ため福屋の限定かすてら
思いつきで始めました。状況説明とか大の苦手ならば会話文だけを書けばいいじゃないと気付かされ書きました。
不定期更新です。大抵私の好きな物を紹介していくものなのでお店の名前とか商品名とかはまるでウソっぱちなのであしからず。
もぎゅもぎゅ
「また食べてる…。今日は何食べてるの?」
ごくっ
「かすてらだよ。」
「また?」
「またじゃないもん。ため福屋の完全予約制一日百本限定のだもん。」
「へぇ、そうなんだ。」
「なにその適当な返事!言っとくけどねぇ、ため福屋のかすてらはそんじょそこらのごく一般的なカステラとはまるで全然ちがうの!朝とれた産みたて新鮮な黄身がすごく濃いううんもはや赤にも見えるくらいの濃厚な卵を使って、小麦粉も自社改良を重ねて国産百パーセント。砂糖だって最高級和三盆…!素材の何から何までこだわり抜いて作られた逸品だよ?!」
「うお…相変わらず食いもんのことになるとよく喋るな…。」
「当たり前だよ!食べ物無くして人間、ひいては生物は存在できない…!だからこそこうして心を込めて食べているんだ!!」
「ではその限定かすてらの食レポをどうぞ。」
「このため福屋のかすてら、何よりの特徴はこの形。通常のカステラは長崎の長いかすていらでさえも最近は程よい大きさに切ってあるというのにまさかの13×13×9(cm)の上から見れば正方形なのです。値段の割に小さいし切ってないなんてなんて不便なんだ金返せ!と思ったかもしれない。でも侮るなかれ。切らずにそのままかぶりついてみるんだ!大口で食らいつけばつくほど口いっぱいに広がるこの濃厚な甘み…!しかし決してくどくなくむしろ次のひとくちを誘う。ふんだんに使われた卵の風味が鼻を抜け、和三盆が大抵の砂糖が成しえないさらりとした甘さを表現して正しく和洋折衷。胃袋に限界がなければいつまでも食べていられるくらいに素晴らしい。もはや芸術作品と言っても過言ではないね。」
「要約すると?」
「めっちゃ美味しい。」
「短っ」
「いやだって最高に美味しいものってもう美味しいとしか言えなくない?予約待ちしてから随分経ったから余計に割り増しで美味しい。」
「ちなみにどれくらい前に予約したの?」
「二年半前。」
「長っ」
「いやーあの頃の自分に感謝だよ。年待ちでしかも超高いのに親に内緒で勝手に注文したもん。この前丁度テレビ見てその事思い出してそれから届くまで大変だった。」
「忘れてたんだ…」
「いきなり挙動不審になったからめっちゃ心配されたけど最終的にいつもの事かで済まされました。」
「まあそうなるわな。でもなんで学校で食べてんだよそんな高級品。」
「家で食べたら随分前に予約したのバレるし兄ちゃんに取られるかと思って。」
「…ああ、極度の甘党だったな、お前の兄さん。」
「こんなに待ってたんだもん、誰にもとられたくないじゃん。」
「その割に忘れてたみたいだけど。」
「そうだったっけ?」
「すっとぼけんじゃねぇよ。ひとくち。」
「ふはははは!残念でしたーー!!もう一欠片として残ってませんーーー!!!」
むにーっ
「なんだこいつちょっとイラッときた。」
「いひゃいいひゃい!!!はにゃせ!!!」
「嫌だね。」
「ごめんなひゃい、ゆるしてくらさい。」
「仕方ねぇな。」
「ねぇ私一応女の子なんだけど。ほっぺが腫れたらどうしてくれる!視線が気になるだろ!!」
「別に何も。だって今日土曜だし。部活以外ほとんど誰もいねぇだろ。」
「そうでございました。」
ザラメのないカステラのほうが好きです。牛乳をよくお供にします。ほうじ茶も合います。