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【コミカライズ化】無能と追放された最弱魔法剣士、呪いが解けたので最強へ成り上がる  作者: 青空あかな
「第二章:王国騎士修道会編」

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第56話:運動廃止

〔冒険者排斥運動は、廃止とする。~ゴヨーク・カヨブイク~〕


後日、修道会の本部に、張り紙が出された。雑な字で、適当に書いてある。


「こんな紙きれ1枚で伝えるなんて、本当に冒険者が嫌いなんだね。あのゴヨークって人は」


「演説までしていたのに、都合が悪くなると、これですか」


「まったく、私たちの方が恥ずかしくなってくる」


冒険者排斥運動の廃止は、当然かもしれない。ヨルムンガンドの件、ググリヤの件で、冒険者を追い出そうという雰囲気は消えている。


「おい、みんな! アスカさんがいるぞ!」


「俺に剣術の修行をつけてください!」


「私には“聖なる力”の扱い方を!」


初めて来たときとは打って変わって、俺たちは騎士隊に認められつつあった。今や街を歩いているだけで、騎士隊に囲まれてしまう。すっかり、彼らになつかれてしまった。中には、ナディアやティルーを慕っている者もいる。ノエルの人気も絶大だった。


「アスカが人気者で、私も嬉しいよ」


「尊敬する人が褒められると、喜びを感じるものです」


「アスカは色んなところで、チヤホヤされすぎだぞ」


俺たちは、やんわりと断っていく。やがて、人通りの少ない裏道にきた。


「ゴヨークは、なぜ冒険者を排斥したかったんだろうな」


俺はずっと気になっていたことを聞いた。


「昔、冒険者にひどいことをされたとか?」


「冒険者に手柄をとられるのが、嫌なんでしょうか」


「騎士隊の立場を、今より強くしたいのだろうか」


しかし、俺にはヨルムンガンドの襲来、ゴーマン、そしてゴヨークが繋がっているとしか考えられなかった。この機会に昔のことを、しっかり伝えておくべきだろう。


「俺からみんなに、話しておくことがある」


「何でしょう、アスカさん」


「どうしたの、かしこまって」


「話とはなんだ?」


「俺はナディアと出会う前、ゴーマンという男とパーティーを組んでいたんだ……」


冒険者を始めたときのこと、【呪い】のせいで自由に動けなかったこと、パーティーを追放されたことを話した。


「まさか、アスカさんにそんな過去があったなんて」


「お前も苦労していたんだな」


「ま、まぁ、私はちょっと知っていたけどね」


そういえば、ナディアには少し話したことがあった。


「ヨルムンガンドが死に際、ゴーマンの名前を口にしたんだ」


「え!? なんでその人が」


「俺も心底驚いた」


あのとき、ゴーマンに子どもを殺されたと言っていた。ヨルムンガンドが、嘘をついているとは思えない。


「アスカ、ゴーマンというのは、エレファンテ家の者か?」


「ん? ああ、そうだが。どうした?」


「私はそいつと、遭遇したことがある」


ノエルからゴーマンたちを、“ヤボクの森”で助けたと教えてもらった。


「そうか、そんなことがあったのか……」


まさか、ノエルも会ったことがあるとは思わなかった。


「Sランクとは名ばかりの、これ以上ないほど弱い冒険者だったぞ」


やはり、彼らの実力は低かったらしい。俺は話を続ける。


「ググリヤは、魔族に襲われたと言っていた。ゴーマンという名の魔族にな」


そう話したとき、3人ともハッとした。


「……ゴーマンって人は、魔族になったってこと?」


「人間が魔族になるなんて、私も聞いたことがないぞ」


「気味が悪くなってきました」


もしゴーマンが魔族になっていたとしたら、俺たちの敵になっている可能性がある。


「それだけじゃない、ヨルムンガンドの様子もおかしかった。本来なら、空を飛べないはずだ」


「確かに、なぜ空を飛んでいたんだ?」


「いきなり、王都を襲いに来たのもおかしいよね」


「襲われる理由があったのでしょうか」


おかしな点なら、他にもあった。あの傷だ。


「ヨルムンガンドは腹に、致命傷を受けていた」


「致命傷? どういうことだ、アスカ?」


「王都を襲ったとき、すでに大きな一撃を受けていたんだ。魔法で巧妙に隠されていたがな。その傷が原因で死んだ」


「来たときには、もう死にそうだったってこと?」


「いったい誰が、そんなことをしたのでしょうか」


「ヨルムンガンドは、ゴーマンにやられたと言っていた」


「話が複雑になってきましたね」


もしかしたら、ゴーマンとはまた別の、悪意ある者が関わっているのかもしれない。イセレが言っていた、“邪悪な存在”とやらも気になる。


「アスカはゴーマンって人たちが、今どこにいるか知らないの?」


「わからん、俺はあいつらと別れてから、一度も会っていないんだ。俺にもあいつらに何があったのかは、わからない」


「いずれにしても、ゴヨークが関わっていることは明らかだろうな。ヤツが主導していた冒険者排斥運動が、その証だ」


「やっぱり怪しいと思った」


「修道会のトップが、何をやっているのでしょう」


内容によっては、修道会の存亡にも関わることになりそうだ。


「何とかして、ゴヨークに話を聞ければよいのだが」


「あの……」


その時、俺たちに誰かが話かけてきた。騎士隊でも修道女でもない。質素な白っぽい服を着ている。


「アスカ・サザーランド様と、そのお仲間の方ですね?」


「そうだが、どうした? あんたは誰だ?」


「申し遅れました。私はゴヨーク様の使いの者です」


「ゴヨークが俺たちに、何の用だ?」


「私たちは、何か言われるようなことはしていないよ」


「むしろ、王都の平和に貢献しています」


「騎士隊だって、アスカを認めているぞ」


また俺たちに、難癖をつけようと言うのだろうか。しかし、使いの者とやらは、予想もしないことを言った。


「ゴヨーク様が皆さんと、お食事をしたいとおっしゃられています」

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