#12 堂島隊
月島が口田達の部屋に来たのは、隣にある月島と堂島が泊まっている部屋に連れていくためだった。
「堂島さん、連れてきましたよ」
「おっ!よく来たよく来た、……正直南沢と同室は中々気まずいじゃ無いかと思ってな。今回の作戦を改めて説明するついでに、呼んだって訳だ。………どうだ?大丈夫だったか?」
堂島は部屋に入ってきた口田の耳に顔を近づけ、小さな声でそう言った。
「はは……特には……大丈夫でしたけど………」
隣に南沢本人がいるため、どうしても「重い沈黙がきつかったです」なんて口が裂けても言えない。
「さってと、それじゃあ今回の「スカルヘッド討伐作戦」の確認をしようか!月島ぁ!立体地図!」
「はいよー」
月島が机の上に筒状に丸められていた80センチ程の大きさの地図を広げる。
そして机の上に広げられた地図の表面から青く細い線が空間に広がる。
広がった青い線は、やがて絡まりあい、机の上に立方体を形成した。
そんな青い水槽のような空間の中に、大量のオブジェが形成されていった。大小様々なそれは、だんだんと、口田の見覚えのあるものの形に変わっていく。
「これは………このホテルの周辺……島根の市街を再現しているんですか!」
「その通り。専用のマーカーペンで書き込む事もできるお値打ち品だ!」
堂島はポケットからやや太めの黒いマーカーペンの様なものを取りだし、くるくると回す。
「早速で悪いが、今回の作戦の概要をもう一度復習しよう」
堂島がペンで、立体的な地図の中に、3つの点を描く。
「これは、今回の目標、「スカルヘッド」が引き起こした事件の発生場所だ。……そしてこれを線で繋ぐと」
「………キレイな3角形が出来ました!」
口田はその様子を見て、感嘆の声を上げる。
対して、それを見る月島の目は冷ややかだった。
「堂島さん、それ、何か意味あります?」
「………すいません、ちょっと場の雰囲気を和やかにしようと思って………」
「そのおふざけ何回するんですか。口田が初めてだから騙されてるじゃ無いですか」
「はい……すいません、そんな目で見ないでください。本当にすいませんでした……」
月島の冷ややかな目に怯え、逞しい体を丸めている堂島は、全く、歴戦の猛者とは思えないものだった。
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