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我守
「ぼく、さりなちゃんを守りたい」
かよわい君はそう言うけど、守りたいなんて言わないで。
「だめよ……悠歩、わたしが悠歩を守るよ」
男子からからかわれている悠歩を守るのが役目なのだから。
「……わたしが悠歩を守らせて?」
中学3年生の始業式、私は校門の前で悠歩を抱きしめた─────…
「……わかった」
わたしが守ってあげる、悠歩はダメ。
悠歩の気持ちは尊重出来ないの……
長い幼なじみだけど、守ることにしては尊重しなかった。
「でも……さりなちゃん。時には守らせてね?」
すごく可愛い男の子だ、と一瞬思った。
「……あ、ありがとう」
わたしが守る役目だから、上手くありがとうとは
言えなかった。
でも、悠歩が守るとこ……見てみたいと思ってしまった。
「約束だからっ!」
ウィンクして、指切りげんまんをした。
「……ふふ」
針千本のーます。
なつかしいなぁ。悠歩が子供に見える。
「お互いに守り合いたいんだ、ぼくは」
「わたしもよ、わたしは悠歩の戦士でいたい」
お互い2人、抱きしめ合った。
守るよ、悠歩
嫌なヤツ居てもね─────…