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天災賢者の愚者笑曲  作者: こーはい
8/17

第1章八節 エルフは1人の男と出会う

新キャラ登場です

「学校でそんな事があったのか?」

 犯人に会える。

 結笑はそう言い、学校での出来事を話した。

「てかフォルナ、お前学校で魔法使ったのか」

「大丈夫、バレてない!」

「いやそういう事じゃなくてだな」

「いいじゃないかロウグ、結笑を守るために使ったんだろう?それならそこまで咎める事でもない」

「・・・それもそうか」

 レガートの説得をロウグはひとまず飲み込んだ。

「それより、その女子を俺は許せん。理事長の娘か何かは知らんが、気に食わないからと言ってうちの妹と結笑ちゃんに手ぇ出すとはな」

「ちょっと!兄さん落ち着いて」

「落ち着けロウグ」

「レガートさんからも何か言ってください!」

「まずはそいつの親に直談判するぞ。この世界で言う『カチコミ』だ」

「ちょ!?レガートさぁん!」

 ロウグだけではなく、レガートも珍しくキレている。

「あの、そこでなんですけど!」

 今からでもカチコミそうな雰囲気の賢者と剣聖に結笑が声を張る。

「その人、()()()()()()()()()()()()()()()()()

「何?」

 結笑の言葉に、レガートが眉を曲げる。

「それはないぜ結笑ちゃん。権力のある娘ってのは大抵高飛車と相場が決まってるんだ。俺のいた魔術師学校でもそうだったし!あと漫画で見た!」

「完全にこの世界の文化に堕落してるな」

 レガートが頭を押さえる。

「違います、だって榊原さんは前は優しかったんです」

「えぇ?」

「そうなの?結笑ちゃん」

「うん、ちょくちょく私に話しかけてくれたし、クラスでの人望もあったの」

「猫かぶってただけじゃね?」

「ロウグは一旦黙れ」

「( ゜ー゜)ウ ( 。_。)ン」

「それでそれで?」

「でも2週間前ぐらいから、少し変だったんです」

「変?」

「はい、人を見下したり、嫉妬するようなを言い始めて」

「それぐらい人間だったら誰しもあるだろう」

 誰かに嫉妬する、誰かを見下すのは人間として当たり前だとレガートは言った。

「でも、その人は人前で言うような事はしなかったんです!そして今日」

「それが口ではなく手で出たと」

「はい・・・」

「もしそうなら、魔族の仕業かもしれん。その女子がおかしくなり始めた時期も、俺たちがこの世界に来てから少し経ってる」

「この世界に来る方法を見つけ、来ててもおかしくないですね」

「しかし情報がない。その女子と魔族との繋がりを確かめない事には始まらんぞ」

「結笑ちゃんと私が話しかける?」

「いや、仮に魔族がいるならフォルナちゃんはまだしも結笑が危ない」

「でもレガートさんはバイトだし」

「・・・少しいいか?」

 今まで口を塞いでいたロウグが、口を開いた。

「どうした?」

「レガートは動けないんだろ?なら俺が護衛してやるよ!」

 そう言ってロウグは自分で指を指す。

「俺はバイトしてねぇし、仮に敵がいるなら俺なら問題無くやれる」

「いけるんですか、ロウグさん」

「竜、もしくはそれに準ずる種族じゃなきゃいけるぜ」

「もしそうだったら?」

「少し本気でいく場合がある」

 賢者と呼ばれるロウグでも、竜は警戒する相手だ。

「で?どうするレガート」

「分かった、じゃあ結笑達はその女子に話を聞いてみてくれ。で、何かあったら」

「俺が魔法で守る」

「フォルナちゃん、結笑、頼んだ」

「はい!」

「分かりました」

 明日からやる事は決まった。


・・・


 翌日、フォルナと結笑は学校に行った。

「俺も追いかけるか」

 そう言い、ロウグは飛行魔法を使う。

「散々言われたから姿を消すか」

 ロウグは手に魔法陣を描く。

 その陣は瞬時に霧散しロウグを纏い、その姿をどんどん消していく。

 【透明化】だ。

「これでバレないだろ」

 ロウグは車より早い速度で、学校に着いた。

「ここからはこいつの出番だ」

 体の中で魔力を固め、ふぅっと息を吐く。

 その息は光の粒子となり、すぐに白い鳥の形になった。

「行け」

 ロウグの合図に鳥は飛んでいく。

「さーて、中の様子はどうかなー( '֊' )」

 目立たないように草むらに隠れながら、ロウグは中の様子を見る。

「お、可愛い子たちいっぱいいんじゃーん!」

 鳥の見てる景色を目の前の円で見る。

「お、フォルナ発見!」

 少しすると、フォルナと結笑を見つけた。

「?誰かと話してる?」

 それが例の女子だと言うことは、一瞬で察した。

「なんて言ってっか分かんねぇな。もう少し近づかねぇと」

 しかしそれ以上近づけばバレてしまう。

「【透明化】も並行して使うか」

 ロウグはもう1つの魔法と並行して使う。

 しかし本来魔法は複数同時に使用は出来ない。

 魔法の並行使用・・・賢者であるロウグにしか使えない技術だ。

 透明化した事で、フォルナの背後につく。

『ねぇ、教えてよ』

『うるさいなぁ、話す事はないって言ったでしょ』

 少しすると声が聞こえてきた。

『あなたにはなくても私にはある』

『教えて、榊原さん』

『だからー!話す事なんてないって!』

「随分と荒いなー」

 鳥と聴覚を共有しているロウグは、その女子、榊原の怒声も聞こえる。

『ねぇ榊原さん。貴方はそんな性格じゃなかったよね?何があったの?』

『貴方には関係ないでしょ?知ったような口聞かないで』

『・・・』

 結笑の声もまるで聞こえず、むしろ邪険に跳ね返す。

『私は貴方たちと話す事なんてないの・・・話しかけないで』

 そう言って行ってしまった。

「ダメかー、しかし収穫はあったな」

 そう言って、鳥を戻そうとした時だった。

『なぁ!ちょっといいか?』

『え?』

『何?』

 肩を落として教室に戻ろうとする2人に男が止めた。

『あなたは誰?』

『あれ?知らないの?おっかしいなー』

「なんだ?ナンパか?よし殺す!」

 鳥から見たロウグはその男に鳥を突撃させる勢いだ。

『一応同じクラスだよ?』

『結笑ちゃん知ってる?』

『うん、中島(なかじま)桜火(おうび)くん。私達と同じクラスで、クラスでは中心的な人だよ』

『そんな紹介は照れるなー!』

『ふーん、で何か用?』

『ああ、忘れてた!さっきはすまなかった、俺の彼女がきつい事言って』

『え!榊原さんと中島くんって付き合ってたの!?』

『しー!声がでかい!一応クラスでは俺のダチにしか話してない』

『へー!知らなかった』

『クラスで広まると面倒だからな』

「なんだこいつ?とりあえず彼女持ちなら問題ないな。気が合いそうだーヾ(*´□`*)ノ」

 ロウグは自分の同族(軽いヤツ)を見つけ、喜ぶ。

『話は聞いたよ』

『ねぇ中島くん、榊原さんっていつもあんな感じだったの?その・・・裏があるって言うか』

『いや、そんな事はなかった。親の愚痴を聞くことはあってもクラスの愚痴なんか言ってなかった』

『彼氏の桜火君にも隠してたって相当闇深くない?』

『いやそんな事はないぞ!?』

 フォルナの発言を中島は全力で否定する。

『なんだろう、この人他人には見えない。近くに同じ人種(バカ)がいるからかな』

『多分それとはベクトルが違うよ。フォルナちゃん』

『と、とにかく!俺も榊原が気になるんだ。頼む、お前らも協力してくれ!』

『協力って言われても・・・』

『いいんじゃないフォルナちゃん?私も榊原さん何とかしたいし、それにお兄さんにだって頼めば!』

『うーん、それもそうだね!桜火君、私も協力するよ』

『ほんとか!ありがとう!』

『あ!もうこんな時間!』

『急ごう!』

 チャイムがなり始め、フォルナ達は戻っていった。

 戻っていったのを確認したロウグは、魔法を解除する。

「ふぅ・・・大きい手がかりが来たな。にしてもあの榊原とかいう女子、一瞬だが魔力の反応があった・・・」

 状況はだんだんきな臭くなる一方だ。

「こりゃ攻撃魔法を使う覚悟しなきゃな。使うまいと思ってたのに」

 そう言ってロウグは肩を落とす。

「あの桜火とかいうやつから話を聞いた方がいいな」

 ロウグは周りを見渡す。

「そろそろ帰るか。【ゲート】」

 ロウグはきな臭さを胸に残しながら、魔法を発動する。

「お前らにも話があるぞ、エイク、ゼルネア」

 ロウグはこの場にいない()に向けて呟いた。

読んでいただきありがとうございます。

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