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その14

「皆さま、入団試験だなんて生意気な事を言ってしまい申し訳ありませんでした。私、ここのお屋敷に来てからお菓子作りにはまって間もないのですが、折角作ったお菓子を誰かに食べて貰いたくて仕方ないあまり…」


オリヴィアは手はもじもじさせながら、それと同時に背中の羽がパタパタと動いている。


この羽は感情と連動しているのかと、その場にいる、オリヴィア以外の人間は思った。


そんなオリヴィアにグレンは微笑んだ。


「何故謝るのですか、お茶もお菓子もとても美味しかったです。素敵な入団試験ありがとうございました。またオリヴィア様の手作りのお菓子を食べさせて頂きたく思います」



「いいのですか?是非また食べて頂きたいです、お願いしますっ。折角名誉ある近衛騎士様になられたのに、私の護衛など。挙句失礼な事をしてしまったのに皆様とてもお優しくって…」


そんなオリヴィアの手を取った女騎士ルイザは、真っ直ぐな瞳で言った。


「姫、私の剣は貴女のような美しい姫君に捧げたいとずっと思っていました。私はその為に騎士の身を目指したも同然。貴女が私の夢を叶えて下さいました」


「動機不純だな!?」


本気か、オリヴィアを励ます為に言っているのか分からないが、グレンは同僚として突っ込まずにはいられなかった。



「わ、私もですよ!愚かな第一王子から貴女の護衛になれるだなんて、まさに夢のようです!」


「だからお前らキャラが被ってんだよ……」


ルイザに張り合い出したクリストファーの言葉に、グレンは遠い目をすると、仕切り直しと言わんばかりに、コホンと咳払いをしてからオリヴィアに向き合った。


「これまでと騎士としての階級は変わりませんので、オリヴィア様は心配される事はございません」


「本当ですか、それを聞いて少し安心致しましたわ。私のせいで、皆様の順風満帆な出世コースが外れてしまったのだったら、どうしようかと責任を感じておりましたの」


「いえ……本当お気遣いなく…」






その日の夜、オリヴィアは自室で湯浴みを終えた後、ローズと本日護衛に加わった騎士達について話ていた。



「オリヴィアお嬢様、今日いらっしゃった騎士様達の事ですが、完全に信用してしまっては危険だと思われます。元第一王子の近衛騎士など……確かにオリヴィアお嬢様のため、警備の強化は必須ではございますが…」



「陛下がヨシュア殿下の近衛騎士を解体なさったから、人手が余ると言えばこそだから仕方がないわ」


オリヴィアはふわりと微笑みながら言った。



「それはそうですが、最近まで第一王子の側に居た事もありますし、未だ第一王子派の者も紛れているかもしれません。気をつけるに越したことはないかと。……大体、第一王子は重鎮の前で女連れで婚約破棄なんてしておきながら、謹慎処分で済んでいるだなんて、陛下もオリヴィア様の手前格好だけ強く叱っただけかもしれません。

やはり我が子可愛さに、このままほとぼりが冷めるまで待っているだけの可能性もございます。そのうち謹慎が解けて普通の生活に戻られるやも…」



「そうかもしれないわね。でも、私は今でも十分幸せだし気にしないわ。

私なんかより、ローズを王子妃の侍女にしてあげられなくてごめんなさい。ローズみたいな綺麗な子は、王宮が似合いそうなのに…」



「何を言うんですかっ。私はオリヴィアお嬢様の侍女である事に意味があるんです!私はお嬢様に何処までも付いて行きますよ」



声を荒げて抗議するローズに、オリヴィアは微笑んでから感謝を述べた。


「とにかく、護衛といいつつ監視などが目的の可能性もあるので、十分注意して下さい」


「分かったわ。心配してくれてありがとう、ローズ」


「では、お休みなさいませ」


「お休みなさい」


ローズは深く頭を下げると、部屋を後にした。


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