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天災賢者の愚者笑曲  作者: こーはい
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第1章五節 天災は何を思う

書き溜めたものを消化します。

 季節は5月、少しづつ気温も上がっている。

「きゃあー!」

「うぉ!びっくりした!」

「びっくりしたのはこっちだよ兄さん!」

 月曜日の朝に結笑が悲鳴をあげた。

 それもそのはず、ロウグは下着姿で玄関を開け、結笑達にあったのだから。

 あの日から1ヶ月経った今日、ロウグ達は順調にこの世界に慣れている。

「もう!朝から何見せてんのよ!」

「俺のパンツ姿」

「それは分かってるよ!」

 フォルナは「もう!」と言ってそのまま自分の部屋に戻って行った。

「あ・・・あの」

「ん?どうした?結笑ちゃん?」

「とりあえず服着てください・・・」

 顔を赤らめ、手で顔を隠しながら小さな声で言った。

「ん?ああ、後で着替える。それよりフォルナ今日から学校だろ?妹を頼んだぞ」

「は、はい・・・」

「どうした?もう裸だって見てんだから今更気にすんなよ」

「はだ・・!?」

 ロウグ達が部屋を借りてから1週間ぐらい経った頃に、ロウグは全裸で結笑を迎えたのだ。

 当然レガートとフォルナに激怒された。

 それ以来、結笑は部屋にロウグだけの時はあまり来なくなった。

「それとこれとは話が違います!」

「そうか?一緒だろ?」

「!失礼します!」

 結笑はぶっきらぼうに挨拶をして戻ってしまった。

「おいロウグ」

「げ!レガート!」

「このバカもん!」

「モゲェ!?」

 ロウグの頭に渾身の拳骨が飛んだ。

 レガートの筋力から出されるその拳骨は、まさに脅威だ。

「全く、あの事件から全く懲りてないのか!」

「パンツだし、別にいいかなーと・・・」

「良いわけあるかぁ!」

「分かった!ごめんて・・・」

「俺じゃなくて結笑に謝れ、分かったな?」

「はい・・・(´・_・`)」

 ロウグはいじけた子供のように返事をした。

「と言うより、レガートお前もうすぐバイトだろ?」

「ああそうだった。お前も早くバイト先見つけろよ!」

「へーい」

 いくら格安とは言え、家賃はある。

 レガートはバイトをして稼いでいるが、ロウグは未だにバイトをしていない。

「じゃ、行ってくる」

「行ってらー」

 レガートは荷物を持って、家を出た。

「あ、兄さん」

「あ、お前ら」

 レガートを見送った後、隣からフォルナと結笑が出てきた。

「反省した?」

「反省バリバリしたよ!悪かったな、結笑ちゃん!」

「いえ、分かってくれるならいいです」

 そう言って、結笑は許した。

 顔は笑っていないが。

(警戒されてるなー、ま、いっか!)

「フォルナ、それが制服か?」

「うん、別に制服じゃなくてもいいみたいだけどね」

 フォルナが来ている服は、こっちの世界の学生の制服だ。

 ロウグはその姿に少し困惑した。

「私服がいいとはな。昔、魔術師の育成施設で働いた事があったが、そんなのは無かった」

 「全員硬っ苦しい服だったな笑」とロウグは笑いながら言った。

「え?兄さん働いてたんだ?なんでやめたの?」

「女子生徒を誘ったのがバレて1発でクビになった。いやーあれは修羅場だったわ!ははは!」

「兄さんはどこ行っても変わらないね」

 フォルナのみならず、結笑も蔑んだ目で見ている。

「そんな事よりフォルナ、大丈夫なんだろうな?」

「そんな事って・・・うん、大丈夫だよ。耳は魔法でどうにかしてるし、知識も兄さんの魔法でどうにかなると思う。文字は勉強中」

「気を付けろよ?あくまでも知識としてお前に埋め込んだだけだ、その後は俺も知らんぞ」

「分かってるよ、この世界の勉強楽しいし!結笑ちゃんの教え方も上手だし!」

「フォルナちゃんは飲み込み早いから、教える方としてもすごいやり甲斐があるよ」

「そうか、教師には気を付けろよ?ナンパされるかもしれねぇぞ?」

「それは兄さんだけでしょ・・・」

「ぐふ・・・」

 ロウグは精神に25のダメージを受けた。

「あ!もうこんな時間!フォルナちゃん!」

「あ、ほんとだ!」

「相変わらずこの世界の時計は正確だな。俺の魔法と変わらん」

「ロウグさんの魔法と比べたら、全てが小さく見えますよ」

「じゃ兄さん!兄さんもバイト探しなよ!」

「分かってるよ!」

「じゃ行ってきまーす!」

 そう言ってフォルナは走って行った。

「相変わらず、元気な子ね」

「あ、おばちゃん」

 ロウグの前に、文恵があらわれた。

「やっと家事が一段落ついてね」

「ほんとにありがとな。何から何まで、なんでも俺達の国籍?も作ったとか」

「ほんとよ!それ一番めんどくさかったんだからね!」

「うす」

 文恵はこの1ヶ月で3人・・・特にロウグとレガートにはよく手を尽くしてくれた。

 家の家具や今着てる服の購入、フォルナの学校の手配やレガートのバイト先の紹介も、彼女が全てやってくれた。

「なぁ、大丈夫なのか?」

「ん?何が?」

「いやお金とかよ・・・」

「大丈夫よ!こう見えても結構な貯えがあるの」

 一体この人は何者なんだとロウグは思った。

「にしてもフォルナさん頑張ったわねー、学校の転入試験」

「そうだな」

 フォルナがこれから通う学校には試験があり、慌てて勉強した。

 その際にロウグは魔法で結笑の知識をフォルナに移した時は、フォルナが高熱を出して大変だった。

 それのおかげで、フォルナはある程度の知識はついた。

「さーて、俺はどっかで女の子捕まえてくるか!」

「ロウグ君は働かないの?レガート君怒ってたよ?」

「え?嫌だよ。働いたら女の子と遊べねぇじゃん。次は寝れるといいなー!」

「もう・・・」

 文恵は呆れた声を出す。

 でも文恵は本気でロウグを怒った事はない。

「ロウグ君」

「なに?」

 ロウグが行こうとした時、文恵が止めた。

()()()()()()()()()()()

「え?」

 予想外の質問に、ロウグは固まる。

「私も長く生きてきたから少し分かるんだけど・・・君は何かに怯えているように見えるわ。普段の態度や言動からね」

「・・・」

「どうなの?」

 ロウグは黙ったまま何も言わない、背を向けているため、文恵からは顔が見えない。

「・・・ふ、ふははっは!」

 しばらくして、ロウグは口を開けて笑った。

「何言ってるんだよおばちゃん!この天才賢者サマに怖いものなんてないよ!魔法があるからね」

「・・・それもそうね!それより、その賢者とか他所で言うのやめなさいよ?」

 ロウグが賢者である事は、文恵は知らない。

 と言うより信じてない。

 それが普通だ。

 結笑が少し変なのだ。

「にしてもありがとね、ロウグ君」

「ん?何が?」

「結笑ちゃんと遊んでくれて」

「最近は警戒されてるけどな・・・当たり前だけど」

「いいのよ、結笑ちゃんは今まで友達らしい友達はいなかったし、昔から気弱でよくいじめられてたから、フォルナさんがいてくれれば結笑ちゃんは安心して学校に行けるからね」

「それはフォルナに言ってやってくれ。」

「そうね!」

 小っ恥ずかしさでらそっぽ向いたロウグに、文恵は笑顔で返した。

「おばちゃん」

「ん?何?」

「今日何か手伝うよ、何してほしい?」

「そうねー・・・じゃあ買い物に付き合って頂戴!」

「りょうかい!」

 ロウグは歯を見せ、答えた。

読んでいただきありがとうございます

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