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⑴『海中の渦に巻かれて』
⑴『海中の渦に巻かれて』
㈠
自己証明というものが、どうしても、共存という場合に必要ならば、自分は何かを証明させなければならないのだろうか。海中の渦の様な、世間の波の渦に巻かれて、その場しのぎの言葉を使用して、必死に生きることに、何の証明がいるだろうか。
㈡
生きているということは、何かをしていることではない。何もしていなくても、生きて入れれば、それでいいのである。しかし、人は、お前のお前自身を、証明しろ、と言い放つ。自分は、ただ生きているだけだ、としても、こうやって、それを文章にしていることが、証明になるかもしれない。
㈢
自分は、紛れもなく、海中でもがいている。海の滴を、金貨に変容させて、遊泳している。それでいいじゃないか、と自分は自己を許すのである。世間が許す、許さない、ということなど、本当はどうでもいいことなのだ。できれば、それを、もっと早く知りたかった。そんな思いで、遊泳している。