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【聖女とオマケの部屋事情】

誤字脱字多いと思います。

優しく訂正して下さると助かります。

 クロナや巫女を筆頭に深海と鳴海の関係などを事深く聞き出されて、2人が双子の兄妹であることを説明してようやく騒ぎが縮小した。

 それでも訝しげな視線を深海に送る者はあるが。

 聖女の身内と言うことでどうやら深海はそれなりの扱いはして貰えそうだった。

 そして聖女召喚の儀の目的を巫女から説明される。

 曰く聖女は国が傾いたときに召喚される。

 聖女には国を繁栄させる能力が備わっている。

 世界平和のため闘う勇者召喚とは違い聖女はあくまで国のために能力を駆使する。

 歴代聖女たちは亡くなった後も崇められ王家の次に尊い宮殿にその骨が祀られる。

 その説明を聞いて深海は胸糞が悪くなった。

 自分の国の財政ぐらい自分で立て直せ、それが深海の本音だ。国が傾いたぐらいで異世界の人間に頼るな、と。

 しかも異世界から呼び出した聖女を祀る、これは聖女たちが自分の世界へ帰れなかったことを意味する。

 鳴海が気付いていない以上、深海はそれを鳴海に告げる気はないが。

 一通りの話を聞いて、夕食まで部屋で過ごして下さいとクロナに案内されることになった。

 こうして聖女鳴海様とおまけ深海の2人はしばらくこの王宮へと滞在することとなった。


「ナルミ様はこちらのお部屋に」


 先を歩くクロナが大きな扉の部屋に鳴海を案内した。

 扉を開けると5つ星ホテルのスイートルームのような豪華な家具や大きなベッド、それを置いてもまだ有り余るスペースの綺麗に掃除された大きな部屋だ。


「凄い、私こんな部屋泊まるの初めてだよ」


 少し鳴海が嬉し気な声色を出す。


「それではフカミさんはメイドにお部屋の方を案内させますので」


「え?ふーちゃんと私一緒の部屋じゃないの?」


 鳴海の目がウルウルと涙を溜める。

 それはそうだろう。

 見知らぬ世界で1人で過ごせなどと気の弱い鳴海にとっては拷問にも等しいことだ。


「しかし、幾ら御兄妹とは言え異性と同じ部屋と言うのは…」


「私ふーちゃんと一緒の部屋じゃなきゃやだよぅ」


 はらはらと大きな目から涙の雫が落ちる。

 それをクロナもメイドも声も出せずに見入っていた。

 無垢な少女の涙のなんと美しいことか。

 その事に深海がちょっと優越感を抱く。

 自分の片割れはクロナにも負けない美少女だろうと鼻が高い。


「しかしこの部屋は王族や高位の貴族、または召喚による世界に加護の受けた勇者様や聖女様しかお泊りになれないこととなっています。

フカミさんにもちゃんと別にお部屋をご用意するのでナルミ様はこのお部屋でお疲れをお癒し下さい」


 クロナがニコリと微笑む。

 なんとしても深海をこのVIPルームには入れたくないらしい。


「このお部屋がふーちゃんと泊まるのがダメなんでしたら私がふーちゃんのお部屋に泊まります」


「そ、それは」


「メイドさん、ふーちゃんが泊まる予定の部屋に案内して下さい」


「え、あの、でも、クロナ様、どうしたら…」


「分かりました。

聖女様のご血縁と言うことで特例としてフカミさんにもこの部屋に泊まる許可を下します。

それで宜しいですかナルミ様?」


「はい!良かったねふーちゃん。離れ離れにならずにすんだよ」


「そだねー」


 鳴海には悪いが適当な返事になってしまう。

 深海が泊まる部屋に鳴海を案内できなかったと言うことは恐らくこの部屋とは天地の差のお粗末な部屋に案内させる気だったのだろう。

 それが分かっているから深海はこのクロナと言う少女が好きになれなかった。

 どうやらクロナにとって深海はかなりの嫌悪対象のようだ。

 顔にこそ出さないが行動の端々でそれが分かる。

 おそらく深海が召喚に巻き込まれたことで召喚は失敗とみなし大層高いプライドが傷ついたようである。

 いわゆる王家の威厳が、と言ったところか。

 はっきり言って深海にとって面倒くさいことこの上ない。

 勝手に召喚して失敗だからと疎まれて、この自分を嫌悪しているお姫様に一杯食らわせたい気持ちでいっぱいだ。

 だが今はまだ動く時ではない。

 召喚が失敗だった以上、聖女の能力が備わっていない可能性もある。

 聖女であるべき人材ではなく深海も鳴海も望んでいた人材で無かったパターンだ。

 その可能性がある以上今は権力者の庇護下に入るしかなかった。

 少なくとも帰れないことも見こうしてこの世界で生きていけるだけの能力が備わるまでは鳴海に聖女様でいて貰わないと深海も困るのだ。

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