#3
「ステージと言うのは、ギタイの危険度を表したものですよ」
黒瀬が鏡子の様子を見て言う。
「ギタイにはステージ1から4までステージが分けられてます。数が上がれば上がるほど危険度が増していく……と言った風です」
「へぇ……」
「つー訳で……、出来たら今日中にでも捜索を始めたい。……取り敢えず1番ありそうな……家だな。今から村田さん、君の家に行けるか?」
「あ……はい。今日は私1人なので大丈夫だと思いますけど……」
「よっしゃ、じゃあ行くか!」
「村田さん。こんな会ったばかりの人間をホイホイ家に上げるのは止めたほうが良いと思いますよ……。まぁ今回は行かせてもらえないと困るんですけどね……」
日田の店がある高田市から2駅、そこから少し歩いた場所にある赤い屋根の小さな民家。そこが村田鏡子が家族と共に住んでいる家である。
「特に出せるものが無いんですけど……」
「いえいえ、大丈夫ですよ。……さて、日田君どうですか?」
「ああ………。こりゃ不味いな。臭いがプンプンするわ。」
日田と黒瀬の目付き、そして部屋の空気が変わる。
鏡子には長年暮らしてきた部屋だったが、今この瞬間、鏡子は全く別の場所に放り出されたのかと一瞬錯覚した。
「多分この近くに居るのはほぼ確定だ……。探すぞ、黒瀬は1階を頼む。俺は2階に行く」
「りょーかいした。」
そう言って、黒瀬と日田は別れて探索を始めた。
(あながち、人が隠れられそうなスペースは無いな……)
これが、日田が2階の全ての部屋を一通り見て感じた感想だった。
2階には寝室、鏡子の部屋、物置、鏡子の両親の寝室とあり、鏡子に許可を貰って全ての部屋をくまなく調べたが、特に何も出てこなかった。
「日田君!何かありましたか!?」
階段の方から、黒瀬の声が聞こえた。
「いや、何もねぇ……!」
日田は悔しそうに黒瀬の声に答える。
「日田君……ちゃんと、細かく全てきっちりと調べましたね?」
「ああ……当然だ。クローゼットの中からベッドの下、カーテンの裏まで全てな!」
「………はぁ、日田君、それだけちゃんと探したのなら、ありませんでしたか?」
「……何が?」
黒瀬の何か含みのある言い方に、日田は少しムカつきながら、黒瀬に尋ねる。
「屋根裏へのドアか何かですよ!外観を見る限り、この家には屋根裏がありそうです!」
「!!、やっべぇ!見逃してた!!ナイスだ黒瀬ぇ!そこだ!それで確定だ!!「膜」張ってくれ!!」
「……やっぱり、日田君はどこか抜けてますね……」
そう言いながら黒瀬は、ズボンのポケットから、小さな四角いサイコロのような物体を取りだし、床に落とす。
床に落ちたサイコロから、網目のような模様が付いた薄い膜が、鏡子の家の壁や床、置物等を猛スピードで覆っていく。
黒瀬が出したサイコロのような物体の名前は「高速防衛膜展開機」
ギタイとの戦闘時に被害を出さないようにするため、周りの物体に防護膜を張っていく、戦闘道具である。
読んでいただきありがとうございます!