第103話:祈り
「……サリー、そこにいるかい? さっきまで、ここには巨大なゴーストがいたんだよ。でも、四聖のアスカ様が倒してくれたからもう平気さ」
「その後、町のみんなでお墓のお掃除をしたんだよ。四聖さんたちも手伝ってくれて、お母さんのお墓を綺麗にできた。ずっとお手入れができなくてごめんね」
ルースとソフィアは墓石に優しく語りかける。
それだけで、墓地を包む雰囲気は柔らかく和やかなものに変わりつつあった。
二人は墓石をそっと抱く。
「僕の愛する大事なサリー……いつも君のことを想っているよ。一時も忘れたことはない。君と過ごした思い出とソフィアがいてくれるから、毎日楽しく過ごせているんだ。でも、たまには夢に出てきておくれ。また三人でピクニックにでも行こう」
「お父さんがいるから、私は大丈夫。でも、今日だけは甘えさせてね、お母さん。私の大好きなお母さん」
ナディアとティルーはほろりと涙を流し、ノエルもまた目頭が熱くなっているようだった。 もちろん、俺もそうだ。
藍色の空に雲は一つもなく月明かりは煌々と、星々は美しく輝く。
吹き抜ける風は爽やかで心が洗われる気分だ。
俺の目にサリーの魂は見えない。
でも、確かにルースとソフィアの前に舞い降りた。
不思議と、そう確信を持てたんだ。




