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その17

ルイザから、女性に罵られるのが趣味だと勘違いされた事に気付いたエフラムは口を開いた。


「いや、別にローズや女性に罵られるのが趣味という訳ではないのだが、オリヴィアの一番近くにいるローズには、僕の足りない部分などを遠慮なく言って貰いたいと思って…。

物言いは少々キツく感じるが、彼女は中々正論を言うだろう?

自分では気づいていない駄目な部分を知って、オリヴィアに相応しくなるために努力しようと思って。だからローズに至っては許可をしているんだ」



「そのような素晴らしいお考えだったとは。申し訳ございませんでした」


「いや、いい。気にしないでくれ」


頭を深く下げるルイザにエフラムは微笑んだ。


そんなエフラムを見て、ローズはすっと手を挙げた。


「では、ドM王子疑惑が出たエフラム殿下。一ついいでしょうか?」


「な、何かな…?」



「先程私は殿下に暇なんですか?とお聞き致しましたが、あれは単なる悪口でも嫌味でもございません。

オリヴィアお嬢様会いたさに、頻繁にこの屋敷に来られて政務を疎かになさろうなどと思っておりませんよね?恋愛に逆上せて責務を放棄する馬鹿は第一王子だけで十分なのです」


この湖の屋敷は王都と言えど外れにある。

王宮から来るとなると、それなりに時間がかかる。



「言いたい事は分かる。だが僕は今日オリヴィアに会うため、寝る間を惜しんで執務をこなして来た。国民の一人である君に不信感を沸かせてしまった事は謝罪しよう。

だけど、僕は睡眠時間を削ってでもオリヴィアの手作りお菓子を食べたかったんだ!」



「……そうですか、失礼な質問をしてしまい申し訳ございませんでした」


エフラムの熱意に若干引いたローズは、素直に頭を下げた。しかし二人の会話をハラハラしながら見守っている護衛騎士の面々は、胃が痛くなりそうだった。



「まぁ、エフラム様。そんなに私のお菓子を食べたいと言って下さるなんて嬉しいですわ。丁度今から焼くところだったのですよ。すぐに焼いて来ますから、少々お待ち頂けますか?」


「ありがとうオリヴィア!とっても楽しみだ!いくらでも待とう」


「ふふ、では行って参りますね」


オリヴィアは美しいカーテシーをしてからティールームを後にした。


すると、オリヴィアが出て行くと同時にオリヴィアの純白の天使のような羽から、一枚の羽根が床にヒラリと落ちた。


「む…!」


すかさずエフラムは屈んで羽根を手に取り、何故か匂いを嗅いでから懐に忍ばせようとした。



「……い、一体何をしていますの?」


その様子をみたローズは震えながら質問をした。


「ああ、実はオリヴィアの羽根を集めていて」


「へぇ……」


「沢山ためて、枕にしてオリヴィアと一緒に寝ている気分を味わおうかなと思っているのだが」


エフラムが頰を赤らめて発する言葉に、ローズはゾッとしてしまい、声を荒げた。



「騎士様!この王子です!この変態王子です!この方はドM王子ではございません、変態王子です!!捕まえて下さい、今すぐに!!」


「ちょ、ローズ殿!?」


確かに変態チックだなとは思ったが、流石にこの程度で王子を捕まえるなんて出来ないどころか、その発言は不敬極みである。グレンはローズを何とか宥めようとした。

だが、ルイザが身を乗り出した。


「りょ、了解致しました」


「了解すんなよ!」


王子を捕まえる事を了承したルイザの事を、グレンはやっぱり馬鹿だと思った。


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