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【オマケによる考察事情】

多分、前回に鳴海がぐずっていなければ深海は奴隷小屋一方通行だった、ていう。

 2人して部屋に通されて、扉が閉まるのを確認してようやく深海は一息ついた。

 まぁ扉が閉まった後、”ガチャリ”と音が聞こえて城から逃がさないように部屋に閉じ込められたのには苦笑いだが。


「心配しなくても逃げねーつの、まだ」


「ふーちゃん何か言った?」


「ん~ナルには関係のないことだから気にすんな~」


 大きなベッドで2人して寝そべっていたら鳴海が深海の方を向いたから、先ほどとは信じられないくらい優しい声と表情で深海は鳴海の頭を撫でる。


「私ね、ふーちゃんに撫でられるの好き。

だから私の事1人にしないでねふーちゃん」


 眉が垂れて鳴海が情けない顔をする。

 全く自分の片割れはどこまでこの出来損ないが好きなのかと深海の表情は綻ぶ。


「大丈夫、置いてかねーから。

お前は俺が守るから、今は誰とも揉めず良い子にしていてくれな」


「皆と仲良くしてたら良いんだね。

勿論だよ」


 ニコリと子供の様に鳴海が笑うから深海は更に強く頭を撫ぜて、「髪が乱れた」と鳴海にむくれられるのだった。


「それにしても聖女様に国を繁栄させろとか言う割に王都が見えない部屋に案内するんだな。

町の様子が分からないから今がどういった状況か今一把握できん」


「お城のお庭は花がいっぱい咲いてて綺麗だけどね~」


 鳴海の言う通り窓から見える城の庭は色とりどりの花が咲き乱れて大層綺麗であった。


「ご丁寧に窓から逃げられない高さの部屋に通されてんだな。

それにしてもお姫さんは貴金属至る所に身に着けていたし周りの連中の質のイイ身なりしていたし国が傾きかけているって片鱗がこの城の中だけじゃ見えないんだよな」


 口元に手を当て思考を巡らす。

 深海の考えているときの癖の1つだ。


(まず召喚を行えるのが王族だけだとしてあの姫さんが召喚の儀式をした。

あの場での1番の権力者はクロナ姫。

そして儀式の失敗、それを誰にも報告せずに俺とナルの処遇を決めたのはやっぱりクロナ姫。

つまり今この城、いやこの国にクロナ姫以上の権力者は存在していないことになる。

でもクロナ姫以上の権力を持つ奴がこの国に居ないんならクロナ姫は姫でなく女王でないとおかしい。

つまりこの国にクロナ姫より権力のある王族が存在する。

でも今はこの国には居ない。

そのタイミングを見計らって聖女召喚の儀式をクロナ姫が行ったのなら導き出される答えは―――クロナ姫はこの国の最高権力者と対立している。

だからクロナ姫は邪魔が入る前に儀式を行いたかった。

聖女を召喚して権力を得るのが目的か?

だとしたらオマケ付きの失敗の儀式をしたクロナ姫は何が何でもナルに聖女であって貰わなくてはいけないはずだ。

しばらく立場は安泰か?

まぁ最上権力者が戻ってきた場合俺たちがどう言う扱いを受けるか分からないけどな)


 コンコン。

 扉をノックする音が部屋に響いた。


「ふーちゃん、誰か来たよ」


「あぁ、どうぞ」


 カチャリ扉の鍵が開く音。

 そして扉の向こうから現れたのは召喚の儀式の時にクロナ姫と一緒に居た巫女だった。


「夕食の用意が整いました。どうぞついて来て下さい。ご案内します」


「え、と。あの時の巫女様ですよね?メイドさんじゃなくて何で巫女様が案内を?」


「聖女様をメイドなどに案内させるわけにはいけません。

私、ライブアと申します。

どうぞ今後は様など付けず気軽に名前を呼んで下さいませ」


 にっこりとライブアが笑った。

 鳴海だけに。

 深海の方へ向いた時には笑顔がすっと引き冷ややかな視線が向けられていた。


「どうぞお兄さんもご一緒下さい。

案内します」


「クロナ姫様の親衛隊さんは怖いですね」


「何か?」


「いいえ何も?」


 ニッコリと深海が笑顔で返す。

 ライブアの眉間に皺が寄るのを深海は見逃さなかった。


(生活基盤の手段を手に入れるまでは大人しくしてやるけど何でも機嫌よく話聞いてやるほど俺は優しくねーよ)


 深海は前を歩くライブアの華奢な背中に向けて舌を出した。

も少し頑張ります。

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