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ひねくれ姫とうそつき王子

作者: 山田 すず菜

息抜きに書きました短編です。


さらっと最後まで読んでいただけれると嬉しいです。

ある国のお城の庭に、その国の姫と姫の婚約者である隣国の王子はいつものように優雅なティータイムを過ごしていました。



……なんてことはなく、いつものように刺々しい言葉で静かに言い合っておりました。


それはそれは、有名な話でした。姫と王子が嫌いあってると。

なぜなら、彼らの従者立ちは毎度毎度言い合いしているところを見かけるのですから。


そして極めつけが、王子は他の国の王子に姫を紹介するのです。……婚約者でありながら。

姫は姫で、他国の王子の悪いところを罵り、追い返していきました。……そして、王子にもっとましなのをつれてこいというのです。



こんな話を聞いて、姫と王子が愛し合っているなんて考える人はまずいないでしょう。



なのに、王子が姫に紹介した他国の王子たちは言うのです。


『騙された。あの二人が嫌い同士?ありえない。…愛し合っているじゃないか。』


……そう、『愛し合っている』と口を揃えて、王子たちは言うのです。



さて。これはいったいなんなのか。二人の会話に耳を傾けてみましょう。



__________


「ねぇ。もっとましなのはいなかったの?この前あなたが連れてきた人、最悪だったじゃない。」


「お前が言うな。お前のその腐った性格直しやがれ。」


「ふふっ。私の性格をよくお分かりで。…なんなら、あなたが責任を持って私をもらったら?」


「絶対に嫌だ。…お前となんて、結婚しない。」


「……冗談よ。それに、私独身をいっそのこと貫こうと思うのよ。だから、別に王子を紹介しなくても良いわ。無駄ってわかるでしょ?」


「そーだな、お前なんていう屑をもらいたがるやつはいないからな。」


__________


姫は普段は穏やかで、とても美しい見た目をしておりました。

王子は優しく綺麗な言葉遣いで、誰からも慕われておりました。


なのに、そんな二人は、顔を会わせると憎まれ口を叩き合うのです。

それが不思議で不思議でたまらないのです。


ですが、帰り際誰もその言葉を聞いたものはいませんが、確かに彼らは言うのです。

__________


「…私のことが嫌いなら、いっそ婚約破棄すれば良いじゃない。」


「婚約破棄なんてしたら、俺のイメージが下がるだろ。」


「そう。…………早くお帰りになったら。」


「ああ。もちろんそうさせてもらう。」


__________


どんなに罵り合っても彼らはけして、"婚約破棄"はしないのです。


たとえ他国の素敵な王子が現れても、姫は相手に難癖を言い追い返すのです。

たとえ他国の美しい姫が声をかけても、王子は相手を無視するのです。


たとえ王子にひどいことを言われても、姫は王子の悪いところなど口に出さないのです。

たとえ姫に婚約破棄を匂わされても、王子は婚約破棄はしないと言うのです。



素直になれない姫は、王子が去った道を見つめ、ため息をはくのです。

正直になれない王子は、姫にひどいことをいったのを、後悔するのです。


しかし、姫は王子が後悔してることを知りませんし、王子も姫がため息をついていることを知りません。



…ですがまた、何日か後に姫と王子は会い、罵り合うのです。

そしてなんだかんだ"婚約破棄"をしないのです。



素直になれない姫と正直になれない王子は、憎まれ口を叩き合うのです。


二人が微笑み合うその日まで。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


一人称視点ではなく、あえて三人称視点にして、なるべく心情の描写をせず書かせていただきました。


二人の心情を好きに考えて、想像していただけると幸いです。


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