プロローグ
私、レニーア・アイントゥールと言います。人造人間、いわゆるホムンクルスと呼ばれる者をやっております。あ、ちなみにレニーアはご主人様がつけてくれた名前で、アイントゥールはご主人様の名字です。貰い物です。
そんな私、レニーアちゃんですが、ついさっきご主人様が死んじゃいました。
悲しいです。
本当ですよ?嘘じゃないです。私ご主人様のこと大好きですから。ラブです。アモーレです。所でアモーレってなんでしょうね?ご主人様がなんか言ってましたけど意味を知りません。まあ気にすることじゃないですね!私の愛は不滅なんです!
脱線しました。愛じゃないです。ご主人様です。
ご主人様が死んじゃって、なんか死ぬ間際の遺言みたいに一杯言ってきました。なんで死ぬ直前に言うんですか?こっちは死にかけの老いぼれの掠れた声聴くのは面倒臭いんですよ?はきはき喋って欲しいですね。
ま、まあ?最後に私に愛してるって言ってくれたのは嬉しかったから、許してあげますけどっ?私はご主人様に寛大ですから!メイドの鑑ですね。さすがご主人様が造った私です!
また脱線しました。いけません。
遺言です。なんかご主人様、自分のことを忘れて好きに生きろとか言いました。何言ってるんでしょうね?私が忘れるわけ無いじゃないですか。ご主人様のことを忘れるなんて出来るわけ無いじゃないですか。
ちょっとビンタしてやりましたよ。え?死ぬ人への労り?死体にむち打ち?知りません!そんなこと言う人は死に目を大好きなメイドに看取られれば良いんです!ちょっとぐらい寿命が短くなってもご愛嬌ですね。
だから、私はご主人様の言うことなんて聞きません。当然です。追いかけますよ。どこまでも。
死んだ?ご主人様がくださった知識にありました。生き物の魂は循環してまた宿るそうです。それならば!その転生先までお世話に行くのがメイドとして、ご主人様の僕としての使命というものです。
どうやって転生先を突き止めるか?ふっふっふ。私はホムンクルスだと言いましたね?ご主人様は私を創造する際、究極を求めてありとあらゆる最高峰の素材を使用しました。神の涙と称される錬金術の究極点である賢者の石や神薬に始まり、古代龍の心臓、精霊の核石、フェンリルの牙……こうやって改めて確認すると私ってどうやって造られたんでしょうね?謎です。ご主人様が凄いってことしか分からないですね。さすごしゅです。
で、ですね。そんな雑多な素材の中に災厄魂喰なる魔物の肉体の一部があるそうです。まあ、文字通り魂を喰らう魔物の一種です。ご主人様は何故これを私の基にしたんでしょうね?
魂を喰らうということは、魂を感知出来るということです。その一部を持っていることで、私も魂を喰うとは言わないまでも、ある程度干渉することが出来るのです!その力を使って、私は色々細工しました。ご主人様と私の擬似魂を繋いだんです。ドッキングです。あ、私の魂って普通の生物と違うんですよね。だから繋がりを作ることも可能だったんです。
という訳で、私はご主人様の魂がどういう動きをして、どんな体に転生するのか手に取るように分かっちゃうんです!凄いでしょう?ヤバイでしょう?愛の力は最強です!1回死んだくらいで私の愛は消えないんです!
待っててくださいね、ご主人様。ニーアがあなたの元に向かいますから。