拳銃:ヤクザ編
ヤクザといえば、定番はコレでしょう
昔からヤクザといえば拳銃、拳銃と言えばヤクザというように基本、隠し持ちやすい拳銃は警察官、刑務官、皇宮護衛官、海上保安官、自衛官、厚生省麻薬取締局といった公務員しか持てないのが基本です。
では、犯罪に使われる銃はどういうものかと言えば基本、銃刀法違反の密輸品となります。
一昔前は米国ルート、欧州ルート、そしてフィリピンルートが基本でした。
特に米国占領下を経験したフィリピンの武装にコルトガバメント、コルトパイソンなどの製造ラインがありましたので、フィリピンは製造ラインを保持し、正規の輸出品としていました。
コルト社の米国仕様とはエンブレムなどが違うだけで見た目はそっくりなフィリピンコルトと称される物が多く出回ってました。
しかし、東西冷戦の終結と共に大量の銃と弾薬が余っているのに削減しろと言われる。ならばとロシアでは一部の将校などが武器庫から銃火器を持ち出し、その発覚を恐れ、弾薬庫に火を放つという荒業に出ました。これがウラジオストック名物、弾薬庫大爆発の原因の1つだともされています。
さて、同じように中国も一部の汚職により武器を流したので闇ルートに流れた銃は日本にも流れ着きます。それが有名な黒星、TT-33トカレフだったりします。
名称:トカレフTT-33
口径:7.62ミリモーゼル弾または7.62ミリトカレフ弾
装弾数:8+1発
特徴としてはロシア革命の影響で流入してきたモーゼルミリタリーで使われていたライフル弾と同じ構造のボルトネック方式の7.62ミリモーゼル弾を流用しつつ、コルトガバメントの設計思想である強力な弾丸を撃ちだすシンプルなシステムを受け継ぐ完成度の高い銃ではある。初期型のTT30が採用される以前はロシア革命の内乱の影響で各国から大量の武器が入り込んでいる上に、それまで帝政ロシア時代の正式拳銃ナガンリボルバーが存在した(ちなみにナガンリボルバーはガス流出阻止機構の採用によりリボルバーで唯一サイレンサーが有効に使える構造の銃だったりする)。
ナガンは重くて生産性が悪い、他の武器はというと弾薬や武器の統一規格が出来ないと補給に困ると言うことで考え出されたのが、このTT-30トカレフ初期型である。
驚くべきことに普通ならセーフティーがどんな銃でも存在するが、このトカレフのバリエーションは生産性重視、可能なら部品整備の簡略化と補給のことを考えてセーフティーすらない物へとなった。
というのも当時の拳銃の取り扱いの概念は発砲する寸前にスライドを引いて装填するので、薬室に弾薬が入っていないなら暴発はしない。という風に考えたわけです。
そして単純な構造を戦時下に対応した設計にし直したのがトカレフTT-33です。
極寒劣悪な環境でトリガーなとが割れたりするので、交換しやすいように一体化をはかり、第二次大戦では一番部品が少ない銃となりました。
対ドイツ戦では冬将軍の影響で潤滑油すら凍りつくという状況、ドイツ軍のモーゼル、ワルサー、ルガーなどの性能がいい代わりに部品が多い物は凍りついて作動不良を起こす中、ソ連軍側のトカレフは作りが粗雑故に遊びがあるともいえ、確実に作動するという皮肉を見せてくれました。
戦後はソ連の影響下にある国々、及び共産主義国に流れ、ライセンス生産されたため、それこそ国情にあわせてセーフティーや口径の変更などを行った場合もあります。
ちなみに日本に流れてきているトカレフはどちらかというとロシアルートよりも中国ルートの方が多いようで国営企業の中国北方工業公司(通称「ノリンコ」)ということからノリンコ、54式手槍(中国語では拳銃を手槍と表記します)、グリップについている黒い星のエンブレムから黒星、銀メッキしているモデルは銀ダラともいわれます。
メッキしている理由は粗悪品であることを隠すこと、銃身の摩耗をごまかすための延命措置、日本人向けの演出、海上輸送中のサビ防止などの理由があるとされます。
何しろ、ノリンコの場合、製造過程で出た規格外品、部品の摩耗や寿命が来た物などを組み合わせてデッチ上げた粗悪品であることが殆どで一時期、10万あれば弾丸とセットで売られているというディスカウントアイテムだったりします。
ちなみにトカレフの持つ貫通力の高さはいわゆる防弾チョッキでは防げないとされていますが、実はノリンコの方が純粋なトカレフより初速が早いことと共産圏で使用されているトカレフ弾が実は貴重な鉛を少なくするために高価な鉛が占める割合を減らす目的で鉄製の弾芯を用い、その外側にライフリング保護用の鉛、更にその外側に銅コートを施したものがあり、この構造が結果的に貫徹弾に似た効果を発揮する事があった。そのため、高初速で打ち出されるパイルバンカーと同じ用に貫通力が増しており、実験では同じような構造の弾頭を9ミリパラベラム弾で再現した所、同じぐらいの貫通力が発生したとなってます。
どちらにしても日本にあるトカレフの殆どは粗悪品で取り扱いもキチンと学ばないと駄目なセーフティーなしの代物なのであまり持ちたいとは思えないです。
ただ、警察署で証拠品押収室を見てみるとこれ等があるかもしれません。
一時期は犯罪者御用達になってますが、ガンマニアな私ですら何時吹き飛ぶか分からない爆弾持ちたくないですよ。
一応、旧共産圏の東ヨーロッパでは9ミリパラベラム弾仕様のセーフティ付きモデルがあるので評価は悪くないみたいです。
評価が悪いのは日本に流れてきた再生銃だけです。
ちなみにAKシリーズとトカレフシリーズはバリエーションが多く、銃に関する研究本を出している床井雅美さんがAKシリーズだけで1冊、分厚い専門書を作ってますよ