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福引を引こう!

「はいはい、サビレ村商店街の福引き会場はこちらですよ~」


 ヴィオラに連れられ、ミロは福引き会場にやってきた。

 そこには、よろず屋の主人であるガストンが、赤と白の派手なハンテンに身を包んでベルを鳴らしているのが見える。ヴィオラはガストンにパチリとウィンクをする。それを受け、ガストンもウィンクを返してきた。

 実はヴィオラはガストンの店で既に最高級の武器と鎧をすでに購入していた。だが、普通にミロに渡そうとしても彼は絶対に受け取りはしないだろう。そこでヴィオラは、ガストンと協力して購入した装備を景品とし、ミロに福引を当てさせ間接的にプレゼントをしようと考えたのだ。

 我ながら名案だわ。

 くふふと、ヴィオラは上機嫌にほくそ笑む。


「お、そこにいるのはミロじゃねぇか。どうだい、一発福引を引いていかねぇか。この福引きマシンを回して金の玉が出れば見事1等賞! 1等が当たれば、なんとうちの店の最高装備品『勇者風ソード』と『勇者風アーマー』がセットで手に入るぜ!」

「わぁすごーい(棒読み)! さぁミロくん、引いてみて!」

「僕が引く~!」


 とその時、突然、村の子供が割り込んできて福引きマシンをガラガラと回した。ポロンと出たのは金の……。


「やったー! いっと……ムグムゴ!」

「はいはいはーい! ボウズ! 順番はちゃんと守らなくちゃな!」 


 金の玉を弾き飛ばし、子供を担ぎ上げたガストンは一瞬で店の奥へと消える。

 暴れる子供を縛り上げ、すぐに戻ってきたガストンは、ミロに向かってニッコリと微笑んだ。


「今、金の玉が……」

「今のは金じゃなくて黄色の玉だな! 大体そう簡単に金の玉が出るわけねぇじゃねぇか! なぁ!」

「全くですわ。ホホホのホ」

「まぁ、確かにそうですね」


 妙に怪しい様子の二人だが、ミロは気づいた様子は無い。

 実は福引マシンの中に入っている玉は全部金色の玉だった。誰が引いても必ず金色の玉が出る福引きは、なんとしても一番最初にミロに引いてもらう必要があるのだ。


「じゃあ引きますね!」


 ガラガラと福引きマシンを回すミロ。当然出たのは……。


「一等賞! 大当たり~!」

「やりましたわ! ミロくん凄い! 一等賞ですわ!」

「し、信じられない……」


 驚くミロの横では、ヴィオラとガストンがにやりとほくそ笑む。


「ちっくしょー! 悔しいがこの勇者セットはお前のもんだ! もってけドロボー!(棒読み)」


 そう言って、勇者風セットを突き出すガストン。

 受け取ったミロはどうしていいか分からずヴィオラを見る。


「それは男の子用だから私がもらっても装備できないんです。だからミロくんにもらってもらえると嬉しいな。どうせタダで手に入ったものですし」

「しかし……」

「だ、駄目ですわ! 受け取れないとか言うのは無しですよ! 装備できない私がもらっても何の使い道もないんですから!」

「いや、この鎧、レベル制限があって僕がもらっても装備できないんです……」

「へ?」


 ミロの言葉にヴィオラが唖然とする。


「ああ~!」


 ポンと、ガストンが何かに気がついたように手を叩く。

 そう、実はこの世界には武器や防具を装備をするのにレベル制限というものがある。ようするに、強力な武器や防具は、それ相応の実力が無いと装備できないのである。生まれながらレベルが53万であるヴィオラはレベル制限と言う制約に引っかかったことが無く、その存在を知らなかったのだ。


「そういや、そんなのあったなぁ」

「ちょっと! あんた武器や防具を取り扱ってるんだから、その辺のことちゃんと教えておきなさいよ!」 

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