巻まで好評発売中! i000000 i000000 i000000
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ