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その33

「聖女には神界とこの世界を行き来する、聖獣の加護が授かっていると聞きます。だから不死鳥の加護があるこの国の聖女は癒しの力を授かっているのだと」


不死鳥の伝説は確かに伝わっていた。


「遥か昔の文献には記述されているのですが、今生きている人間では誰もその存在を確認した事もなく、神話の中のお伽話のような見方をされています」



生きている人間どころか、祖父母の子供時代であっても、大人が見たと言った話を聞いていない程である。

先代も先先代の聖女の元にも現れなかった不死鳥が何故今の時代に、オリヴィアの元にやって来たのか。


フェリクス自身も相当長い間眠っていたようで、記憶が曖昧な部分があり、それでも聖女を守護するという本能の部分は忘れていないようだ。



「せっかく来てくれたのに、有力な情報がなくてすみませんオリヴィア。私の方でも調べておきます」


「いいえ神官長様。中々顔を出せなかっので、久々にお会いしたかったのもあったのです。ご挨拶も出来ぬままでしたから」


神官長はオリヴィアが抱き抱えている、太ったヒヨコのようなフェリクスを見た。


「でも、そのような分かりづらい姿である意味良かったですね。私も出来る限り黙っていますから、オリヴィアは今まで人一倍頑張ってきた分、暫くはゆっくり休んで下さい」


「ありがとうございます神官長様っ」

「ピィ」


再び馬車に乗り込んでから少し経つと、馬車が止まったので、エフラムがカーテン引いて確認した。



「着いたみたいだよ」

「わぁ、楽しみです」


エフラムとオリヴィアが馬車から降りると、「僕も〜」と羽をパタパタさせてオリヴィアの肩に止まろうとするフェリスクの事を、護衛として着いて来ていた赤髪の騎士クリストファーは素早く掴んで抱き抱えた。


「悪いフェリー、お前は私と留守番なんだ」

「ピェ!?」

「ペットは入店出来ないんだよ」

「ペット!?」


クリストファーの言葉に相当なショックを受けたフェリスクは、嘴を開いたまま石化したように動きを止めてしまった。


そんなフェリスクを見てしまうと、オリヴィアとエフラムは心が痛かった。


「フェリーさん…ごめんなさい」

「ごめんフェリー…、お土産を沢山買って来るから」


そんな二人の言葉が聞こえているのか聞こえていないのか、フェリクスは固まったまま未だ動かなかった。そんな様子を見かねたクリストファーは、腕の中にいるフェリクスに向かって言う。


「店内は駄目だけど、町の露店で好きな物を買ってあげるから我慢してくれ」



こうしてエフラムとオリヴィアはカフェへ。

クリストファーはフェリクスのお守りで町の散策へと別れた。

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