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ギタイ 〜全テヲ食ラウモノ~   作者: もちのすけ三郎
1・スカルヘッド
8/88

#7 少年K プロローグ

あながち、田舎の中学校で起こる「いじめ」と言うのは、マンガやアニメであるような、トイレの個室に入っていたら上から水をぶちまけられたり、引き出しの中に大量の虫が入っていたり……。そんな、派手な「いじめ」と言うのは、そうそう起こらない。

しかし、いじめが「起こらない」訳でもない。

だんだんと、空気に溶け込むようにして、じわりじわりとクラスの空気を侵食していく。

最初は「ん?何かおかしくないか?」と思っていた奴も、次第に「ああ、あいつはそういう奴だから」と、その空気に浸かっているうちに、そう言うようになる。

クラスの輪からは、何となく排斥され、何か言えばバカにされ、必要以上に面倒ごとを押し付けられる。

………さて、俺をそんな風な「なんとなくバカにされて当然の奴」にしたのはだれだ。

最初に俺を、バカにし始めたやつはだれだ。

最近読んだ、何かの漫画で言っていた、「自分から行動を起こさないと、何も変わらない」と。

………ならば、行動を起こそう。

今の俺の立ち位置を変えるため。

そしてゆくゆくは………俺の様に、いや俺以上の「いじめ」に会っている奴等を助けるため。

………そして今夜は、その第一歩だ。

心臓の音がやけにうるさい。深呼吸をして落ち着かせようとするが、効果はない。

面倒だったので、放っておく事にした。

よく考えれば、当然の事なのだ。

俺は今から人を殺し、そして食べるのだから。

暴走し、残酷に、残忍に。

俺をいじめた奴等を……殺す!!



カチャカチャ、トン。

「ひっ……ぎぅ……がぁ……。おかぁさぁん………」

暗い部屋の中に響くのは、声変わりに入ったばかりかと思われる、高校生の様に低くも、また小学生のように高くもない、少年の声。

少年の顔は涙で濡れ、首を締め上げられ、30センチ程宙に浮かせられているため、まともに呼吸ができず、ひゅー、ひゅーと口は大きく開かれ、必死に呼吸をしようとしている。

そしてそんな少年を締め上げているのは、片手にタブレット端末を握り閉めながら、どこか退屈そうな表情を浮かべた、身長150センチ程の「ギタイ」。

額にユニーコンの様に細長い角が1本生えており、骸骨のようにかくばった顔面には、目の位置に大きな穴が2つ、ぼこんと空いている。その奥に、光を見ることは出来ない。真っ暗で、無機質な闇が広がっているだけだ。

「あ……お前……誰なんだ……がぃ……助けて……」

締め上げられた少年の口が小さく動き、何とか言葉を発する。

だが、それに答えるものはいない。

骸骨の様な顔をしたギタイは、締め上げた少年の頭に勢いよくかぶりついた……。

読んでいただきありがとうございます!

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