白粥とたまごスープと缶詰フルーツ
ピーンポーン
「いらっしゃい、ヒロキくん。」
「こんちは。アキ、どうしてますか?」
「だいぶ参ってるみたいでねぇ、あんまり食べられないみたいなのよ。」
「うわ、もうそれアキじゃないっすね。」
「ふふ、ほんとうね。伝染らないように気をつけてね。」
「うす。」
コンコン
「アキちゃん、起きてる?ヒロキくん来たわよ。」
「ぅう゛ぅ゛ぅ…かもんべいべー…」
「はいるぞ。…あとは俺が持っていきます。」
「よろしくねぇ。」
ガチャ
「ふぉぉいいかほり…」
「おう。やっぱ食いもんがあると元気になるのなお前。」
「ったりめーよぅ…ぷりーずぎぶみー…」
「ゆっくり食えよ。いつもより食べられないんだろ?」
もきゅもきゅ
「ぷまい。お母さんの白粥さいこー。梅しそさっぱりぃ…」
「マジでいつもより全然遅いな…。いや、これは一般的なスピードだ。アキを見てると色々忘れそうになる。」
「たまごスープも美味しい…和風だしだぁ。病気のときは和風が一番だよ。油っけが無いし甘いし栄養ばっちり!なんか元気になってきた気がする!」
「はやいわ。体が温まったからか?」
「かもしれん。でもほんとに昨日は大変だったんだよ?ゼリー状のしか飲み込めなかったし。しかもパックのやつひとつでお腹いっぱいになったんだよ。」
「やべぇな。」
「だいぶ回復したわ。あ、やばい。白粥とたまごスープ交互に食べるとドンドン進む。あっさりとさっぱりだからお匙が止まらん。流動食やばい。これはもはや飲み物…っ」
「いやいやいや、ラーメンのスープ飲むみたいにお粥の器をあおるんじゃない。変なところに入ったら__」
げっほごっほ!ごほごほっ
「言ったこっちゃあねえわ!!おい、大丈夫か?」
「けほっ むせた…ううう」
「たまごスープのめ。ゆっくりだからな!」
「っ…ぷはぁ、すっきりしたぁ…。」
「まったく、心配させんなよ…。」
「なんかすんません、」
「いい…まだ食べられそうならなんか貰ってこようか?」
「!!デザート!食べたい!!」
「おけ。聞いてくるわ。」
「おまたせー、ってそんなキラキラした目で見るな。ほらよ。」
「やった、ヨーグルト!!缶詰つき!!!」
「やっぱりお前もう元気だよな?!来た時の元気なさげな感じは寝起きだからか?!!」
「うめぇ。」
「無視すんなよ寂しいだろ。」
「病気のときってさ、食欲下がるしそのくせ栄養取らなきゃいけないじゃん?」
「そうかいもうスルーの方向なのか。」
「だから流動食がいいんだろうけど明らかな病人食って普段全然美味しくないのに何で今はこんなに美味しく感じるんだろうね。」
「そりゃお前、からだが食いもんを欲してるからだろ。いくら食欲指数が下がってても食わなきゃ死ぬからな。水だけじゃダメだって分かってんだろうよ。」
「そっか。そうだね。という訳で食べ終わったので手を出してください。」
「?ほい。」
ぎゅっ
「おやすみ」
「???」
1時間後
「全然手離さねーなこいつ。痺れてきたんですけど。」