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ギタイ 〜全テヲ食ラウモノ~   作者: もちのすけ三郎
プロローグ・マネキン
5/88

#4

「いやがった……」

物置の天井に、屋根裏に通じる扉はあった。

それに日田は勢いよく体を滑り込ませ、屋根裏の中を見回す。

そして、それは居た。

身長180を越えるであろう大柄な体は、全身筋肉で覆われており、特に上半身はそこら辺の包丁で刺しても傷つかないと思われる程。

短く丁寧とは言い難く切られた髪の下にある左目は、火傷の様な後で潰れており、痛々しい傷が顔半分に広がっている。

だが、その傷がさらに男の迫力を際立たせていた。

「……お前か……。ギタイは……?」

日田は男とある程度の距離を取りつつ、男に尋ねる。

「………その通りだ。ガキ」

低い声が、暗い屋根裏に響く。

(………っと、こいつ、ただのギタイじゃねぇな。相当場数踏んでやがる。ステージ3は確実……)

「………あんた……。大人しく捕まる気はないか?」

「………もちろん、一切ない!!」

「!!」

男の体の左半分が、黒い液体に覆われ、塗りつぶされる。

一瞬目の錯覚かと疑うような光景だったが、日田はこれをもう何度も見てきた。ギタイが暴走状態に入る時の「変身」だ。

(自らの意思で暴走状態に入るか……!やはりステージ3以上……!!)

男の体の左半分を覆っていた黒い液体は、1秒程で固まり、ボロボロと崩れ落ちる。

そしてその下から現れたのは、赤い筋が入り、小刻みに動く筋肉。

白い肋骨、そしてそれに抱かれるようにして鎮座する肺。

………男の体の半分を覆っていたはずの皮膚が無くなり、覆われていた体の内部が露呈していた。

まるで、本物の人間で作った、「人体模型」の様だった。

「こいつ……最近噂の「マネキン」か!!」

その姿を見て、日田はある物を思い出した。

数日前に黒瀬に見せられた、ギタイのリスト。

その中に、一般人を27人食べたとかで、ステージ3に登録されていた凶悪ギタイ……。

「とんだ大物だな……」

日田の背中がじっとりと、大粒の汗で濡れる。

薄暗い屋根裏で、激しい戦いが始まろうとしていた。

読んでいただきありがとうございます!

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